83話「白熱していく防衛戦!」
腕が六つで筋肉隆々の巨躯。最強のアスラモードのゴン蔵が襲いかかろうとする。
それに対して居合抜きの構えのように光の剣を左の腰へ回して、前傾で構える。眼光が鋭く煌く。
「スターライト・スパークッ!!」
気合一閃! 横薙ぎに超高速の剣閃が、やや斜めに軌跡を描くとゴン蔵は上下に両断された。
次いで発生した衝撃波がゴン蔵を豪快に吹っ飛ばし、宙に舞わせると共に散乱した血や破片が広がる。
ヤマミは「賢者の秘法を使わなくても、この威力……!?」と驚愕。
近くにいたコマエモンも横目で「ほう……」と感心の笑みを漏らす。チンと刀を鞘に収めると、周囲のハス太たちは細切れに散乱。ザザン!
浮遊母艦の会議室で、ジダ公は一つのモニターを眺めていた。
「フン! 今すぐではダメか?」
「まだカイ。学院の戦力の底を全て見てからカイ」
「ちっ」
そっぽを向くジダ公に、カイ斗は「出撃する事になったら、ナッセはお前に任すカイ」と告げる。
でもそれは気遣っての事ではない。
ジダ公は気にそぐわなければ主人すら裏切る。邪魔するなら味方であろうが躊躇なく殺す。我が強く、唯我独尊。それ故に強い。
彼に狙われたが運の尽き。対象が死ぬまで執拗に追い続けるからだ。
正に『漆黒の惨劇 ジダ公』カイ…………。
すると、ドオオンッと揺れ、赤い光が部屋を断続的に照らす。クラッシュセブンは咄嗟にモニターを見やる。なんとマイシが映っている。
「火竜の爆裂散弾ッ!!」
マイシは口から灼熱の光球をドドドドッと連射。宙に浮いている巨大な母艦へ爆発の連鎖が広がっていく。
しかし母艦の周囲を覆うバリアに阻まれていて、着弾したそこから波紋が幾重も広がる。
「くそったれだし!! もっとデカいの……」
マイシは大きく息を吸う。多くの光子が吸い込まれていく。コハクは「いけない!」と焦る。
「待つのじゃっ!! マイシッ!!」
放送でヨネ校長の声が響き渡った。驚いたマイシは汗を垂らし、学院の方へ振り向く。
すると虚空にモニターが浮かび上がって、深刻そうな面持ちのヨネ校長が胸から上で映し出される。
「あんなデカい物をここら辺に落としたら都市が壊滅する! ひとまず周囲の敵を蹴散らしてくれ! 頼みますじゃ!!」
「ち……、しょうがないし!!」
群がってきた数十人のハス太を炸裂剣で吹き飛ばす。苛立ち紛れに連発を繰り返して数十人のハス太が続々と宙を舞っていく。ドカン、ドカン!
「は……はは。珍しいぞ」
「うん。素直に聞くなんて、変わったわね……」
「でも、頼もしいや」へへっ!
マイシも一緒に防衛戦で戦ってくれてる。それほど頼もしいものはない。
「ほっほっほ。アイツですか? オリジナルのゴン蔵を可愛がってくれたたわけ者は……」
「そうだカイ。数千人もの力を供給した上級の『刻印』発動中のゴン蔵を一人で倒した女カイ。見た目とは裏腹にとんでもなく強いぞカイ!」
「それは凄いですね……。それとカイ斗さん、わざわざ説明をありがとう」
カイ斗に向かって、ケン治は微笑んだ。ニコッ!
カイ斗は察した。ケン治もまたジダ公に並ぶ最強の人造人間。オカマ口調で丁寧な言葉を使うが、本当は冷酷で残酷な性格。そして王者の素質があり、いつ主人を裏切ってもおかしくない。それ故に強い。
正に『真紅の虐殺 ケン治』カイ…………。
「いや~~ん! これだから女って野蛮なもの多いわよね~?」
「うんうん。さっさと殺しちゃってポイしたいわぁ~~!」
ぶりっ子風にバイオとレンスは腰をふりふりしてみせる。
ゴツイ体格の男二人はオネェでボディコンを着ているのだ。
「おい! バイオとレンス、遊びの時間やがぜ!!」
苛立っていたコータロに呼ばれ、二人の男は「はぁ~い」「はいはい」ときゃいきゃいギャル風に小走りしていく。バタンとドアが閉まり、なんか色々恐ろしい事を始めた模様。あは~ん。ぎゃ~す。うふ~ん。
カイ斗は察した。
いつもはタネ坊ことオカマサとキンタことドラゴリラと遊んでいたが、今はコータロだ。
もちろん夜更しするほどボードゲームに入り浸るのだ。
将棋、オセロ、ウノ、スゴロク、人生ゲーム、ドンジャラ、カードゲーム……。
正に『夜遊の左右漢 我瑠羅バイオと我瑠羅レンス』カイ!
