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154話「巨悪と共闘? 意外な勢力!?」

 最高機密要塞の出入り口となるエントランスは、渋い銀色に煌く金属を主体に等間隔に並ぶ支柱を立てて、中への広い玄関が暖色の光を溢れさせている。

 ガラスの自動ドアは当然として、その先の広大な広場に受付のカウンター。そして軍人が複数いる。


 更に向こうの大きな扉は鋼鉄で頑丈な感じだ。

 もう夜だからと、オレたちは懐かしのヒーローたちと一緒に入ろうとしていた。



「なんだ城路(ジョウジ)くん。知り合いかい?」

「せやな。まさかヒーローたちと知り合ってるとは思わへんなー」


 歩いてくるタネ坊とキンタに「ああ、大事な仲間だ」と快い笑みで返す。ふと違和感がして、しばしの間を置いて驚きを露わにした。


「なんでこんなトコにいるんだぞ────ッ!!?」

「ええええええええええええええっ!?」


 リョーコとエレナは青ざめて絶叫。スミレも「あらあらまぁまぁ~」と驚いている。

 コマエモンは表情を険しくして「む!」と腰を低くして刀に手を添えて身構える。

 ミコトは怒りの表情で髪の毛を逆立たせ腕にデュエルディスクを装着し、デッキをはめ込む。


決闘(デュエル)なら、このオレが受けて立つZE!」バン!


 するとゴウッと熱風を撒き散らし、マイシは全身に竜を象るエーテルを噴き上げた。

 大地を唸らせるほどの威圧に誰もが驚く。

 当のタネ坊とキンタも恐怖に震えて「ひ、ひいっ……」と声を漏らす。


「てめぇら! 今度こそ跡形もなく灰燼(かいじん)に帰してやるしッ!」

「待ちなさい! 機密要塞の前ですよ!」

「落ち着けマイシッ! お前の力では粉々になってしまう!」


 殺気立つマイシを、コハクとフクダリウスは共に制止の腕で阻む。チラッとヨネ校長に一瞥。するとヨネ校長は頷いた。

 カツカツとタネ坊とキンタの前へ歩みヨネ校長は振り返る。


「驚かせてしまって申し訳ない……。彼らの仮釈放はノーヴェンとワシの嘆願によるものじゃ」

「そ……、そうなのか……?」


 今度はノーヴェンが前に出る。


「今回は日本を巻き込んだ大事件。故に()りすぐる日本側の創作士(クリエイター)(あらかじ)めアメリカに避難させましター」

「うむ。水に流せとは言わぬ。だが、今回だけは許してやってくれないかな? もうクラッシュオーガもない事だし、裏切らないとの念書も預かっておる」

「改めてみなさんにお願いしマース……」


 なんとヨネ校長とノーヴェンが謝罪するように頭を下げた。

 すると、後に続くように神妙な様子のタネ坊とキンタも土下座して深々と手と頭を地面に着けた。


「……済まなかった。俺自身許されぬ事とは重々承知している。決して許さなくてもいい。だが、この通り日本全土が危機なんだ。頼む! 償いになれないもの分かっている! だが力を貸させてくれ!!」

