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ルシフェリック☆バースト!  作者: めらめら
第3章 浮上!邪神学園
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きざはしの鬼神

「き、『鬼神の番人』~?それに、『学園監視機構』って……?うちの学園を見張ってるわけ?」

 せつなと名乗った少年の口から飛び出す怪しい言葉の数々に、ちょっと引き気味の琉詩葉。


「お祖父ちゃんにも聞いたけど、そもそも『聖痕十文字学園』って一体なんなの?なんで地下にこんな怪しいものが……?」

 訝る琉詩葉に、


「そうか、まだ獄閻斎は話していないのか……いいだろう琉詩葉、ついて来い!」

 せつなは踵を返して神殿の奥に向かって歩き始めた。


「ちょ、ちょっとー!」

 慌てて琉詩葉、スクールバッグから顔を出したノコタンの灯すあかりを頼りに、少年の後を追う。

闇の中をどれくらい歩いただろうか。規則正しく屹立する黒大理石の柱が、気付けば目の前からその姿を消していた。


「これは……!」

 琉詩葉は辺りを見渡した。

二人が辿りついたのは、立ち並ぶ無数の巨柱に円形に囲まれた、大広間だった。


「な、何あれ!」

 琉詩葉は広間の中央を指差して少年に言った。

床から、何かが飛び出しているのだ。

近づくにつれて、それの正体が分かってきた。


「うう……!」

 琉詩葉はあまりにも異様なそれの姿を見て、嫌悪感に掌で口を覆った。


 広間の中央に生じた亀裂から屹り立っているのは、

二十階建てのビルほどもあるだろうか、黒々と輝く石造りの、巨大な、人間の腕だった。

丁度、肘から先の下腕が亀裂から飛び出して、まるで天を掴もうとするように、ぐわりとその掌を広げているのだ。


「せつな……君、なんなのさアレ……?」

 少年の方を向いて震え声でそう訊く琉詩葉に、


(きざはし)の鬼神……古文書にはそう伝えられている」

 せつなが話し始めた。


「『再創世神(リジェネレイター)まりか』が顕現する以前、混沌の世界と一体となって『大崩壊』を止めようとした神……」

 少年は巨腕を仰いだ。


「だが鬼神の願いは叶わず、奴は無念の内に世界と共に砕けた……『まりか』による世界再生の後も、鬼神の無念は晴れず、こうして世界の各地に食い込んだまま、眠り続けているのだ」

 せつなが、琉詩葉の方を見た。


「荒ぶる鬼神の魂を鎮め、眠りを妨げぬよう各地に神殿が建立された、ここがその一つだ」

 無数の石柱を見回す琉詩葉に、少年が言う。


「そして、地上より神殿を見守り、『再創世神(リジェネレイター)』の願いを受け継いでこの不安定な世界を崩壊から防ぐ、それが『学園』の使命なのだ!琉詩葉、『聖痕十文字学園』も世界に数多(あまた)ある鬼神を祀った聖地の一つ、お前の祖父、獄閻斎も『聖魔の円卓』のメンバーなのだ」


「が……学園とお祖父ちゃんにそんな秘密があったなんて!」

 驚愕の琉詩葉に、


「だが……我ら『聖魔の円卓』に牙を剥く者がいる、鬼神を祀る学園を次々と狙い撃ち、取り込み、鬼神の眠りを妨げようとする者が……」

 少年の顔が曇った。


「それが俺達の敵、『ルルイエ学園』だ」

 せつなの黒瞳が厳しく光った。


「琉詩葉、お前達『冥条家』も、俺達『如月家』も、世界開闢の頃より女神に選ばれた特別の一族、最強の『秘術』で世界を崩壊から守り保護する『監視者(ウォッチメン)』なのだ!」

 少年が力強く琉詩葉に言った。


「じゃあ……裂花ちゃん、こないだあたしと戦ったあいつも……?」

 眉を寄せる琉詩葉。彼女の首筋が、微かに疼いた。


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