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ルシフェリック☆バースト!  作者: めらめら
第3章 浮上!邪神学園
27/33

凶臨!邪神廟七部衆

 学園上空を飛びまわる蝙蝠状の怪人。校門から侵入してきた蹄の異獣。

皆、少年の降下と同時に攻撃を止めて、怪人は巨岩の周囲を旋回し、異獣は触手を揺らしながら様子を窺うように立ちつくしている。


「大牙、何の用じゃ?ぬしらと談判など出来ぬ事、先の戦で身にしみているつもりだが?」

 獄閻斎が厳しい眼で少年を睨むと、腰の脇差に手をかけた。


「まあまあ理事長、昔話をしたって詮ないことさ、それに僕は『代理』にすぎないんだ、『ルルイエ学園』の上主のね」

 大牙と呼ばれた美少年が、相変わらずバカにしたような口調で老人にそう言った。


「『代理』だと?ふん、白々しい事を!で、何の話じゃ、まさかここまできて停戦だの和睦だの言いだすのではあるまいな?」

 獄閻斎が鼻を鳴らして少年を問い詰める。


「理事長、今日は一つ、『提案』に来たんだ」

 少年が、少し神妙な顔をしてそう言った。


「『先の戦』はまさに総力戦、僕達も君達もお互い被った傷が深すぎた、僕達だってやっと現世で動けるようになるのに、これだけ時間がかかってしまったしね……」

 一人勝手にうなずく少年。


「ああ……忘れようとしても忘れられぬわ!」

 獄閻斎の眼が、静かに憤怒で燃えている。


「そこでどうだろう理事長、今回の戦、『ゲーム』で決着をつけると言うのは?」

「『ゲーム』?」

 訝る獄閻斎に、


「ああ、トーナメントさ」

 少年は悪戯っぽく笑って、そう言った。


「両学園からそれぞれ七人、代表選手(プレイヤー)を選出しての勝ち抜き戦、最後の一人になるまで戦い抜いて、勝ち残ったチームの学園が、敗校の全権を頂戴する……」

 勝ち抜き戦……。背後から少年と獄閻斎のやりとりを聞いていたエナは、ワナワナと武者震いが止まらなかった。

私の手で直接、こいつらを叩き潰す……コータくんを助ける!


「トーナメントだと……ふざけた事を……」

 そう言いかけた獄閻斎に、


「理事長先生!やらせてください!」

 エナが獄閻斎の前に進み出て、談判した。


「戦火が広がれば、さらに多くの生徒が犠牲になります、コータくんみたいに……」

 必死の表情のエナ。


「私も、選手に加えてください!」

 と、言うなりエナは、美貌の少年の方に向き直った。


「ガキンチョ!さっきはやってくれたな!言え、コータくんをどこにやった!」

 怒りのエナに、


「コータ?ああ、さっきの子供か、大丈夫、彼は生きてるよ、一足早くうちに『転入』してもらったけどね」

 そう言って少年はニタリと笑った。

少年の眼を見たエナは、全身が総毛立った。顔立ちこそあどけない少年だが、その眼からはいかなる感情も見てとれない。まるで死んだ魚の眼。


「理事長先生、お願いします!コータくんを助けたいんです!」

 再び獄閻斎に懇願するエナに……


「仕方あるまい、他ならぬ『槍の炎浄院』の頼みとあらば……」

 獄閻斎は渋々と言った顔で首肯すると、懐に手を遣り、筆ペンと巻物を取り出した。


「大牙……代表選手『七人』と言ったな……ならば、こちらも好都合」

 広げた巻物に、筆ペンで何かをしたためて行く獄閻斎。


 はらり。

見ろ。掲げられた巻物に、獄閻斎の記した聖痕十文字学園代表選手七人の名を。

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    聖痕十文字学園

  ―滅魔劫刹陣七人組めつまごうさつじんななにんぐみ


   冥条獄閻斎めいじょうごくえんさい

   蟲愛(むしめ)づる琉詩葉るしは

   雷光剣電磁郎らいこうけんでんじろう

   (くら)魔衣まい

   炎浄院慧那(えんじょういんエナ)

   影包丁究兵衛かげぼうちょうきゅうべい

   不思議相天幻寺(ふしぎそうてんげんじ)


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「なるほど、それが君たちの選手(プレイヤー)か……」

 少年もまた、ブレザーの懐から巻物を取り出すと、万年筆でスラスラと名を記し始めた。


 はらり。

おお。少年が広げた巻物に記された、ルルイエ学園の代表選手七人の名は……


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    ルルイエ学園

  ―邪神廟最凶七部衆じゃしんびょうさいきょうしちぶしゅう


   嵐堂(らんどう)めいあ

   絶界鬼大牙(ぜっかいきだいが)

   月影(つきかげ)餓瑠ガル

   死郎(しろう)

   楼薙綺羅々(ろうちキララ)

   闇野川圧勝軒やみのがわあっしょうけん

   棲舞愚(すまうぐ)


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「決まりだな、で、死合開始の時と場は?」

 そう問う獄閻斎に、


「本日この場」

 答えた少年、その刹那、


 しゅらん!

瞬速で抜き放たれた獄閻斎の脇差が、少年の喉元めがけて飛んで行った。


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