表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
207/871

206P

目が覚めた。知らない天井を見つめつつ、彼女は布団から出して手をかざす。そこには見慣れない手がある。小さくて、綺麗で、傷一つない。


「まじかよ」


 彼女はそんな風につぶやく。もしかしたら……もしかたら寝て目が覚めたらこの変な夢が終わって現実が帰ってくるだろう……そんな風に彼女は思ってた。


「ふわぁーあ!」


 口を目いっぱい開けての欠伸。いつもはだるい朝……いや……


「朝日なんて何年ぶりだ?」


 窓の近くまでいって、カーテンをめくる。窓も開けて、朝の空気を吸い込む。それがとても新鮮だった。一秒……二秒……三秒……四秒……と長く吸ったり吐いたりできる。


 空気がおいしく感じるし、口に淡がたまったりもしない。健康な体……それを彼女は実感してる。


「やっぱりこれって……あいつがやったのか?」


 そういって空を見つめつつ考える。彼女の直前の記憶は、自身の死。上半身と下半身が分かれて、黒い何かに包まれていくその最中で記憶はない。


 そして気づいたらこの状況だった。


「やっぱり神か?」


 それをつぶやいた後、彼女は窓からちょっと離れる。そして朝日が差し込んでる部分をたしかめて、畳に膝をつく。そして両手を組み合わせて、目を閉じる。


「神様、感謝……するぜ。何の気まぐれかしらないが……これは楽しめってことだろ?」


 彼女は祈る。昨日は何が何だか……だったし、正直夢だと思ってた。けど、一日たって、寝てもこのままなら覚悟も決まったのかもしれない。それに……だ。彼女は以前の自分にどうやら未練なんてないらしい。


「よし。これからどうすっか……」


 感謝はおわったらしい。これからのことに彼女は思いをはせる。すると彼女は畳の部分から降りて、スリッパをはく。そして廊下に出て、トイレを目指す。


「うん、よし、やっぱり」


 自身の顔をトイレに設置してある鏡を見て、確かめる。そしてにやにやとしてる。


「まあ、なんか元の顔の面影? があるが、これはやりがいがある顔だなぁ」


 さらにつぶやいて、まるで男性が髭をさするように顎部分を触る動作をしてる。どうやら彼女の総評的には合格点らしい。そんなに美少女というわけではない。どっちかというと、素朴な感じの顔だ。ちょっと目つきが悪いかもしれない。


 でもそれでも、いやそんな顔だからこそ彼女は「やりがいがある」といったんだろう。


「けどこのままならまた施設いきか。あんなクソなところじゃあ、何も買えたりしねえな」


 どうやらすでに金の心配をしてるらしい。現実的である。それに訳アリの子供たちを預かるような施設を知ってるような口ぶり……ふともう一度鏡を見て、自分の胸を触りだした。


「売れる……か? いや、さすがに貧相すぎるか」


 その発言はまるで自分自身を売るかのような……そんな発言だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