「……混ざりたいカイ」
ビルの上でコハクはオーラ纏う真紅の槍を片手に、襲い来るゴン蔵に身構える。口金の装飾が変化して先端が扇状の五叉に変形。ジャコッ!
「九十九紅蓮・五閃槍!!!」
ゴン蔵を何枚もスライスするように切り裂いた。ザンッ!
次々と襲いかかってくるハス太やゴン蔵を五叉の槍による広範囲斬撃で切り裂いていった。
敵の光弾や魔法が飛んできても、周囲にぐるぐる周回させる複数の槍でことごとく弾ききっていく。逆に飛ばして撃墜もする。
「近付けさせませんよ!」キリッ!
コハクの戦慄を感じさせる威圧で、ハス太たちも「ひいっ」とおののく。
ヨネ校長も「さすがは異世界の天才創作士だのう」と感心。
一方、リョーコは「いっせーの……」で斧を腰に引き構える。地面を揺るがすほどオーラは激しく放射状に迸る。そして斧を横薙ぎに振るう。
「スラッシュ・スレイヤァ──!!!」
広大な三日月の刃がすっ飛び、空を飛んでいた数十人ものハス太やゴン蔵を上下に両断。スザン!
両断された人造人間たちは白目で血を吐いて墜落していく。
「な、なんやねん!」
「斧使いの戦士って地味やって思ってたやけど、とえらいぞ!」
「なんでやねん! こないなタレが強いんや~~!!?」
恐れをなすハス太たちにリョーコは笑んで「斧女子よ! 斧・女・子!」と何気なくアピール。
何故かマミエは無表情ながらポッと頬を赤らめさせる。
「惚れないでね!? 惚れちゃダメだから~!!」
慌てて手をブンブン振るリョーコ。
「もはや決闘都市だNA! 行くZE! オレのターン!! ドロー!」
ミコトは五枚の手札を左手に、変な盾に装着してあるカードの束からスパッと一枚のカードを引き抜き、翻して表を見る。ニッと不敵に笑む。
「まずは【白魔の召喚陣】を発動するZE!!」ドン!
【白魔の召喚陣】
自分は手札・デッキから光属性のマジシャン族モンスター1体を自分の場に特殊召喚する。
「ぬ?」
「な、なんや!?」
「まさか! あのレアカードを!?」
何故かミコトに立ちはだかるハス太たちも変な盾を腕に、手札を手に持っていた。
デッキから流星のような光が飛び出し、宙を翔けた後にミコトの背後へ降り立つ。カガッ!
なんと白い法衣を身に纏い、白い三角帽子をかぶり、イケメンな顔。白い杖を手にフヨフヨ浮く。見た目人間だが、三メートル強の優男。
【ホワイト・マジシャン】レベル7
光属性・マジシャン族・攻撃力500000/守備力450000
聖なるマジシャンとしては攻守ともに上級レベル。
「くぅ~~! イケメンかよ! おもんねぇわ!!」
「せや! イケメンの主人公に美女のヒロインなんてムカつくだけやわ!」
「そうそう! ドラゴリラ様もおっしゃってたんや! しょーもない王道は死ねやって!」
「じゃから公開リンチや~~~~!!」
なんかヘイト膨らまして、それぞれカードを引き抜く。ミコトがターンエンド宣言もしていないのに、その辺ルールを無視している。
そしてそれぞれ手札からモンスターを召喚して並べていく。バババン!
