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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
301/871

300P

世界に震撼をもたらした動画が今、拡散されてる。それは超能力とも、それ以上とも言える『神秘』が実証された動画だった。どんな動画かというと、単純に枯れた花をよみがえらせる動画。そしてさらにはちぎれた蛙の腕を元通りにする動画だった。そしてもう一つ――


 その動画には一人の仮面をかぶった少女が出てた。そして祈りをささげると、まるで逆再生をするかの様に、花は活き活きとしだし、そして蛙の離れてた腕が元の場所にくっついた。


 もちろんだが、そんな映像はただ『逆再生』しただけ……とか言われた。けど生放送で、彼らはそれらの反論をぶちかえした。なにせ……だ。なにせその配信では一人の男性が腹を切ったのだ。いや本当に。出て来た男は白装束だった。白地の背景、下は茣蓙だった。そこに正座した白装束の男は銀行強盗とかがしてるであろうっていうイメージの顔を隠す被り物をしてた。目と口に穴が開いてるやつである。


 彼は正座して、そしてナイフを見せる。


「これから切腹するでござる」


 とか何やら、いってた。そしてナイフが本物だと見せるために用意されたリンゴを切ってた。ちなみにいうと、そのチャンネルはその日に作られたものだ。だからもちろんだけと生配信事態の視聴者はそんなに多くなかった。でもどんどんとおおくなったし、通報もされた。


 なにせ……だ。なにせその男は生配信中に何回も何回も自分の腹を刺して、そのたびに血がドビュドビュと出で、画面の向こうの人たちは悲鳴を上げた……と言われてる。血だまりになっていく茣蓙。口にタオルを噛んで悲鳴を上げないようにしてたが、最後には前に倒れこみ、それも落として動かなくなった。


 いや、ピクピクとわずかには動いてた。でもそれが逆に生々しかった。腹からも何か気味が悪いのがはみ出てた。吐き出した視聴者だっていた。


 その様子は瞬く間に配信トレンドに入った。配信トレンド#生自殺だった。けど後々見返されるとそれは視聴者が勝手に作ったハッシュタグでその放送のハッシュタグは全く違ったといわれてる。


 言われてるのは既にその動画は削除されてるからだ。もちろん、削除されても、動画は様々な人が録画やらなんやらしてて残って今も見れる。だからこそ拡散され続けてる。


 でもそれだけでは、自殺だけでは一過性に過ぎない。ただの事件として話題に上がり、きっとそれで苛めを苦に……とか適当な理由をつけられて忘れされられていくことになっただろう。


 でもそうはならなかった。なぜなら、それは自殺動画で終わらなかったからだ。動画の続きでは背後に女があらわれる。何やら十二単ともいえる厳かな和服を着た女性だ。


 顔は薄地の布で隠されてた。彼女はいう「大丈夫。大丈夫」と。そういって祈った。すると……だ。すると流れ出た血が戻っていき、そしてなんと、沢山の視聴者が見たであろう腹の傷はなくなっていく。男は切腹するにあたり上半身を裸にしてたから、傷だってみえてた。血があふれてて見えにくかったのはそうだが……でも内臓だってでてたのだ。


 でも男は生き返った。傷一つなく。それは現代医学が跋扈してるこの世界では「ありえない」と言える出来事。いくら医学が発達したといっても、流石にこの速さでの治療は不可能と誰だってしってる。


 それに……だ。それにこれは生放送。手品でもない限り、こんなのはありえない。が、見てた人はその生々しさを、そして男の狂気の様な感情を肌で感じてた。


 だからこそ、リアルタイムでみてたやつらは信じた。


『これは本物なんだ』


 ――って。そして彼らは何を思ったのか突き動かされるようにその動画を拡散する。それは一つの国の言語にはとどまらずに、様々な国の言葉へと翻訳されて、世界中に拡散されていったんだ。

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