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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
209/871

208P

「なにやってんだいあんたは!!」


「全くお前たちは本当に使えない餓鬼どもね!!」


「食べ物がない? ならどっかから盗ってきな!! あんたたちは餓鬼なんだからどうせ大した罪になんかならないんだよ!!」


「バイト代は寄越しな! あんたらを引き取っただけの援助金じゃ足りないんだよ!!」


 子供の泣き声……そしてものが何かを壊す音。そんなのが日常茶飯事だった。この施設は近所では有名で、ここには誰も近づかない。お腹が減ったらどこかから盗るしかない。


 なにせこの施設の人は国からの援助を着服して、それを使い込んでギャンブルにつぎ込んでる……そんな人……のはずだった。


「さあ、みんなご飯の時間だよ!!」


 そういって大皿に乗って出てきたのはかまどで焼いたピザだ。端の方は焦げがついててカリカリそうで、中央にはトマトソースにチーズがいっぱい乗ってる。それに肉ではないが、どうやらご近所さんからおすそ分けの野菜がゴロゴロと乗ってた。


「「「わーい!!」」」


 それをピザカッターできって端から思い思いにとっていく子供たち。時には上のチーズがこぼれたり、どっちが大きいかとか、自分のを取った……とか言い争う声もあるが、施設の女性が間に入ればすぐに仲直りして笑顔になる。


「ほら、君も食べなさい」


 わざわざ一切れを小皿に移して彼女は寄越してくれる。それを彼女は恐る恐るうけとった。そして一口口に運ぶ。


「あちゅっ――」


「大丈夫?」


「お水だよ」


 ヒリヒリした口に水を流し込む。その間にお水をくれた同年代ぽい子たちがふーふーしてくれた。それを見て彼女は疑問を口にする。


「ここの事、好きなのか?」


「うん?」


「「大好きだよ」」


 二人は声をそろえてそういった。それに彼女は衝撃だった。だって彼女が知ってる施設は、そんな場所じゃなかったからだ。誰もが早くここから逃げ出したいと思ってた。けどどこにも逃げ場なんてなくて、だから逃げられなくて、ただただここのおばさんに搾取されるしかなかった。


 大人なんてクソだと、ここで彼女(彼)は知ったんだ。

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