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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
261/871

260P

カシャ――カシャ――


 そんな音が三人に届く。それは酷く乾いたような音だ。まるで機械音声のような……三人は再び警戒を強めた。なにせ昨日の夜にあんなことがあったのである。


 今は朝方で、すでにかなり日も高くなってきた頃合いだ。こんな時間に出るなよ――と三人とも思ってる。けど、ああいう何か知らない……なにかもわからないような存在が夜にしか活動しない……なんてのは人間の勝手な思い込みであり、そして押し付けだ。


 と、いうよりも古今東西、様々な物語で不気味なものは夜を好む――みたいな印象をずっと植え続けてきたからに過ぎない。実際化け物たちは思ってるかもしれない――


『化け物だって、昼に活動したっていいじゃん』


 ――と。三人はなるべく体を寄せ合う。けどそこは大人三人……それもおっさん三人だ。抱き合って震え合う……なんて気持ち悪いことはしない。それぞれが背中合わせになり、違う方向を警戒しつつ、それぞれが信頼するものに力を込める。


 猩々坊主は、手をあわせることは今はできないから、数珠を親指に引っ掛けて片手で拝むポーズをしてる。チャブ氏はさっき受け取ったダウジングの棒を構えてる。それに意味があるのか? とか突っ込んじゃいけない。ミカン氏は昨夜は出しそびれてたスタンガンをどうやら手に持ってるようだ。この中で何が一番攻撃力が高いのか……といえばそれはやっぱりスタンガンだろう。それが化け物に聞くのかは置いておいて。


「アンゴラ氏を呼びに行ったほうが良いのでは?」


 ミカン氏はそういった。なにせこの中で唯一、確実に昨夜の『ナニカ』に対抗できたのはアンゴラ氏だけなのだ。だからその意見は当然だろう。


「いや、彼がどこに居るのかわからないのなら、下手に動くよりも彼の帰還を待ったほうがいいだろう。そう遠くへは行ってないはずだ」


 猩々坊主がそう言ってミカン氏の提案を却下する。


「それに……だ。彼ならきっと感じ取れる筈だ」


 なぜだか、そんなふうな力さえもあると……猩々坊主は確信があるような言い方をする。それは信頼なのか、なんなのか。カシャカシャという音は、その間にも続いてる。そして……それと同時に、こんな声を聞こえてきた。


「なんで休日にこんな廃墟なんて来ないと行けないのよ」


「何言ってるの! 私達不思議研究会の活動だよこれは!」


 それはキャピキャピとした女の子二人の声。そして暗闇から、一瞬眩しい光が三人を照らす。そして――


「「「うお!?」」」


「「きゃああああ!?」」


 ――というお互いの声が響いた。

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