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ルシフェリック☆バースト!  作者: めらめら
第2章 琉詩葉、特訓だ!
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めざめ

「あたしの部屋……あれ……さっきのは……」

 目覚めた琉詩葉は一瞬、夢と現実の区別がつかずに、きょとんとしている。

障子から差し込む陽光が、今が昼日中だと琉詩葉に教える。


「琉詩葉様、やっとお目覚めになられましたか……」

 布団の横にかしずいて彼女にそう言ったのは、黒の燕尾服を着こんでモノクルをかけた物腰やわらかな美青年。

急須から白湯を入れ、戸惑う琉詩葉にすすめるその一所作が、もう絵になるくらいに優美だった。


 冥条家の執事、天幻寺夜斗(てんげんじないと)だ。


「ナイちゃん……どしたの、久しぶり……」

 目をパチクリさせる琉詩葉。

執事だというのに、いつも獄閻斎の命令であちこちを飛び回っていて、屋敷に居ることは少ない。

琉詩葉にも普段、彼が何をしているのか、いまいちわからないのだ。


「琉詩葉様、もう三日間お眠りになられていたのですよ、獄閻斎様が私を看病の為に呼ばれたのです、『護衛』も兼ねてですが」

 夜斗が、相好を崩さずに穏やかな口調で答える。


「あ……ああ!!」

 琉詩葉の目が見開かれた。あの夜の立ち合いの事をようやく思い出したのだ。


「裂花……!あんの妖怪女~、よくもあんな真似を!今度会ったらケツの毛まで抜いてヒーヒーゆわしたる!」

 怒りの琉詩葉、罵詈雑言を並べてたてて布団から起き上がろうとするが……


 すとん。

まだ手足に力が入らない。彼女は再び布団に尻もちをついた。

改めて見れば、手足は包帯でぐるぐる巻きだ。


「ほらほら琉詩葉様、まだ治りきっていないのですから、安静に、あと、そういう汚い言葉はお慎みを!」

 困り顔の夜斗が続ける。


「ですが、今日はようやく御学友ともお話できますね……もう二回もお見舞いに来ていただいているのですよ」

 夜斗は立ち上がって、障子を開けた。


「冥条さん……」

 障子のむこうに立っていたのは、同じクラスの炎浄院(えんじょういん)エナだった。


 #


「はいこれ、三日分の配布物、あと課題!」

 エナがぶっきらぼうに、布団の琉詩葉にノートのコピーやプリントを手渡した。


「ありがとうエナちゃん!お見舞い来てくれたんだって?もー、普段こわいくせに優しいとこあんじゃ~ん!」

 普段のテンションが戻ってきた琉詩葉が笑う。


「べ、別に!元気だけが取り柄のあなたが病欠なんていうから、弱ってる姿を見ておこうと思ったの!」

 相変わらず突っ慳貪のエナ。


「それより何なのよその格好……まさか電磁郎先生?」

 いぶかるエナ。


「いや、関係ない、ちょっとね……それより、エナちゃん、あれから『あいつ』、学校に来た?」


「あいつ?」


「裂花ちゃんよ!夕霞裂花!あんにゃろ~!もう容赦せぬ!今度学校に来たら、白昼堂々この手で叩き潰してくれる!」

 興奮して口調がバトルモードの琉詩葉。


「『夕霞裂花』……って、誰それ?」

 エナが首をかしげた。


「へ……?」

 琉詩葉の手からプリントの束がこぼれた。


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