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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
218/871

217P

「おーよしよし。うまいか?」


 皿に出したドックフードを毛並みが汚い犬がわふわふと食べだした。目のところも毛で隠れてしまってるガリガリの犬。そんな犬と十字傷の男は暮らしてた。


「わふっわふ――」


 十字傷の男は餌を買う事を優先してるからか、犬用の餌皿とかは使ってない。むしろ使ってるのは平たい紙皿だ。けどまだ皿……なだけましだ。なにせつい先日まではコンビニ弁当の蓋……透明なプラスチックを使ってたからだ。流石にそれは……と十字傷の男も思ったんだろう。


 今はなんとか紙皿になった。それもどうかと思う人が大半だと思うが、この四畳くらいの部屋にはペットのケージ以外は他にはなにもない。普通はペット可の物件なんてのはそこそこ高いものだ。けどここは格安だった。


 なにせペットしか住めないような……そんな間取りだったからだ。一応シャワー室はある。トイレもある。けどあとは何もない。犬の為のケージのためにベッドも布団もない。あるのはすべて犬の為のものばかり。


 それでも男は満足だった。


 ピンポーン


 部屋で犬とともに過ごしてると、インターホンがなった。そうして出てみると、そこには柄の悪い二人組がいた。


「お前らか」


「兄貴!」「兄貴、どうしちゃったんすか!!」


 そう言って二人は十字傷の男を兄貴と呼んだ。そう、こいつらは十字傷の男についてた腰巾着たちだ。いつも一緒に行動して、悪いことを何度もやってきた十字傷の男の舎弟とも言える奴らだ。


 コイツラに取っては警察から戻ってきたところで何も変わらないと思ってたんだろう。それこそ、今まではそうだったはずだ。何度しょっぴかれても、こいつらは変わるなんてなかった。だから警察なんて別に怖くなんてなかった。だが今回は違った。十字傷の男は彼らに別れを告げて、どこかからか拾った犬とともに暮らし始めて、更にはバイトまで……驚天動地とはまさにこのことだとこの二人は思っただろう。 そんな言葉さえこの二人はしらないだろうが。


「何度もいわせんな。お前らも真っ当に生きな」


「ふざけんな! あんたはそんなまともな人間じゃないだろうが!」


「必要な物は盗め、奪え、略奪しろ! があんたの生き様だろうが!!」


 普通の人ならそんな事を言ってるやつには近づきもしないだろう。けどコイツラは何をトチ狂ったのか……いやもとからコイツラもトチ狂ってるから十字傷の男に憧れたり、舎弟になりに来たんだろう。つまりは似た者同士……けどだからこそ、十字傷の男が改心するなんてありえないと思ってるし、信じられないんだ。


 自分たちが変わるなんてあり得ない……そう思ってる。


「はあ……お前たちにはわかんねえよ。いや、わかるわけ無いよな」


「なんだそれ……何なんだよそれはよ!!」


「俺たちも、あんたも何も変わんねえ!! 自分だけまともに生きれると思うなよ!!」


 その日はそれだけだった。けど後日……バイトから帰ると、ボロ賃貸の鍵が壊されてて、そして十字傷の男が飼ってた犬がいなくなってた。

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