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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
161/871

160P

平賀式部告白騒動――から数日がたった。どうやらあの事件はあの学校の生徒達からはそうよばれてるらしい。そして一週間くらいたった今でもまだまだ熱い話題だった。


「おい」


「あれ」


「ああーなんで俺じゃないんだろう……」


「そうだよな。山田先輩なら諦めもつくけど、あれなら俺だってワンチャンあったと思うんだよな」


「俺だってそうだろ!」


 そんな会話を学校へと続く通学路で生徒たちがしてる。その視線の先には、とても目立つ女の子とそんなに目立たない普通の男の子がいた。二人は一定の隙間を開けて、歩いてる。話してる雰囲気ではない。二人共恥ずかしそうにしてる。きっと周囲の目を感じ取ってるんだろう。


 学校についても二人は一緒だ。なにせ学年も教室も一緒なんだから当たり前だろう。けど学校内では、町中よりもさらに注目される。これでラブラブな所を見せびらかすことが出来る――のなら、良かったのかもしれない。


 でも二人共、付き合うなんてことは初めて出し、どっちも奥手だったのだ。結局、いまの二人は、付き合う前よりも全然会話が減ってた。むしろ対面では全然はなせない。学校では常に視線があるから、どこかで二人っきりになる……のは不可能だった。


「ふう……」


 トイレの個室で野乃野足軽は大きなため息を吐く。別に大きなのを出しに来たわけじゃない。教室でもどこでも、心休まるところがないんだ。だからこうやってトイレの個室で注目されない事を堪能してる野乃野足軽だ。


「このままでいいのかな……」


 そんな言葉が自然と出てきた。野乃野足軽と平賀式部は付き合ってる。けど……実際の所、その事実を全然楽しい……とはおもってない野乃野足軽だ。野乃野足軽は思ってた。付き合うってことはきっと楽しくて、幸せなことなんだろうって。けど今の野乃野足軽はお世辞にも幸せなんかじゃない。ずっと申し訳ないって思ってる。


 なにせ心のなかではずっと、野乃野足軽はその力を使って平賀式部の心を操ってしまったかもしれない……と思ってるからだ。それを平賀式部に言うことなんて出来ないし、彼女は曖昧な記憶ながら、付き合う事実はなかったことにしないでくれた。


 でもただ、ただ、付き合ってるという事実が二人をぎこちなくしてる。周りがどうしたって、当人たちが幸せなら、それを気にせずに要られたのかもしれない。けどそうじゃないから……毎日がとても辛いってのが今の野乃野足軽の現状だった。

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