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ルシフェリック☆バースト!  作者: めらめら
第2章 琉詩葉、特訓だ!
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十文字蠱毒房

「お待ちを獄閻斎様、この者、朝飯を目眩ましに!」

 悔しさに歯噛みしながら電磁郎、鞭で縛られた体を震わせて獄閻斎に必死の言い訳。


「電磁郎、琉詩葉のあの姿を見て、まだそのような言い訳ができると?」

 獄閻斎が厳しく教師に言い放つ。


 ……あ!琉詩葉を振り向いた電磁郎は驚愕に目を剥いた。

勝負を決した琉詩葉は、校庭にジベって悠然と朝飯を食べている。

先程電磁郎が両断したハニートーストをたいらげた琉詩葉。


 彼女が次に懐より取り出して剥き始めたのは、おお、見るからにプルプルの半熟茹で卵。


「卵を懐に?あの激しい立ち合いで……それを割らずに……!」

 電磁郎がガクリと膝をついた。

彼にトーストを断たせたのも敢えて。全て琉詩葉の計算づくだったのだ。


「ま、負けた……冥条琉詩葉、腕を上げたな……」

 電磁郎は顔を伏せて、潔く負けを認めた。


「よし!合格じゃ琉詩葉!」

 獄閻斎、琉詩葉に向かって、両腕で大きく丸の字。


「やったー!これで電ちゃんのしごきもおしまいだー!」

 朝食を終えた琉詩葉。水筒からほうじ茶を飲みながら歓声をあげる。


「よくやった琉詩葉!今から次の『行』だ!」

 獄閻斎がさらりと言う。


「ずずず……あぇ?次?」

 琉詩葉、ほうじ茶をすすりながら怪訝な顔。


 ぱちり。獄閻斎が指を鳴らした。


 ごごごごごごご。


 地響きと共に、琉詩葉の目の前で校庭が、割れた。


「ふ、ふお~!」

 余りの怪事に息を飲む琉詩葉。

校庭を割って地下より立ち現われたのは、一戸建ての平屋程もある、黒塗りの巨大な祠だった。


「琉詩葉、今より『十文字蠱毒房』の行を始める!」

 獄閻斎が厳めしく言った。


「冥条にて蠱術を修めんとする者が、いつか必ずくぐる行じゃ」

 そう言って老人は祠の方を見た。


「あれが蠱毒房への入り口、あそこより立入り、房での試練を全て耐え抜いた者だけが初めて、『冥条流蠱術』の使い手を名乗れるのじゃ!」

 彼は琉詩葉にアメジストの錫杖、『招蠱大冥杖しょうこだいめいじょう』を返すと言った。


「持ち込むことの出来る武器は、この大冥杖のみ!さあ行け!琉詩葉!」


「ちょ……お祖父ちゃん、ちょまっ!ちょまっ!」

 これまでよりも更に面倒な事になった。顔に縦線の琉詩葉。


「お祖父ちゃん、そもそも冥条(うち)の使命とか秘術って、一体何なの?これまで何となく流してきたけどさ?」

 琉詩葉が獄閻斎に尋ねた。


「最近、変な事ばかり起こるしさ!あの妖怪女も消えちゃったし、これから何が起こるのさ?」

 これまでの疑問を獄閻斎にぶつける琉詩葉。


「……よかろう琉詩葉、お前にも、もう話さねばならん、我ら冥条家の縁起と、『夜見の衆』の使命、そして『学園』の言い伝えの事も……」


 獄閻斎が話し始めた。


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