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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
190/871

189P

(わかったよ……やってみる。確かにずっと一人で隠し切るってのは辛いしな)


 アースが言った提案に乗ってみる事にした野々野足軽。桶狭間忠国が正直どういう反応をするのか……それはよくわからない。もしかしたら……


(化け物扱いされるかもな)


(それで何か困りますか? むしろ好都合じゃないですか。化け物を敵に回したいと思う人間はいません。生存本能があるのですから。強者と分かれば媚び諂うのが生物というものでしょう)


(……)


 何だか野々野足軽の内心に黒いドロドロとしたものが湧き上がる気がしてた。アースは純粋な言葉としてそれを言ってるというか思ってるんだろう。ただずっと見てきた中で、生物とはそういうものだ。強者が弱者を支配するのが、世界の構造なのだと……そしてそれがきっと歴史が証明してるからこそ、それにアースは違和感なんてない。


 確かにこの世界は本質的にはその通りなんだろう。いくら文明が発達して、そして民主主義だと声高に唱えていても……実際は世界は強い奴と弱い奴に分かれてるのかも知れない。


 けど強者というのは一体? と思う野々野足軽だ。なにせ強い弱いとは腕力なのか? と疑問に思う。


(それで、その方法は?)


※※※


 桶狭間忠国は冷たい地面の感触を感じた。地面が桶狭間忠国の体温を奪ってる。そうやって地面に体温を奪われていると、ようやく桶狭間忠国は目を覚ます。


「はっ!?」


 桶狭間忠国にはウトウトなんて曖昧な意識の部分はなかった。いや実際あったが、それを彼、桶狭間忠国は許さない。自身で無理やり覚醒させて素早く状態を起こした。それはまさに常日頃から戦いに身を置いてる者の動作って感じだった。この平和な国で常に戦いに身を置くなんてどうやったらできるのか……それは全く分からないが、取り敢えず桶狭間忠国はすぐに覚醒してそして目の前に佇む人物に目を向ける。


 それは勿論、野々野足軽だ。彼はこの線路の下にあるトンネルの壁に寄りかかっていた。そこそこ明るく保たれてるはずのこのトンネル内で、意図的にだろう。


 野々野足軽の顔には影が陰ってる。そしてそんな野々野足軽のことを見て、とても不気味に桶狭間忠国が感じる。それは桶狭間忠国が今まで感じたことないプレッシャーだ。


 桶狭間忠国は鍛えた体、それに体に追いつくための技術をちゃんと習得してる。体の使い方をそれこそ達人レベルに極めてるといっていい。だからこそ、この巨体で音も出さずに歩行することができるし、どんな態勢でもその体を支えることだってできる。そこらのチンピラにだって半グレにだって、それこそ本職の方々、それにちゃんと技術を習得して免許皆伝とかになってる武道の師範代とかにだって桶狭間忠国は負ける気なんてしない。


 そしてそれは驕りでもなんでもない。恵まれた体格とそして抜群の運動センス、それに一番はやはり桶狭間忠国の異常性が、まだまだ十六歳という年齢でそこまでの極みに到達させた。本来ならそれこそもっともっと時間をかけて半生位をかけておかしくない鍛錬が必要な程に桶狭間忠国は強い。


 そんな桶狭間忠国だからこそ、これまで喧嘩やら戦いやら、肉体的な勝負で負けたことなんてない。だからこそ、恐怖なんてものには縁がない。なにせすべてはその力で解決できたからだ。


 けど……


(なんだ……これ? こいつは……なんだ?)


 野々野足軽はただ壁に寄りかかって顔を下に向けてるだけだ。なにか声を発したり、変な笑いをしてるわけでもない。桶狭間忠国は他人の強さがなんとなくわかる。その体を見たらどのくらい鍛えてるのかもわかるのだ。体の動きでどんな技術を習得してるのか、それそこ体を動かすのが得意なのか苦手なのか――そんなことまでわかる。


 そしてそれによると、野々野足軽は普通の奴――というのがこれまでの桶狭間忠国の印象だった。そう……これまでは――

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