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144話「追憶! 強力無比! 妖精王の力!」

 冷たい風が吹く夜。周囲に崩れている建物や残骸が転がる。そんなマンション前でクッキーとナッセは向かい合っている。


「……行っちゃったよ」

「どこへ!」

「待って! 待っててよ!」


 今にも駆け出したいと思ったら、クッキーが慌てて制止の手を向けてきた。


「このまま追いかけても、きっといい結果にはならないよ」


 焦れったくて「なんで……」と吐露。

 その心情を察してかクッキーは溜息をつく。



「あの子は絶対に『理由』は言わないよ」


 動揺が胸を駆け巡る。背中が冷や汗で冷たい。

 それってどういう意味? 嫌いだから? なぜ?


「このままこじれるのは見てられないからネタバレするけど、ヤマミは決してアナタを嫌いになってはいない。むしろ好きだからこそ心を鬼にして守ってるんだよ! ナッセ、アナタをね」

「オレを……守って…………??」


 嫌いになっていない。クッキーは確かにそう言った。彼女は軽率なウソはつかない。

 だが繋がらない……。

 厳しくしてくるのと、守ってくれるのと、なぜそうするのかの『理由』を言わない理由が……。


「例えば、本当の理由をアナタに言った途端、星獣の時のような恐ろしい事が起こるとしたとしたら?」

「星獣の時と?? 星獣が関係しているのかぞ?」

「違うの! 例えばの話! 『真意を知った時に恐ろしい事が起きる』としたら、だよ?」


「オレが『理由』を知ったら??」


 ワケ分からないぞ……。なにか呪いでもあるのか?


「逆の立場で考えてみて! カウント中の時限爆弾がついているヤマミにソレを言えば即ドッカーンしちゃう感じで!」

「はぁ? ヤマミにそんなモノ……」

「いーから! いーから! ヤマミにそういう爆弾がついているみたいに考えて!」


 何言ってるのか分からないぞ……。

 オレに時限爆弾? 見当つかないし、そんなもの身に付けてない。


 ……でも! ヤマミにそういうのがついていたら、言えないよな。


「ってゆーか、そんな爆弾取り除いてやるっての!」

「無理! 体そのものが時限爆弾で助からない。言わなければずっと延命できる」

「それもう詰んでるじゃん! つーか、どうしろと?」


 そうだとしたら、永遠に言えないじゃないかぞ…………。しかも時限爆弾ってたから、その内ドカーンするよな……。

 ってか変なゲームだなぞ。これ。



「ヤマミは極端な言動をする事が多い」


 冷たい風がビュオオオ、と吹く。枯葉がそれに乗じて流れてくる。

 夜の冷えた空気か、身震いする。


「……好きだって言ってくれたんですってね」


 クッキーの真剣な顔。


 ────確かにそうだ。初めて会ってから、しばらく吸血鬼退治に付き合ってたっけな。

 親父であるヤミザキの命令で転校する前に、マフラーを渡された後だった。


《ナッセ…………》


 突然抱きついて胸元に顔を埋めてきたので、こちらも彼女を抱きしめた。しばしの至福のひととき。

 しかし彼女(ヤマミ)は離れ、恥ずかしそうに頬を赤らめさせた。そして微笑む。


《好き!》


 ヤマミの眩しい笑顔。それは決して忘れられようがない。



「で、アナタは何か言った?」

「え……。特に何も…………」


 思えばそうだ。そのまま立ち去るのを見ているしかなかった。


「ヤマミの事嫌い?」

「い、いや!」

「ってか唐突な言動に振り回されて、イヤにならない?」

「そ、そんな事ないよ……」


 思わず否定の気持ちが沸いて首を振る。するとクッキーは笑む。

 ゆっくり歩いてきて、ポンとオレの胸を優しく叩く。


「会ったら言ってやりなさい! 好きでも嫌いでも、アナタの本当の気持ちをね!」


 じん、と熱い何かが沸いた。




 それからというものの、激動の日々が続いた。

 ヤマミが二度と姿を現さなくなったのが今でも胸が痛む。だが多大な犠牲を払ったものの四首領ヤミザキを打ち倒す事ができた。

 欠けていく仲間に感傷を覚え、それでも前へ進まなきゃとオレは()()()を覚醒できた。



「グオオオオオオ!!!」


 ついに大地を割る勢いで星獣が、その巨躯を乗り出してきた。

 途方もないエネルギーが凝縮された星の生命体。吠えるだけで旋風を巻き起こし大地を揺るがす。相棒のアクトと一緒に生き残った仲間と共に立ち向かった。


 星獣が腕を振るい、生じた衝撃波の津波が地響きと共に迫って来る。


「行くぞッ!! 六輪羽(ろくりんばね)星天(せいてん)妖精王(ようせいおう)──、全開ッ!!」


 昂ぶる気持ちのままに広げた両足で踏ん張って合掌。すると足元から光の花畑が急速に咲き乱れて、荒ぶるように花吹雪が周囲を舞う。そして後ろ髪を伸ばし、目の虹彩に星のマークを描く。背中に咲く花から、花びらが六つ離れながら拡大して背中に滞空させた。


「おおおおおおおッ!!」


 咆哮に伴って、花吹雪吹き荒れる凄まじい光柱を吹き上げつつ、大地を揺るがしていく。


 これがモリッカの自爆を受けて満身創痍になったとは言え、あのヤミザキを打ち倒せた最強形態!

