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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
194/871

193P

(うわぁ、やりすぎたか……)


 野々野足軽は桶狭間忠国の背中…………その中央部分に手を置いている。傍から見るとただそれだけだ。実際これだけ見て、桶狭間忠国の頭がぐちゃぐちゃになってるなんて思わないだろう。ぐちゃぐちゃといっても、力で脳みそを物理的にかき回してるわけじゃない。


(いや、もしかしてそういうことも……できるかも)


(できるでしょうね。実験しますか?)


(いやいやいや、そんなことしたら桶狭間は死ぬだろ)


 なんとそういうこともできてしまうらしい。でもそれはそうか……と思う。なにせ野々野足軽は手を使わずとも色んなを物を浮かせたり移動させたり――そんなことは当然にできた。物理的に浮かせて移動させることができるんだ。ならそれを……石ころで想像してみてくれればいい。浮かした石ころならそれを回転させることだって簡単だ。それが脳みそでできない道理があるだろうか? 


 実際脳みそは頭蓋骨の中に納まってるわけだが、脳みそはピッチピチに詰まってるわけじゃない。頭には水が詰まってて、どうやら脳みそはその水に浮いてるらしい。もちろん脳みそに接続する神経とかはあるだろう。でもそれもそんな丈夫ではなさそうだ。固定されてないのなら、簡単に脳みそを動かすことができる。実際、今も野々野足軽はそんなに力を使ってない。別に激しく脳みそをグルグルしてるわけじゃない。


 試しにゆっくりと左右に揺らしてるだけである。こんなの実際、野々野足軽的にはなんの力も消費してない程度である。それなのに……


「あ……うぁ……がめん……あぁ」


 と顔中の穴という穴からいろいろなものを垂れ流してそう懇願する桶狭間忠国が出来上がってる。左右に揺らしたときに、なんか体がちょっと傾いてしまうのがなんか面白い……とさえ思ってしまった。さっきまでは本当に物理的には動かしてなんかなかった。力を使って頭の中身をちょっと混濁させただけだ。


 声をぶつけるのだってきっとあれは脳の内部に音という衝撃を伝えてるんだと野々野足軽は思ってる。けど……だ。けどこれを見る限り、音よりも物理的に脳をいじる方が効果があるかもしれないと思わせる。


(すさまじいな)


(人間とはなんと脆弱なんでしょうね)


 そんなまさに人間の上位にいるかのような発言をアースはしてる。まあけど、それはアースの場合は間違ってはいないだろうと野々野足軽は思う。なにせアースは地球意思である。地球の意思が独立して行動してるような……そんな存在だ。この星がないと生きていけない人間という種に、生きる場所を提供してるんだから、アースは間違いなく上位なんだろう。


 でも――


(やめろ、勘違いしそうになる)


(勘違いなどではないでしょう? なにせ、貴方の手にかかれば、この人間なんて――)


「やめろ!!」


 脳内で会話してた二人だけど、アースの言葉に野々野足軽は思わず声を上げた。それに反応するのは生殺与奪を握られてる桶狭間忠国だ。野々野足軽が声を荒げたことに、機嫌を損ねたと思ったんだろう。


「ヴぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!」


 どうやら桶狭間忠国の何かが決壊したらしい。今までいつだって余裕があった筈の桶狭間忠国が泣きじゃくってる。きっと小さいころから強かったからこそ、桶狭間忠国は本当の恐怖ってやつを知らなかったんだろう。実際、そんな恐怖、野々野足軽だって知らないが……泣きじゃくる桶狭間忠国を見て、なんか面白いな――とちょっと自身の危ない感情の芽生えに野々野足軽を感じてた。


 なにせ桶狭間忠国は学校でもその周囲でも、一目置かれてるというか、恐れられてる。不良とか先輩とかさえ、桶狭間忠国には思わず「すみません」とか言っちゃうくらいには恐れられてるんだ。教師だって、恐れてる節はある。そんな奴に……野々野足軽は明確に勝利したといっていいだろう。それも正面から戦って……だ。


 ずっと野々野足軽は自分を平々凡々な存在と思ってた。そしてそれは今まではきっと間違いなんてなかった。でも力を得てから変わった。今それを……と桶狭間忠国という人間として規格外の存在を簡単に屈服させたことによって、それをようやく野々野足軽は自覚したんだ。


「くくっ、あははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」


 それを明確に感じたら、思わず笑い声がこみ上げてくるの野々野足軽。泣きじゃくる大男と、その背後にいる高笑いしてる男子高校生の図はそれはそれは異常だったかもしれない。

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