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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
238/871

237P

すすすす――すすす――すっす


「ふむふむ、ここが怪しげな光が目撃された公園ですね」


「いや、何の変哲もないじゃん。てかめっちゃ自宅の近辺だし」


「ちっちっち甘いですね小頭ちゃん」


パシャパシャ――パシャパシャ――パシャ


「こういう、何の変哲もない場所。そして日常こそが非日常の入り口だったりするんですよ」


 そういって二人の中学生女子は何の変哲もない公園で動き回ってる。実際は一人が一人に振り回されてる……って感じだ。振り回されてる少女は『野々野小頭』セミロングの茶色い髪の前髪部分を編み込んでる細身の少女だ。そしてもう一人は『草陰 草案』皆から「そうそうちゃん」と呼ばれてる長い三つ編みが特徴的な女の子。


 三つ編みってだけでなんとなく陰キャなイメージがあるかもしれないが、そうそうちゃんはそんなことない。寧ろ派手だ。なにせ彼女の三つ編みは黒と赤のツートンカラーである。前髪の一部も赤い。現代の学校とはそんなに寛容なのか? と思うかもしれないが、もちろんだけどいい顔なんてされてない。


 けどそうそうちゃんはそんなの気にしてない。「これが私のアイデンティティ」とばかりにいくら怒られたって、髪色を戻す気はないらしい。でもだからって彼女は不良という訳じゃない。授業には真面目に取り組むし、友達も多い。現代が推奨してるような自身の個性を大切にしつつ、協調性も忘れない……そんな人種なのである。なので彼女は何が憚れる必要があるのか? と思ってる。


 そもそも校則にはカチッとした髪型、そして髪色の指定なんてない。確かにそうそうちゃんの髪色は一部分派手だが、大部分は黒なのである。大部分が黒だからこそ、赤色が目立ってるだけだ。


 なのでこのくらい……って気持ちなんだろう。そんな中学生女子の二人が何をやってるのかというと……


「ねえ、もう帰ろうよ。家近くだし、ジュースくらいは出すよ」


「そうだね。今日回ったところの情報も整理したいし、小頭ちゃんの家に突撃しようかな」


「言っとくけど何もないからね。ジュース以外には期待しないでよ」


「お兄さんがいるんじゃなかったっけ? 見てみたいな」


「ええー兄貴なんて見てどうするのよ。あんな冴えない奴」


「挨拶くらいしておかないと。それに他人の家族って興味あるし」


「変なところに興味ださないでよ」


 そんなこんなで公園の探索を終えた二人は野々野小頭の自宅に向けて歩き出した。


「さあて、小頭ちゃんの家にはどんなものがあるかな?」


「そんな面白いものが転がってるわけないじゃん」


「でも最近、小頭ちゃん家で怪奇現象起きてるって言ってたじゃん! 私狙ってたんだよね」


「人の家を幽霊屋敷にしないでよ」


 


 そんな楽しい? 会話をしてる間に、二人は野々野家へとたどり着いた。

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