「すみまへん! すみまへん! もう裏切らんわー! もう懲り懲りやー!」


「ちっ!」


 マイシは苦虫を噛み潰したような顔で苛立つ。

 土下座している人を攻撃するなど彼女はできなかった。それに殺さなかったナッセとヨネ校長とノーヴェンの嘆願の事もあり、引き下がるしかなかった。


「マ、マイシ……すまねぇ」

「ナッセ、お前が謝るなし」


 憮然と通り過ぎるマイシを後に、オレは再びタネ坊とキンタの土下座を見やる。

 リョーコは「大丈夫なの? 信じても……?」と不安そうだ。



「オカマサ、ドラゴリラ……。いや森岳(モリタケ)さん、大珍(ダイチン)さん…………」


 かつては学院の生徒であり、頼れる感じの人格者だった。

 だが闇落ちしてモンスター化。やさぐれたか、狂ったか、地球を滅ぼす計画を立てて人造人間を率いて大阪に攻め込んできた。

 とんでもない悪事をやらかしたが、オレたちの奥義を前に敗れ去った。


 ……その後、ヤミザキに殺されそうになって思わず庇った。


 それでも納得しない人もいるだろう。

 だが、それでも元いた世界からの友達だった人だ。こうしてまた会えた。



「改めて……おかえり!」


 精一杯笑んだ。


「ううっ! も、もう裏切れへんわ……。なぁタネ坊……」

「そうだな……。城路(ジョウジ)くんには助けられた。今更恩を仇で返すような真似はできないさ」


 フッと清々しい笑みを見せるタネ坊。




「へははっ! 生温(ぬる)い友情劇なぞ虫酸(むしず)が走るわ!」


 途端に重力がかかったかのように、強烈な威圧が広大に席巻した。地面が震え唸り声のように振動音が響き渡る。ビリビリと全身を貫くような凄まじいプレッシャーが重い。


 すると反射的にタネ坊とキンタは屈んだ。

 まるで王様に跪くように、片膝を地面につけて頭を垂れている。逆らおうと必死に抵抗しているようだが、震えたまま動けないようだ……。

 彼らだけじゃない。他の軍人や名も知らぬ創作士(クリエイター)までもがみな跪いていた。


 それが四首領(ヨンドン)級の威圧だと戦慄を覚えた。

 だが、ヤミザキではない……!?



「ほぉお? 戦うまでもない雑魚ザコどもを跪かせる『覇王の威圧』を受けて平然と立っておるとは、大したヤツよ!」


 なんとエントランスから唯我独尊と長身の男が威風堂々と歩いてきていた。大胆不敵な笑みでこちらを見下している。

 額から放射状に弧を描くような五本の触覚のようなのと、耳を隠すほどの左右の長い前髪。腰まで長い後ろ髪。歳は四十路ぐらいだが顔立ちは整っている。首周りにボサボサの毛皮を備える真紅のマント。胴体には物々しい鎧。まるで戦い慣れた皇帝みたいな風貌だ。


「余はアメリカのヴィランを束ねる四首領(ヨンドン)! またの名を魔皇帝(イビル・エンペラー)へイン様よ!」



 驚愕した────────!!


 まさか二人目の四首領(ヨンドン)にでくわすとは夢にも思ってなかったからだ。

 バーニングガイが「待て止せ! 今は……」と制止の手を差し出す。


「うぬがかの噂のナッセかの!」

「あ、ああ……」


 ヘインは殺意を露わにマントをバサッと左右に広げると、背後から小さなヘインっぽい小人の大軍団がライフルを構えて現れてきた。ジャキキッ!

 オレも内から戦意を漲らせ、髪の毛がザワリと逆立っていく。

 助太刀しようとするヤマミを、アクトが引き止めて「大丈夫だァ」と笑う。


「これは挨拶がわりじゃ! 受け取れいッ!!!」


 ヘインが手を突き出すと、一斉にライフルはけたたましく発砲音を鳴り響かせた。恐ろしい程の弾幕の嵐が後方の施設を穿ち過ぎて派手に爆破。ドガァアッ!!

 次々と後方の施設が爆破炎上していく。

「ナッセ!!」とリョーコは叫ぶ。

 しかし、平然と剣を手に弾幕を潜り抜けヘインへと突き進む。


「次はこれじゃ!」


 今度は戦車砲級の太いライフルがジャキッと無数に並ぶ。そして再度発砲。鼓膜が破れんばかりの轟音がけたたましく鳴り響いた。


流星進撃(メテオラン)────、五十連星ッ!!!」


 剣を両手に正眼に構えキッと睨み据え、全身全霊込めた一撃を五十発、同時に等しく撃つ!

 ヘインの眼前で爆裂が連鎖。大気を破裂させながら余波が幾重も吹き荒れた。間近で多重爆撃が炸裂したかと思うほど危険極まりない破壊の蹂躙が周囲を食い尽くしていく。

 すると太陽の剣(サンライトセイバー)の破片が飛び散り、誰もが「あっ!」と口を開ける。


「おおおおおッ!!!!」


 それでもと死に物狂いの表情で爆風を吹き飛ばし、ヘインへ銀河の剣(ギャラクシィセイバー)を振るう。

 衝撃波の津波を引き連れながら横一線の巨大な剣閃が疾走(はし)る!

 その勢いを前に、ヘインは見開きながら好戦的に笑う。背後から巨大な小人が主砲を構えながら重厚な雰囲気で現れた。


「これにて終幕じゃ!!」

「ギャラクシィ・シャインスパァークッ!!」


 爆発にも似た大轟音を鳴らし極太レーザーが発砲され、巨大な剣閃と激突!!


