ノイズ
きんこんかんこーん
放課を告げる鐘が鳴った。
「まったく……冥条さんはともかく、何で私まで怒られないといけないのよ!」
朝の一件で職員室で絞られた三人。
エナが怒り心頭で夕陽に照らされた廊下を歩いている。
「そうだよ……おまえが余計なことするからだぞ!」
魔衣のプレッシャーに耐えられず、宿題写しの件をあっさりゲロったコータが琉詩葉を睨む。
「んーなことゆうてもねー、お二人さん!写させてと頼む方も悪いなら、はいはいと応える女も女!どうなんだ~風紀委員!」
逆切れの琉詩葉、エナを意地悪くつっつく。
「なん……ですって!!!」
ぎらん。エナの灼眼が琉詩葉を射抜く。
「どひ~!じゃ……あたし、先帰るから!二人ともごゆっくりの~」
ぴぴぴ!何かをサーチして、その場から離脱する琉詩葉。
「行っちゃったね……時城くん……『うちら』も帰ろっか……」
エナがおずおずとコータに声をかける。
「くそー琉詩葉の奴……!結局『あいつ』も早退したってゆうしさ~!あーもう今日はいいことなし!」
コータが頭をかかえてモンモンしている。
推しメン裂花の顔も拝めないうちに、一日が終わったのだ。
「まったくもう……」
エナがコータから顔をそらして、溜息をついた。
「やれやれ、エナちゃん、やっぱちょっと怖いわ~!」
一足はやく昇降口にやってきた琉詩葉が、ブツブツ言いながらの自分のシューズボックスをあけた。
ぱさ。
下駄箱から足元に落ちた一通の便箋。
「むむむ、なんであるかな?ファンレター?ラブレター?いーわよきたこれ!」
そんなもの、一度も貰ったことのない琉詩葉は、ニマニマしながら封を開く。
「ぬぬぬ……」
眉をひそめる琉詩葉。
かすみ草をゆかしくあしらった便箋には、達筆で、ただこう記されていた。
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冥条琉詩葉殿
本日夜四ツ、聖ヶ丘公園首縊りの桜にて待つ
月影の下に来るは二人、還るは一人
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「え~と……今日の九時すぎに聖ヶ丘公園か……これってまさか!?」
琉詩葉の肩が震える。
「こ……KO・KU・HA・KU♪」
琉詩葉の胸がきゅんきゅんした。




