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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
318/871

317P

「何だったんだ?」


 そういってるのは仮面をかぶったおかしな男(男自体はそう思ってない)だ。すると彼の目の前の女性が優しい微笑みを浮かべてこう言った。


「いいじゃない。あんなつまらない人たちなんて……それよりも、恐くなかったの?」

「怖い?」

「だって――」

「ああ」


 美女がなにを言いたっかのかを男は察する。三人に絡まれたら確かに恐ろしいハズだ。なにせさっきのやつらは派手な見た目で、明らかに喧嘩慣れしてそうなそんな感じだった。そんな奴らに絡まれたら、普通はビビる。それが当たり前だ。それか美女が目の前にいるのなら、いつもよりも張り切ったりしたりする。

 彼女はそう思ってる。というか、彼女の前では張り切る男が多かった。だから彼も……と最初は思ってた。男とはそういうもの……生き物だと彼女は思ってた。

 けど、彼はとてもナチュラルだ。緊張なんて微塵も見えない。だからこそ、彼女は聞きたかった。


「そんなの簡単……いや、当然だよ」

「当然……ですか?」

「ああ、だって俺、イケメンだから」

「それはそうですけど……」


 そこを否定しない美女にこの店にいる周囲の客はズゴーである。けど二人の間ではどうやらそれは当然であって、突っ込むなんてあり得ないのかただただ普通に会話が進む。


「イケメンな俺があんな奴らに負けると思うか?」

「……なるほど!」


 なんか美女は納得してるが、それで納得できるのは彼女だけだろう。周囲の人たちは当然だけど――


『何言ってんだ?』


――と満場一致で思ってる。野々野足軽はじっと仮面の男……ではなくて、その対面にいる美女を見つめてる。それは別にいやらしい視線を向けてる……とかじゃない。寧ろ疑惑の目だ。けど……


「気になるの?」

「え?」

「あの人」


 ジッと野々野足軽が自分以外の女……しかも美女を見つめてたら、平賀式部としてはいい気はしない。それは当たり前だ。それに今はデート中なんだ。しかもさらに言えば、このデートはこれまでのお詫びを込めたデート。野々野足軽は精一杯、誠心誠意をもって平賀式部をおもてなししないといけない。

 なのに……だ。なのになのに、自分以外の美女に目を奪われてる。実際野々野足軽は「そうじゃない」って感じだが、はた目から見たらそうにしか見えない。

 野々野足軽は『力』があるんだからそれを使って平賀式部と会話をしつつあの美女を見る――くらいは出来るはずだ。そこらへん詰めが甘いから平賀式部の機嫌を損ねてしまうのだ。

 野々野足軽は力を持ってるが、圧倒的に女性経験はすくなかった。

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