 ズガゴォォォォォンッ!!!


 閃光と共に火山噴火のような規模で怒涛の大爆発を噴き上げる。超高熱を伴って広範囲に破壊を撒き散らした。

 荒れ狂う衝撃波の津波で周囲の建造物が粉々に吹き飛ぶ。なおも地響きは激しく続き、烈風も吹き荒れ続けていた。ゴゴッ!

 誰もが腕で顔などをかばって前屈みで立ち堪えていた。

 怯えたままのタネ坊とキンタを庇うように、アクトが銃弾のように飛んでくる岩飛礫を一身に受けていた。だが当人は平然と笑っている。


 シュウウ……と煙幕が流れ、辺り一面真っ平らの焦土……。



 オレは光のナイフで相手の喉手前へ、逆にヘインは拳銃でこっちの額に突きつけて、互いに硬直……。

 はぁはぁ息を切らしながら、余裕と笑うヘインの顔を睨む。

 しばしの間を置いて、ようやくヘインは拳銃を下ろした。


「かっかかかか! これほどやり合えるヤツは『七皇刃(ロイヤル・セブンズ)』以来じゃ!」


 オレにナイフを突き出されてもなお、大笑いする。


「下ろせ下ろせ。今は敵対するつもりはない」

「…………?」

「ちいっと試しただけじゃ! 噂通り貴様はやはり強い! 気に入ったわ」


 傲岸不遜(ごうがんふそん)なヘインの背後から、七人の人影がザッザッと勢揃いで現れてきた。

 いずれも数々の死線をくぐり抜けたヴィランたちだ。他とは面構えが違う。


剣士(セイバー)オータム!

 格闘僧(モンク)ガヅィン!

 槍士(ランサー)エイス!

 戦士(ファイター)ツィリーフ!

 僧侶(プリースト)サタネクス!

 召喚士(サモナー)スエック!

 狂戦士(バーサーカー)グレン!

 ……これが余の誇る『七皇刃(ロイヤル・セブンズ)』じゃ! この最大戦力で貴様ら連合軍に加勢しよう! 光栄に思うがいいわ!」



 オレたちは唖然とした……。

 巨悪として立ちはだかってたかもしれないヴィラン組織のボスと幹部が共闘してくれるのだと言うのだ。

 アメリカジェネラルやバーニングガイへ振り向くと、コクッと肯定(こうてい)するように頷いてきた。

 まるで夢でも見てるのかってくらい、この光景が信じられないぞ……。


「す、すげぇ…………! あの四首領(ヨンドン)勢力が味方に!!」

「凄いじゃない!! これなら絶対勝てるよっ!!」


 嬉しそうにリョーコがオレの背中をバンバン叩く。痛いなぁ……。



「震えるほど感動してるトコ悪いんじゃが、一時的な共闘じゃからな?」

あとがき雑談w


ヘイン「まさかの再登場ォォォォォ!!!」(大歓喜)


 歓喜のあまり『覇王の威圧』が辺りを席巻。またタネ坊とキンタとその他軍人などが跪いてしまう。


リョーコ「ええ? うっそー? タネ坊とキンタ強いんじゃないの??」

ナッセ「悪いけどタネ坊とキンタはレベル外って事か……。彼らと軍人の間のレベル差自体が相当なもんだが、四首領(ヨンドン)との差があるって点に置いちゃ変わらねぇもんな……」キリッ!

スミレ「何気にひどい扱いだね~w それどっかで聞いた事あるセリフ~w」


タネ坊&キンタ「ガーン!」


ナッセ「でも初期であのフクダリウスと善戦してたんだよな?」

フクダリウス「あの時はかなり手加減した。殺す訳にはいかんからな……」

マイシ「じゃあ、こいつら戦力になるのかし?」


みんな「あっ……!」


モリッカ「驚き役とかあるじゃないですかーw」ケヒャッヒャ!

コハク「解説役もいいじゃないですかね」キリッ!

スミレ「何気にひどい扱いだね~w」


タネ坊&キンタ「ガガーン!」


 しっかり彼らにも活躍できる場面は用意します! 多分!



 次話『多分、機密要塞の秘密が明らかに……?』

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