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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
246/871

245P

(そういうことじゃありません。彼女は貴方に興味がありますが、あの子はそれが貴方とはわかってない……という状況です)


(どういうことだ?)


 アースの説明は野々野足軽にはちょっと難しかった。だって自分に興味があるはずのなのに、その興味の対象が目の前にいる人物とは結びついてないという。野々野足軽の頭にははてながいっぱいだ。とりあえず扉から離れて、カバンをおいて上着をぬぐ。それをハンガーに掛けて、シャツも脱いで、それはベッドに投げた。ベルトを緩めてズボンを脱いで、パンツ一丁になる野々野足軽。いや靴下ははいてた。


 朝に脱いだ服をまた来て一言「ふう」といって、とりあえず脱いだ服はまとめて椅子において、自分はベッドに腰掛ける。


(まだ使えますか?)


(知ってるだろ? 俺の力は、とどまることを知らない)


(まだまだ矮小ですがね)


(お前にとってはな!!)


 せっかくちょっとカッコつけたのに、まだまだと言われたからちょっとムッする野々野足軽。それに日々成長をしてるのは確実なのだ。なにせ最近はずっと寝てる状態の力の扱いに困ったものだった。けど一応の解決策を出してた。


 それでここ最近は安全に寝ることができてる。けどそれでも……だ。けどそれでも、地球という一つの星そのものであるアースにとっては一生命体の野々野足軽の力はいくら強まろうが、結局はその程度――でしかない。


(それでさっきのことだけど……)


(覗いてみたらわかりますよ)


(いや、でもそれって……不味くないか?)


 倫理的に妹の部屋を覗くってのは抵抗感があるらしい。まあそれは当然である。いくら家族だからってプライバシーというのは必要だろう。親しき仲にも礼儀あり――という言葉もある。


(放置してても、その内知ることだとは思いますけどね)


 そんなことを言ってアースは「ふふふ」と笑う。そんな風に言われると気になる野々野足軽だ。それにその内知ることになる……のなら今知ってもいいんでは? みたいな気持ちにもなってきた。ベッドに座りながら、野々野足軽は目をつむる。けど真っ暗だったのはほんの一瞬。視界はすぐに開けた。そして野々野足軽自体は移動してないのに、視界だけが移動していく。


 自室の扉をすり抜けて廊下へ、そしてそのまま目の前の野々野小頭の部屋の扉をすり抜ける。更にそこで聴覚を付け加える。これは透視をしてるときに「視界だけじゃ不便だな」って思ってたらできたことだ。


 なにせ視覚を飛ばしてるのである……なら聴覚を飛ばせない理があるだろうか? ということでやってみたら、なんと遠く離れた場所の音を聞くこともできた。


 今、野々野足軽は妹の部屋を覗き見て、その会話を聴き放題である。これがもしもバレたら軽蔑される行為だろう。けどバレることはない。なにせそんな事ができるのは野々野足軽ただ一人なのだから。

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