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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
393/871

391P

(ここは……外? うわぁ……わあああああああああああああああああああああん!!)


 頭にたたきつけられる思念。それはまさに号泣だった。そしてそんな感じで風の少女が泣きわめいてるからだろうか? 一気にこの周辺の天気が悪くなってきた。風なのになぜに風の少女の感情に引っ張られるようにして強風が吹きだして、空も曇って、雨が斜めにたたきつけてくる。そんな状況になってた。風の少女も困惑して感情があふれてしまってるようだけど、野々野足軽だって実は結構混乱してた。


(なんで……どうしてここに?)


 だって野々野足軽的にはまずは向こう側……穴の向こうでドラゴンから風の少女を開放つもりだった。なのに……だ。なのになんかいきなり風の少女がここにいる。どういうことなのか、まったくもって野々野足軽だってわかってない。テレポートをした? いや、はっきり言ってもしもそんな事をしたら、きっとそれなりの力が減ってる事だろう。けど感覚的に、野々野足軽の想定以上には減ってない。なにせテレポートなんて憧れのような力を行使したとなったら、一気に力がガクッと減ると野々野足軽は思ってる。でもそんな様子はない。

 さっき力の巨人を作った分と、癒しの力をたくさん流し込んだ分……それだけが減ってる。まあけど……とりあえず……


「落ち着いて。もう大丈夫だから!」


 実際なんかどんどん天気がやばいことになってきてた。きっとこの事象はこれまでの気象情報の埒外だと思う。あんまり天気を観測してる人たちを混乱させるのも悪いだろうと野々野足軽はおもった。まあ本音はなんかトルネードが出来つつあるからこのままだと地上にまで被害が及びそうだったからだ。

 強風と雨くらいなら別にいいけど、竜巻となると大変なことになる。だから落ち着いてほしい。


「ありがとう! ありがとう!!」


 なんということだろう。さらにゴウ! ――と風が強くなって、きっと日本では観測史上最大規模の竜巻が出来上がった。野々野足軽達は中心にいるからなんともないが、もう周囲全部竜巻のせいで何も見えない。感謝されてるから強く言えない感じの野々野足軽。すると――


『こらあああああああ!!』


 ――そんな声が響いて、ポカっと風の子が風の少女へと手を挙げた。するとその衝撃のせいか、一気に竜巻が霧散して、晴れ間が雲の隙間から差し込んでくる。

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