 対極ながらマイシのドラゴンの力と同格とも言える人智を超えた力!


 迫り来る衝撃波の津波に向けて掌を向ける。


「デコレーションフィールド! 攻撃無効化!!」


 衝撃波の津波は途端に光の鳥群となってブワァッと柔らかく飛び散っていく。しかし範囲外は壮絶な破壊が撒き散らされ、岩盤が大規模に捲れ上がっていく。


「オオオオオオ!!」


 全てを震わせる怒りの咆哮。

 ふわりと足を浮かせて浮遊。途端に音速で空を駆け、星獣の仮面を殴りつける。大気が爆ぜ、星獣は僅かに吹っ飛ぶ。

 しかしギロッと星獣の大きな眼がこちらへ向く。怒りの感情を感じる。


 筋肉のラインに添って赤く煌めかせ、憤怒の表情のアクトが二本の刀を振るい下ろして星獣を地面に埋めた。その際に周囲に衝撃波の余波が吹き荒れた。


 上空に巨大な白き火炎球を数十個『衛星(サテライト)』で浮かし、挙げていた手を振り下ろす。

 大規模の大爆発の連鎖が星獣を包んでいく。

 その吹き荒れる烈風と地響きにこらえながら、軍や他の創作士(クリエイター)は驚きおののいていた。


 アクトと共に、巨大な星獣へと向かっていった。

 天高く轟く大規模の爆発。震える大気と大地。これまでの並行世界(パラレルワールド)以上に善戦を繰り広げる事ができていた。

 妖精王の力に目覚めた事もあり、攻撃無力化が強力な決め手になったからだ。


 星獣の吐く刹那の光線すらも、煌びやかな霧となって緩やかに扇状に散開しながら通り過ぎていく。


 破壊と呼べる現象を優しいエフェクトに散らして無害化する妖精王の秘術。範囲内という制限があるが、周囲の仲間を守るならば超強力なスキルだ。

 これはどちらか言うと『概念操作』に近い。

 相殺するとかの類ではなく、完全に浄化してゼロにする。範囲内だけがファンタスティックな世界に変えてる感じ。

 ……しかし消費がバカにならないなぞ。


 疲労を帯びる最中、ヤマミが脳裏に浮かぶ。


 きっとどこかにいるはず……。どこにいるかまでは分からない。

 ここにも現れてくれるかと思ったけど、もういい。もういいんだ。


「ここで終わりにしてやっからな!!」


 この先会って、この気持ちを伝えるために────!


 昂ぶる気持ちを胸に、上空から大爆裂魔法を撃つ!

 大爆音を伴って白き特大爆発が視界いっぱいに広がる。その凄まじい破壊の激流に星獣も「オオオォォォオオォオ!!」と苦悶を上げていく。

 もう『無限なる回転インフィニティ・スピン』が使えなくなった今、オレが繰り出せる最大最強のスキルだ!



 その頃、ヤマミは見上げた。

 天高く噴き上げていく白き火柱が視界に入った。とても雄大で神々しい輝き。遅れて地響きが地面を走ってきた。

 星獣とナッセたちが戦っているのだと察した。

 加勢に行きたい。けど足取りは重い。傷心して俯くヤマミ。


「ううん。私の事嫌いだもの……。来て欲しくないに決まってる」


 首を振って、張り裂けんばかりの悲しみを押し殺す。

 葛藤して自分の気持ちの中であらゆる矛盾がぶつかり合っている。ナッセの元へ加勢しに行きたい強い想いと、嫌われてるなら行きたくないと強い悲しみの気持ち。


「行ってあげて!」

「え?」


 振り向けば、涙で滲んだ視界の先にクッキーがいた。


「後悔するよ? いいの?」


 その言葉だけでもヤマミは首を振る。キッと涙ぐんだ目に気丈さが宿る。魔法少女となって、空へ駆け昇っていった。

 それを見送ってクッキーは安堵の息をつく。




「グオオオオオオオ!!!」


 星獣の雄叫び!

