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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
226/871

225P

「何すんだ!!」


「こっちのセリフだ!!」


 ナイフが肩口に刺さった二人の男が痛みをこらえながら荒い声を出す。服にしみていく真っ赤な血。二人の男は汗も一気にでてきた。


「くっそ……なんでこんな……」


「こんなの絶対におかしいだろ……」


 二人は混乱してた。なにせお互いの肩口にナイフを刺しあう……そんなことはどんな阿保だってやらないだろう。彼らはちゃんと自分たちの事が馬鹿だとはおもってる。なにせ二人とも最終学歴は中卒だ。まともな仕事なんてつけない。何やっても続くこともない。


 自分たちは社会不適合者……でもだからこそ、自分の事が一番だ。そして仲間だって……だからこそ十字傷の男が離れていくことを見逃せないし、仲間を自分自身が傷つける……なんて信じられない。


 そもそもが互いに隣り合って歩いてたはずだ。それなのに、刺したときは互いに向かい合ってた。


『お前ら……』


 充満する埃の中、そんな声がきこえる。二人は今度は背中合わせになってる。絶対に互いを攻撃しないためだろう。二人は声の元を探す。すると互いの視界の先、正面に人影がみえた。


「「そっちか!!」」


 同じタイミングで床を蹴った二人。肩をナイフで刺されたのに、元気な奴らである。血が付いたナイフを大丈夫な方の腕で握ってその陰に向けて振りぬく。けどそれをきったとしても手ごたえなんてなかった。人影はナイフが通ると、まるで最初からそこにはいなかったかのように、消え去った。


「ちっ……うん? おい! 聞こえるか! そっちはやったか!?」


 気づくと金髪の周囲は埃が満ちてた。そして相方は見えない。だからこそそう声をかけたんだろう。けど返事はない。でも同じタイミングで同じことに気づいた赤髪も同じようなことを言ってた。ただ、その声はやっぱり金髪には届かない。


 二人は孤独感を感じてた。そもそもが十字傷の男は一人しかいないはずなのに同時に別の場所に見えること自体がおかしい……とかいうのはこの時この二人は気づく。


「なんなんだよ一体……」


 そういう金髪はちょっとの音がしたらそっちを向いてナイフを振る。なにせどこから十字傷の男が来るかわらない。だから先に攻撃をすることを心掛けてた。それこそ彼らはまともにやったら勝てないとわかってるからこそ、真っ先にナイフを振るう。


 そしてそれは赤髪も同じ。二人は人影が――そして音が聞こえたら直ぐにナイフを振ってる。すると互いに同じタイミングで埃の向こうに人影を見た。もちろん反射でナイフをその影に向かってふるった。手ごたえがあった。あっちにも、そしてこっちにも……だ。


「「ああああああああああああああああああ!!」」


 血を流して二人は膝をつき、そして互いが互いを斬ったことを悟った。

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