表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
203/871

202P

その夜、拘留所の一角で、爪を立てるいやな音が鳴っていた。ガリガリ、ガリガリ……と床をそいつはその爪で鳴らしてる。一体何の意味があるのか――と留置所の警備員は感じてた。


「おいやめろ」


 格子越しにそんな風に頬に十字傷がある男に言うが、そいつは警備員に視線を向けることもなく、ただただ床に爪を立ててる。


「そんなことをやっても脱獄なんてできないぞ」


 そういってもやっぱりだが、反応はない。無視してればいいんだろうが、この音は気味が悪くて精神を削られてた。だからこそ、やめさせたい。一体どうやったらこのおかしな男の注意をひけるのか……それを警備員は考える。ただ大人しくして寝てくれればそれでいい。


 だけどこんな異常者の考えなんてわかりようもない。なにせこういう奴らは論理的な思考をしてるわけじゃない。ただただ衝動的に生きてる奴らが大半だ。


 それにこんな所に勤めてるからこそわかる。あまりかかわっても損は合っても、得なんてことはないんだ。


「はあ、もういいよ。どうせお前は刑務所に送られる。二度と出てくるなよ」


 警備員はどうせ聞いてないだろう――と思ってそういって歩き出した。もう諦めた、あんな異常者にかかわるよりも自身が我慢すればいい……その気持ちになってるんだろう。けどその時だった。


ガシャン!


 ――と留置所にそんな音が響く。まるで鉄格子に大きな何かがぶつかったみたいな。振り返った警備員の目に入った光景は、十字傷の男がその目を見開いて、こちらを見てるそんな光景。


 片腕を鉄格子から出して何かを探すように腕を動かしてる。


「行かなきゃなんだよ~。いかないと、気になっちゃうだろう!!」


 さらには鉄格子をバンバンと両手でたたき出す。その異常な行動に背筋が冷えるが、もう一人の同僚もやってきて、二人しておかしな行動をとってる十字傷の男のところへといった警備員二人はおかしなことをしてる十字傷の男へとその行動をやめさせようと奮闘した。


 そして留置所の警備員の詰め所へと戻ってきた二人は、とても疲れてた。


「だから言っただろう。まともに相手にするな。会話なんてしたって意味ないんだよ」


「わかってるけど……うるさかっただろ?」


「それでもかかわっちゃいけねえんだよ……ああいうのはな」


 そんな会話をしてると、留置所の奥からいきなり高笑いが聞こえてきた。何もない留置所の中で一体何に笑ってるのか……二人は顔を見合わせて一瞬止めにいくかどうかを目くばせだけで会話した。


 けど……二人は無視を決め込んだ。


「あは……ははははははははは! あっははははははははははは!」


 留置所に押し込められてる十字傷の男は笑ってる。そしてその視線の先にはおかしな奴がいた。消えたりついたりしてる蛍光灯の光だけじゃなく、その男の顔は靄のようなものが顔の周りにかかってて見えなくなってた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 留置場にいるのは警備員ではなく警察官では…? [一言] あ、これその場に居合わせたらSAN値チェック入るヤツだ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