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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
367/871

365P

 見つけた存在は風の子となんか似てた。いや、それはそうなんだろう。なにせ風が良くこの穴に入ってたんだから、それらが集まった存在……が多分あの存在。悲しさ……とかが募ってあんなふうになってるんだろう。

 風の子は無邪気ランラン――って感じだった。けどいま見えてるその存在はなんかもっと……荒々しい。確かにその思いは『助けて』と懇願するような想いが伝わってくる。けど……あの風の子……いや風の少女の周囲はとっても危ない。少女としたのは伝わってくる声が少女のそれだからだ。

 きっと女の子なんだろうって野々野足軽は思った。そして風の少女の周囲にはずっと物騒な空気の流れができてる。それはある意味で拒絶なんだ。

 助けて……というその言葉の裏で、周囲には寄せ付けないような力の波動をはなってる。それは言動の矛盾だ。傍から見た……だけど。きっと風の少女はそれに気づいてない。自分がどれだけ危険なことをして、そしてそのせいで誰も近づけなくなってるとか。


 でも多分、それもこれも諦めが根底にあるんだと思う。どれだけこの穴があるかわかんないが、きっと絶望とか諦めとか……それを感じるのに十分な時間、彼女はここで叫び続けてたのかもしれない。

 だからこそ、周囲に気づいてもらいたくて力を振りまいてる。助けてと言う傍ら近づけないことをしてる。悲しいことだ……と野々野足軽は思った。


「落ち着いて」

『やっと、やっと来てくれた!』


 嬉しい気持ち、それがあふれる。その時だ沢山の風が放たれた。渦の奥の奥……暗い場所にいた風の少女。放たれた風はとても強かった。なんでこんな場所でこれだけの力が? と思うほどだ。それはこの空間事態? を傷つけてるのか、彼女の周囲の空間はとても不安定になってるのがみえる。というかパリパリと剥がれてる。それこそ野々野足軽がイメージしてた空間の破壊……そのエフェクトが現れてるといっていい。ああいうの期待してた――と野々野足軽はちょっと思った。


「いっつ……」


 野々野足軽の意識はいつの間にか本体に戻ってきてた。さっきの攻撃……いや攻撃ではないだろう。風の少女的には攻撃はではなかったはずだ。なにせさっき受けた攻撃からは喜びしか感じなかった。

 攻撃したことに、攻撃できたことに喜びを感じた――とかならどんなサディストだよってなるが、そうじゃないだろうと野々野足軽は考える。なにせああいう存在は純粋なんだ。風の子をみればわかる。だからきっとあの風の少女だってそうだろう。

 この喜びはきっと本当にただ「助けがやっときた」とかいう思いのはず。


「もう一度……」


 だからこそ行かないと……と野々野足軽は思う。再び力を穴の向こうへと向けるために遠視をしようとした。けどその時、野々野足軽に結構な痛みが頭に走った。

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