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お題:黄色い超能力 タイトル「ディグダ」

がむしゃらに穴を掘っていた。


 べつに目的があったわけではない。


 ただなんとなく裏庭を掘り返したくなったから――


 やがて、それは広く、大きい、それなりに深い穴となっていた。


 大の男の自分がすっぽりと入ってしまうくらいで、その分だけ茶色く湿った土は頭上で小山を築くことになっている。


 体の節々が痛烈に悲鳴をあげているが、鋼鉄のスコップだけはまだまだ仕事をやりたそうに先端を硬く尖らせている。


 疲れを知らないことは羨ましいことだった。同時に大変そうとも同情する。


 コイツはボロボロになるまで、人間にコキ使われる運命にしか生まれていないのだ。


 気がつけば空が夕焼けに沈む頃まで夢中で作業に没頭していたらしい。


 遠くでわずかな群れをなしてカラスが鳴いている。


 ここから出なくてはいけない。


 全身に付着した泥を見回しながら、汚れの少ない手甲で額の汗を拭う。


 地上に這い出ると、燦然と輝く夕陽は黄色い光を発していた。


 いつかスコップを捨てる日が来る。


 いつか俺も死ぬ日が来る。


 あいつもいつか休める時が来るんだろうか。

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