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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
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110P

「え?」


 山田奏は頬の痛みを理解できてないのか、呆けたような声を出した。そして周囲にいる人達だってなにが起こったのかわかってない。そして真っ先に動いたのは、女子たちだった。いやそれは正しい表現ではない。正しくいうと、山田奏に恋慕を抱いてる女子たちだ。


「ちょっと!! 何やってるのよ!!」


「そうよ!! いきなり叩くなんてなんてことするのよ!!」


 そう言って野次馬として集まってた女子たちが平賀式部へと寄っていく。けどそこで山田奏がハッとして、彼女たちを止めにかかった。


「大丈夫、自分は大丈夫だから」


「でも!!」


「いいんだ。お願い。まだ話はおわってないからさ」


「私的には終わってますけど? とりあえずそれ、返してください」


「アンタね……」


 やばい……と野乃野足軽は思ってた。いや、それは山田奏だって思ってるかもしれない。なにせこれまでだって別段平賀式部は女子たちにとっては印象が良いわけではなかった。なにせ孤高の存在だし、それでいて美人だ。そんな態度が女子たちの間では気取ってるとか、自分たちを下に見下してる……とかそういう被害妄想をしてた奴らがいる。


 でも今までは無視してた。それは別に平賀式部は目立ってたけど、派手に目立ってたわけじゃないし、下手に嫌がらせてとかしてても、そんなのは自分たちの印象を悪くするだけ……何もやらないのなら、無視してるのが一番……とかいう結論になったからだ。


 けど、今彼女たちは大義名分を得たのだ。なにせ平賀式部は手を出した。それは堂々と非難できる口実だ。それにこの学校で大人気の男子である山田奏に手を出した。この事実があれば、責めたって自分たちが正義になれる。そしてあわよくば、山田奏に気に入ってもらえるかもしれない……そんな打算だってあるだろう。


 でも……それなのに殴られた本人から止められて、更には平賀式部は叩いた事を全然なんとも思ってないような態度……それが彼女たちの心に黒いものを燃え上がらせてる。


 そんなの平賀式部は気にしてないが……きっとこれから彼女に対してのあたりが強くなるのは目に見えてる。平賀式部は気にしてない風に装うと思うが……それでも段々ときつくなっていったりしてしまうんでは? って野乃野足軽は心配なのだ。


「関係ない人たちは引っ込んでてください」


「こんの!」


 その一言がきっかけだった。なんとか耐えてたギャル系の三年の先輩がプッチーンと堪忍袋の麻が切れた音が野乃野足軽には聞こえた。そしてズカズカと進んだ彼女は平賀式部の髪を強引につかんで「ちょーし乗ってんじゃねえぞ!」とか叫んでキャットファイトが始まってしまったよ。


 基本平賀式部は手を出してないが、三年の先輩は興奮して平賀式部の髪を力付くで引っ張って、更には恫喝してる。そこに更にべつの女子とかが加わってきて、山田奏が止めようとしてもその声が掻き消えるくらいの甲高い女子の声が響いてた。


 そしてそれは教師がやってくるまで校門を騒然とさせた。

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