 渦巻いた暗雲から嵐のような落雷が降り注ぐ。更に大地の全てを薙ぎ払う衝撃波の津波。それは日本という島の形をも崩すほどの天変地異(カタストロフィー)


「うわああああああああ!!!!」


 雷伴って荒れ狂う激流にオレもアクトも吹き飛ばされていく。

 その最中、大勢の命が流れるように散っていった。なおも破壊の嵐は絶えない。

 攻撃無効化ですら手に負えないほどの圧倒的な力に完膚なきまで打ちのめされた────。



「ぐ……ぎは……」


 半分は海に沈み、岩盤がめちゃくちゃに砕かれた地面で血を吐いて横たわっていた。その側でアクトが苦悶に呻く。

 なんとか立ち上がろうと力を振り絞る。

 依然健在の星獣はこちらを睨み、水飛沫や大地を吹き飛ばしながら迫って来る。


「グオオオオオオオオオオオ!!!」


 立つのがやっとの満身創痍。枯渇するほど疲労困憊。憔悴する気持ち。

 もう絶体絶命の危機だ。


「ナッセ……、俺も最後まで付き合うぜァ……」


 側で立ってくれるアクトが頼もしい。だが!

「お前だけでも生きてくれぞ!」とアクトを光で包んで、遥か遠くまで飛ばした。




 ──そして脳裏にヤマミの笑顔。好きって言ってくれたあの場面。


 ハワイ行ったよな。そんでアメリカでヒーローやってたな……。

 そんときに三大奥義の一つを完成させたっけな。


 ヤマミが一緒にいてくれたから頑張れた…………。


 いつも側に寄り添ってくれたヤマミが愛おしい。これまでの付き合いが脳裏に焼き付いて離れない。感謝しかない。後生大事な伴侶にも等しい。

 頭にも心にもいっぱいいっぱいなほどに彼女への愛おしい気持ちが溢れている。

 悔やむは彼女にそんな気持ちを伝えられない事か……。


 ごめん……!


「グゥオオオオ!!」


 吠えながら迫ってくる星獣を霞んだ双眸で見据え、そして祈るように目を瞑る。

 厳しい顔をしたヤマミが浮かぶ。


 愚かな事だって分かってる! けど……ごめんな…………!


 展開した六枚の純白の羽に真紅の葉脈が走り、羽全体に朱が徐々に染まっていく。背中の花から蓮のような蕾が膨らんでいく。

 その蕾は次第に満開になっていく。その中から光が篭れ出る。鍵の先っぽが顔を出す。


 一緒に異世界へ行こうって『夢』も……放り出してごめんな…………!


 命が失われていく痛みで胸に拳をあてがう。口元の端から血が一筋に垂れる。顎まで下ると地面にポタポタと滴り落ちていく。

 ──それは代償の真紅。賭した命の一滴まで鍵に注いでゆく。

 命尽きる間際か、走馬灯のように脳裏にヤマミとの思い出が流れた。オレは直に死ぬ。そう確信した。


 だが、それでも破滅の連鎖は絶対に終わらせてやる!!


 そんな決意を胸に、カッと双眸を見開く。



 ──星天の妖精王 御開帳『運命の鍵』──

あとがき雑談w


ナッセ「実はオレが妖精王とか内心ショックだったけど……、無効化能力つぇえ」

クッキー「そうでしょ? そうでしょ?」(えっへん)

ナッセ「……さては師匠の仕業かぞ? オレを妖精王に」(ジト目)


クッキー「さ、さぁなんのことやら」(目を泳がせててへぺろ)



ナッセ「どうせならこの後、なんかの拍子でドラゴンの力が加わって二つの力を得るとかいいよな。妖竜人? 双極紋?」


 右手にドラゴンの紋章。左手にフェアリーの紋章。マイシみたいにドラゴンのオーラで覆いつつ妖精王の羽が加わった安易なビジュアルが浮かぶ。

 ぼくのかんがえたさいきょうのじぶんだぞ。


クッキー「妄想痛い痛いw でも実現無理だからねw」

ナッセ「ぐぬぅ……!」



ドラゴリラ「ここだけ一つ内緒話あるんや……。ワイもサンライトセブンのメンバーという初期設定あるんやが、当初はゴリラと雷龍の二つの力を持ったハイスペックキャラだったんや」


クッキー「でも二つの異なる力は競合する上に寿命縮む設定もあり、ゴリラなにそれダサいって理由でボツになった裏事情だね」

ナッセ「せめて斉天大聖(せいてんたいせい)とドラゴンとだったら……」

クッキー「それゴリラじゃなくて猿だけどねw つか変に混ぜなくても斉天大聖(せいてんたいせい)で充分強いよ! 知人にいるけど」

ナッセ(いるんだ……)


ドラゴリラ「ちくしょお~! ちくしょおお~!! 完全体になりさえすれば……!!」

ナッセ「いやなってたじゃん? 究極完全体クラッシュなんとか……」


オカマサ&ドラゴリラ「黒歴史えぐるの止めろぉぉぉ!!!」(濃い顔で絶叫)



 次話『ナッセの魔王化!! 来たる世界の危機!』

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