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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
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105P

「だいじょうぶですか?」


「君は……」


 山田奏は遊具の中で揺られて目覚めた。そして目の前には見覚えがない少年がいる。そんなに自分と年が変わらなそうな……そんな少年だ。そして頭がはっきりしてきたら、さっきの光景が思い出されてガバッとおきた。


「大男は!? 僕は生きてるのか?」


「大男……ですか?」


 彼……野乃野足軽は困ったようにそういった。なんか目が泳いでるが……山田奏はそんな事には気付いてない。


「ああ……恐ろしいやつなんだ……フードを目深に被ってて……目がギラッとしてた……それにその手はすごく大きくて……顔よりもデカかったかもしれない」


「そういえば、自分が近づいたらそんな人が去っていったかもしれない……ですね。警察に連絡しときます?」


「そうなのか……ありがとう。君は命の恩人だよ」


「あはは……そんな大げさですよ」


「いや、あの殺気は僕を殺そうとしてた」


「いやいや、流石に……」


 それはない……と言いたいが野乃野足軽ももしかしたら……とかは思ってた。


「そういえばまだ名乗ってなかったね。僕は山田奏。君は……」


「僕は野乃野足軽ですよ先輩。先輩は有名なので知ってます」


「有名なんてそんな……先輩と呼ぶということは君は後輩なのかな?」


 落ち着いてきたのか、山田奏は恐怖もなくなって震えも止まってきてた。そして誰かがいる……それが仮にも全然知らない相手でも、野乃野足軽は誰が見ても人畜無害そうな平凡な見た目をしてる。


 それが功を奏したのか、山田奏は完全に野乃野足軽を味方だと思ってるようだ。


「はい。自分は一年です」


「そうか……じゃあ後輩に情けない姿を見せてしまったね」


 そう言って笑う山田奏はそれでもイケメンだった。それに汗のせいだろうか、時々、服を引っ張って風を取り込もうとするような動作の度になんかいい匂いがする。男なのに……イケメンはどうやらいい匂いがするものだと思って、なんか劣等感を抱く野乃野足軽だった。


(やっぱりあのままやらせとけばよかったかな?)


 とかちょっと思ってる。


「いえいえ、あれは仕方ないかと……それよりも警察はどうしますか?」


「そうだね……この程度じゃきっと取り合ってくれないさ。これから気をつけるようにする。それに……あれは……君も見たんだよね? それならあの大男に心当たりないかな?」


「え?」


 ギクッとする野乃野足軽。だって野乃野足軽はあいつ……桶狭間忠国を監視しててこの状況をしったのだ。だからあの大男は桶狭間忠国であると知ってる。けど……言って良いものか……でもこの様子だと山田奏は犯人の予想はしてる。


 どうするべきかなかなかに判断に迷う状況だった。流石に殺す……なんて野乃野足軽は思ってなかったが、手を出すのはまずいと思って桶狭間忠国の邪魔をしにきたわけだ。その目的は果たした……けどもしもこれが繰り返されるとなかなかに面倒でもある……と考える。


 それなら一回警察に相談してる……という事実を山田奏につくってもらってそれをそれとなく桶狭間忠国に伝えれば抑止力になるかもしれないと考える。暴力に訴えかけるってのは流石に違う――と野乃野足軽は考えるてるのだ。

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