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ルシフェリック☆バースト!  作者: めらめら
第2章 琉詩葉、特訓だ!
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琉詩葉、特訓だ!

「それにしても、おっかしいよな~」

 寝っ転がったままプレステで『バトルフィールド・デッド』をやりながら、琉詩葉は釈然としない顔をしていた。

先日のエナの言葉を思い出していたのだ。

夕霞裂花(ゆうがすみれっか)』などという生徒はクラスにいないし、いたこともないと言うのだ。


「そんなアホな……だってコーちゃんだって、あんなに入れあげてたのに!」

 驚いてつっかかる琉詩葉に……


「コータ君だって、そんな子知らないはずよ……大丈夫?頭でも打ったんじゃない?」

 エナは本気で心配そうな顔をして、そう言ったのだ。


「そんなはずないんだけどな~、やっぱ、妖怪?取り憑かれた?」

 琉詩葉は、目覚める前に見た、あの異様に生々しい夢を思い出して、顔が火照ってきた。


「いかんいかん!あーもー!溜まってんのかな~あたし」

 彼女は首を振ると、気分を変えようと冷蔵庫から取り出したギガプリンにスプーンをつけた。


 と、その時、


「琉詩葉、特訓じゃ~!」

 『鳴滝の間』の襖をガラリと開けて立ち現われた獄閻斎。彼は琉詩葉を見るなり大声でそう言った。


「あえ……」

 琉詩葉のスプーンが止まる。

悪夢のようなあの夜から一週間。

三日間の昏睡から目覚め、どうにか元気に動きまわれるようになった琉詩葉だ。

せっかく療養のために学校を休んで、プリン食べ食べごろごろプレステをしているのに、この祖父は一体何を言っているのだろう。


「いやでも、お祖父ちゃん……」

 なんだか嫌な予感がして、琉詩葉は必死で言葉をつなぐ。


「まだ怪我とか治ってないし……ほれほれ、ぁあ痛つつつ!」

 彼女は包帯に包まれた手足を差し出すと、これ見よがしに顔をしかめた。


「琉詩葉……」

 獄閻斎は琉詩葉を睨みながら、ぱちりと指を鳴らした。


 ぴん。

火花を散らして、包帯止めが弾けた。

何時の間にか布地に生じた切れ込みから、はらはら剥がれる琉詩葉の包帯。

剥き出しになった手足に、裂花の刻んだ傷はもうなかった。


「お前の回復力くらい、よく分かっておる!琉詩葉、お前もそろそろ裳着の歳、今一度冥条の業、みっちり鍛え直す必要がある、さあ立て!」

 老人の眼がいつになく厳しい。


「どへ~まじ~?」

 努力や我慢が死ぬほど嫌いな琉詩葉。テンションはヘロヘロだ。


「でも~学校の~勉強も~頑張らないと~いけないし~、もう~一週間~休んでるし~」

 エナから貰った課題に手をつけてもいないのに。どうにかその場を逃れようと見苦しい言い訳だ。


「琉詩葉、問題ない。学校でも修行に励めるよう、こやつを専属トレーナーにつけた」

 獄閻斎がニカリと笑う。


「だはは冥条、今日から俺がトレーナーだ!」

 獄閻斎の背中から姿を現した一人の男。


「あ、あぅえ……」

 琉詩葉の口があんぐり。プリンをすくったままのスプーンが、ぽとりと床に落ちた。

男は、轟龍寺電磁郎ごうりゅうじでんじろうだった。


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