【雷幻竜の掘揉三郎】レベル2億
男色属性・ホモミ族・攻撃力4500億/守備力3500億
男性の股間を揉む事だけが生き甲斐の格闘家。雷をまとって揉んだり、ドラゴンを幻影として顕現して揉んだりする。
シャドウマンとは股間を揉み合う熱い愛情で繋がっている。
【喧嘩屋 雷吉さん】レベル4億
喧嘩属性・不良族・攻撃力16000億/守備力9000億
雷を操って拳を振るう喧嘩屋。数々の強敵を倒してきた伝説の男。
【人間兵器シャドウマン】レベル2億
熱血属性・暗黒変態紳士族・攻撃力3800億/守備力6000億
名前はコードネーム。柩のようなケースから様々な兵器を繰り出す。危険な任務をこなし、誰にも知られることなく影に潜んで生きるが、熱い魂を持つ熱血漢だ。
掘揉三郎とは熱い友情と愛情で結ばれているが、他のメンバーにはすごく冷たい。
「どや!! 最強の超レアカードの布陣や!!」バン!
自信満々と腕を組んでイキり始めるハス太たち。
ってかレベル攻撃力守備力の数値の後に『億』って直筆してるぞ……。
「貴様ぁ!! カードに直接書きやがって! しもべが泣いているZE!」
ミコトは怒りを漲らせて、眼前で拳を握り締めた。ゴオオッ!
「へへっ! なにムキになってん?」
「バ~カ! たかがカードゲームやん!」
「はよレアカードよこせやぁ! それで勘弁したるわ~」
ハス太たちはヘラヘラする。それがミコトの決闘魂に火をつけてしまった。
「行くZE!! 手札から【撃滅の波動】を発動し、ホワイト・マジシャンで攻撃DA!! 聖・魔・法!!」
【撃滅の波動】
自分フィールドのモンスター1体を対象にして10ライフを払って発動できる。その対象モンスターはバトルフェイズ時のみ、相手モンスター全員に攻撃できる。この攻撃に対して相手は効果を発動できない。
ミコトの上でライフ表示されている40が砕け散って30に減点。
ホワイト・マジシャンが掲げた杖から、激しく唸る白い電撃が放射状に迸った。ズガガガ!!
被った敵モンスターは全てドドドンと爆破四散していく。
何故か激しく迸る白い電撃がハス太たちにも直撃! ズガガガガ!!
「ぐあああ!! バ、バカなぁぁあ!?」
ハス太たちの40あったライフがガンガン砕け散って、赤いゼロに表示。周囲にカードをバサッと散乱させて横たわるハス太たち。
ミコトは「ルールとマナーを守ってこそ真の決闘者だZE!」とビシッと指さして不敵の笑みで決めポーズ。
ドンパチしてて爆発とか連鎖しているのを、遠くからビルの上で眺めていた男がいた。刀を肩に乗せ、アクトは不敵に笑む。ニッ!
「へっ! 派手にやってんなァ……」
あとがき雑談w
リョーコ「あ、そうそうw 友達紹介しなきゃーw」
『佐松エリ(戦士)』
緑のパンチパーマじゃん。スタイル抜群で巨乳じゃん。あと金持ちじゃん。
二刀流の片手斧で戦う斧女子じゃん!
威力値6600
『鶴岡トシエ(戦士)』
黒髪ロングってカンジ。スラッと長身で尻と胸がデカいカンジ。
剣の刀身並みに長い刃が特徴の斧を振り回してぶったぎる斧女子ってカンジー!
威力値7430
『駿河ナツミ(戦士)』
ジト目っぽい褐色のセミロング金髪。棒のついた飴玉を咥えている。
大男が両手で持つ超重量斧を片手で軽々と振り回す斧女子。
重量の影響を受けない&視界に映る物体の重量が視える『血脈の覚醒者』。
実はこの中で最強。テルの本当の正体を見抜いている。
威力値:42000
『佐々木テル(戦士)』
橙のショートで体重が100キロを越えるデブ。
モヒカンのように斧を立てた兜で攻撃するらしい変な斧女子。
あまり喋らないというか、輪に入らず付いていくだけ。
実は本当の姿じゃないらしい……?
威力値7000
リョーコ「仮想対戦センターでの大活躍で、集まってくれた斧女子だよ!」
エリ「リョーコ、カッコ良かったじゃん!」
トシエ「ウチ解散してた時に、入れたってカンジ」
ナツミ「……リョーコ、エリ、トシエで斧女子チーム観るの楽しい」
テル「ぶひーぶひひんぶひん補欠ぶひひんw」
スミレ「俺も混ざりて~!」(悶々)
マミエ「……リョーコは渡さない」(嫉妬)
次話『ナッセたちの作戦で安全に戦える!?』





