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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
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271P

「すみません遅くなって……こちら、えっと……不本意ながら私の兄です」


「おい、なんだよ不本意って」


 いきなりあんまりな紹介をされた野々野足軽である。妹としてもなにやら複雑な思いがあるのかもしれないが、兄としてはそんな紹介は不本意である。なので文句をいったが、野々野足軽は不満ながらも怒ってるというよりは呆れてるって感じだ。


 そしてここは駅近くのコンビニ前だった。本当はカフェとかファミレスで合流ってことでも良かったんだが、猩々坊主とかが、行動は迅速にとった方が良いだろうと、なかなかに切羽詰まってる事言ったので、ゆっくり話し合いなんて事はせずにすぐさま行動できる様にこのような事になったらしい。


「えっとこいつの兄貴の『野々野足軽』です。妹に協力してくれてありがとうございます」


「ふむ、いい兄妹ですな」


「羨ましいことだ」


「自分たちも二人とはただならぬ関係。あぁ、仲間としてですよ」


「おい」


 そんな挨拶を野々野足軽は集まってる大人四人とかわす。なんか一人ヤバいコトを言ってるおっさんがいたが、野々野足軽はちょっとしたジョークとして受け流す。いや、実際彼らのことを知ってるからってのが大きいが。


「皆さんどうやってお知り合いに? こう言ってはなんですが、その……皆さん社会人みたいですし」


 最近はネットで色々な人達が出会える時代ではある。けどこうやってリアルでも合う……なんてのは稀じゃないだろうか? 実際のところは野々野足軽は小頭と彼らの出会いは知ってる。けど、変にそこらへんスルーするのもおかしな話だから「兄として」という体で聞く。


「そんなのどうでもいいでしょ。それよりも今は草案ちゃんのことだよ」


「いやいや、兄君として当然にして必携。なにせ我らはこのような歪な者たちだからな」


「まあなんというか、同じ趣味でと言いますか?」


「私達は決してやましい間柄ではないですぞお兄さん!」


 なんかみかん氏にいきなりお兄さんとか言われた野々野足軽。やっぱりコイツだけは要注意だな……とか思いなおしてた。一応それで納得した体にして、すぐさま彼らと野々野小頭は歩き出した。


 どうやら目的地があるらしい。それにはすぐに野々野足軽は察しがついた。けど、そこでは「ああ、あそこか」なんていわない。とりあえず困惑したようにこういった。


「えっと、どこに向かってるんだ」


 小頭も猩々坊主達もそこらへん野々野足軽には説明しようとしてないから、野々野足軽が困ってる感を出してみる。すると野々野小頭が「心当たりがあるから」といった。どうやらあの態度をみるに、野々野小頭は野々野足軽に草陰草案の捜索に関しては全く持って期待してないらしい。


 なら『なぜに俺を?』とか思う野々野足軽だが、野々野小頭はあのときはそれこそ焦ってたのもあるし、心の余裕がなかったのもある。今は恥ずかしい事をしたと思ってて、あまり野々野足軽の方を見れないでいたまである。


 けどそこまでは野々野足軽は気づいてない。ただまあ、知り合いとはいえ、大人の中に一人の女子中学生が混ざるのはちょっと危ないかも……とか考えたのかもしれない。そう、あくまで自分は保険なだけ……野々野足軽はそう思って彼らの話し合いには参加せずに、静かに後ろについていくだけにした。


 それにそっちの方が野々野足軽にとっては都合が良かった。

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