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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
351/871

350P

『全く、貴方は愚か者ですか?』

「おまっ!? いや、学ぶってことだろ?」

『そういうことです』


 いきなりの暴言に野々野足軽はその血気を一気に上げてしまった。なにせ今は野々野足軽が憧れる自由自在に空を飛ぶ――ということが出来るかどうかってことの瀬戸際。

 簡単に熱くなってしまうのは仕方ない。なにせ野々野足軽は力がある存在だと言っても、まだまだただの高校生なのだ。大人にもなってない年齢。

 だから感情が高ぶってしまうのは仕方ない。けど元来おとなしい性格の野々野足軽は普段から怒るってことをしないから、とりあえず平常心を心がける。それに、これまでの力を使うための修行で、力を使うためにも心には余裕が必要だとわかってる。やっぱり心が乱れてると、力も乱れてしまうんだ。

 やっぱり形が無いものを支えるのは心……みたいな感じがあると野々野足軽は感じてる。魂というのは肉体が支えてるのかも知れない。その中に入ってるのだから心も肉体が支えてると言ってもおかしくないだろう。

 じゃあ更にそこに内包されて細分化されてそうな『力』は何が支えてるのか? それが心ではないかと野々野足軽は思ってる。


 だから下手に激高するのは力によくない。それにアースのこういう所は今に始まったことじゃない。そもそもが最初からなんでもできたアースだ。

 実際それが最初からなのか、それとも地球が歩んできた時間の研鑽の賜物なのかは野々野足軽にはわかんない。でも実際、アースにはできないことはないだろう。

 そんなアースの感覚は特殊だけど……実際他に誰に相談すれば良いのかなんて言われても、野々野足軽にはそんな相手は他にいないのだ。

 だから参考にするのはアースしか無いわけで、それにアースはただなんとなくで言ったりはしない。煽ってきたけど、それはきっと野々野足軽が早々に諦めていたからだろう。もっとよく観察してみろってことなのかも知れない。


(ヒントくらいはほしい)


 激高するのはやめたが、それでもまだフーフーしてる野々野足軽である。なにせ怒りはいきなりなくなりはしない。だからこうやって沈めてもちょっと続く。だからって怒りという感情も長く続くわけじゃないが。

 それにちょっとは野々野足軽だって反省してる。すぐに風の子の好意を無下にしたことだ。風の子は純粋な気持ちだっただろうに、野々野足軽は冷めてた。諦めてた。

 それは今まで何回も挑戦してた『飛ぶ』という行為に未だいたってない慟哭があったんだろう。こんなので……という思いだ。それにちょっとした嫉妬……相手は風だ。だから自由自在がデフォルト。簡単に自然なままに空を飛んでる。それが羨ましかったんだろう。この怒りにはそんな嫉妬もあると野々野足軽は認める。

 野々野足軽がなんとか怒りを沈めてすがってるってわかったのか、アースが僅かなヒントをくれる。


『そうですね。風に成れないと言うのは常識です。普通の常識。普通の存在が普通であるからこその常識ということです。それに対して今空を曲がりなりにも飛んでる貴方は『常識』の内側にいるのですか?』


 曲りなり……とか言う言葉にぴくっと来たが、たしかに野々野足軽は自分が言ってた事が常識だとは思った。常識だからこそ、言い訳に使ってた。

 常識なら、誰もが納得しやすいからだ。けど、これまでその常識を野々野足軽は自身の『力』でことごとく破壊してきた。それを一番わかってるのはそれこそ野々野足軽自身。

 なのに常識を言い訳にするなんて……野々野足軽は自身の頬を両の手でパァァァァン!! と叩きつけた。どうやら気合を入れたみたいだ

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