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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
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205P

一通り驚いた彼女はとりあえず警察署に連れていかれた。めっちゃ抵抗してたが、それでも時間をかけて説得した警察官二人のおかげで、最終的にパトカーに乗って警察署にいった。そしてそこで箸をもってがつがつと今はカツ丼を食べてる。


 けどそこは別に取調室みたいな場所ではない。職員の為の食堂なのか、そんな場所だ。彼女は二本の箸をグーの手で握ってスプーンみたいに使って食べてる。もちろんだけど掻っ込んでるから、口の周りは米粒だらけだ。


 そなん彼女を見て、警察官は思う。


(きっとこの子はネグレクトでもされてたんだろうな。まとも教育を受けてるとは思えない)


 とね。そしてそんな事とは露知らず、彼女は彼女でこんなことを考えてた。


(いったい何がおこってるんだ? いや夢だろさすがに。けど夢でも美味いものは食えるだけ食っとく)


 だった。深刻そうにしてる警察官と当人の間の深刻さの度合いが違った。


「なあなあ、他にも食っていいか?」


「ん? デザートとかかな? あんまりここには種類はないけど、いいよ」


「いやいや、そんな腹にたまらないようなものいらないし。これとこれとこれもいいな!」


「いや、そんなに?」


 そういって警察官の一人は彼女を見る。その見た目はほっそりとしてる。やせすぎだといっても過言ではない。流石に彼女が示したメニューをすべて彼女が食べられるか……と考えると、そんなわけはないと思う。でも……彼女はメニューを見て喜んでる。かつ丼もマナーはともかく、とても喜んで食べていた。彼女の境遇を考える警察官は、拒否なんてできなかった。


「おねがい!」


 豪快にぱんっと顔の前で手を合わせる彼女。彼女といってるが、その仕草は男っぽい。けどこういうところもきっと教育を受けてなかったからだろう……と警察官は考えた。


「まあいくらでも頼むといいよ」


「よっしゃ!」


 そういって彼女は食堂のおばちゃんに注文をしに行く。食券形式なんだが、そんな事は彼女はわかんないか……と警察官は思って後で食べたメニューを控えておけばいいか……と考えた。


 そして十分後……


「うぷっ」


 涙目になりながら、必死に口に食事を運ぼうとする彼女の姿があった。


「いやいや、あとはもう僕が食べるよ。それ以上は入らないだろう」


「これは俺のだ!」


 もう明らかに限界が来てるであろうに、彼女はそういって譲らない。そんな彼女の態度でも、警察官はほほえましそうにしてる。


(なんで……なんでこいつは俺にこんな風に言われてるのに、へらへらしてやがんだ?)


 他人からの優しさをしらない彼女はここまでやってあきれられたり、怒られたりしないことに疑問を感じてた。それでも食べてるが……

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