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最強のおっさんハンター異世界へ~今度こそゆっくり静かに暮らしたい~  作者: 月島 秀一
第五章:モンスターだらけの世界

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二十五:おっさんと憤怒の大罪グラノス


「じ、ジン……さん……?」


「お、おっさん……無事、だよ……な?」


「……じ、ジャバババババ! はぁはぁ……し、死ぬかと思ったぞ、人間よ!」


 グラノスの高笑いが森中に響きわたる。


「しかし……まさか最後の手段が自爆とはな……っ。これではどちらが『モンスター』かわからぬなぁ! ジャババババババッ!」


 奴は地に倒れ伏せた俺を前に、本当に気持ちよさそうに笑っていた。


「おい……いつ勝負が終わったんだ?」


「……っ!? な、にぃ……!?」


「ジンさん!」


「お、おっさん!」


 土を払いのけ、ゆっくりと起き上がる。

 チラリと背後を振り返るとそこには、アイリとヨーンの姿があった。


「こらこら、逃げろと言っただろう……」


 ため息まじりに少しだけ注意しておく。 


「ご、ごめんなさい……っ」


「だ、だって……いきなり凄い光と音がしたから……っ」


 アイリはペコリと頭を下げ、ヨーンは申し訳なさそうに視線をそらした。


「全く……」


 口ではそう言ったものの、俺は少し複雑な気持ちだった。


 心配して戻ってきてくれた二人の気持ちは本当に嬉しい。

 嬉しいが……次からは二人の身の安全のためにも、俺を置いてちゃんと逃げて欲しい。


「き、貴様……っ! 何故、死んでいない……っ!?」


 グラノスはまるで化物でも見るかのような目でこちらを見ていた。


「……? お前は何を勘違いしているんだ? 俺はただ眩しかったから、少し地面に伏せていただけだぞ」


 さっきのような強い光は、俺たち人間にとっては非常に危険なものだ。

 目をつぶったとしても全ての光を遮ることはできず、最悪わずかの間だが完全に視界を奪われてしまう。

 こういうときは身を小さくする意味も含めて、その場に伏せるのが一番効果的なのだ。


 すると俺の回答が気に食わなかったのか、奴は激昂して叫んだ。


「そうではない! 何故、あの大爆発をその身に浴びた貴様が無事なのかと聞いておるのだっ!」


「あぁ。それなら簡単なことだ。――体の丈夫さには、少し自信があるんでな」


 俺はこれまで何十年もの間、自分より十倍も二十倍もでかいモンスターと戦ってきた。


(巨大な体に潰され、獄炎のブレスで焼かれ、谷底へ突き落されたりもしたっけか……)


 そうして体にいくつもの傷跡を蓄えながら、少しずつ少しずつタフになっていた。

 そもそもハンター業は肉体労働の中の肉体労働。

 体が丈夫でなければ務まる仕事ではない。


「そ、そんな……馬鹿なことが……っ」


 狼狽して一歩後ずさるグラノスをよそに、俺は奴の体へ目を移す。


「ほぅ……やはり魔法は効果テキメンだな」


 鉄壁を誇った憤怒の剛鱗は、今や形無しだ。

 あちこちにひび割れが見られ、完全に剥がれ落ちている箇所も目に付く。


「これならばあと五発……いや、三発もあれば十分そうだな」


 俺は距離を詰めるために一歩前へ進む。

 それに対して、奴は一歩後ずさった。


「き、貴様とて……これ以上の自爆はただでは済まんはずだっ! 何故、そう死に急ぐ……っ!?」


「ん、俺か? 心配してくれるな、この程度ならば――あと百発は問題ないぞ」


「……ッ。つ、つまらん嘘はよせ! 人間のような弱小種族が、あんな大爆発に耐えられるわけがないっ!」


「嘘かどうかは、やってみればわかることだ」


 さらに一歩大きく前へ進むと、奴は大きく一歩後退する。


「……そ、そうだ! ここは穏便に取引といこうではないか! 儂はもう貴様とあの小さき娘どもに手を出さん! あの村の人間にも、裏切ったゴブリンにもだ!」


「その話を俺が信じるとでも思うか?」


 俺が大剣を失ったとき、奴はアイリとヨーンを八つ裂きにして生き地獄を味わわせると言っていた。


 つまり、こいつはそういう(・・・・)奴だ。


 自分が有利な立場になれば、相手を精神的にも肉体的にも痛めつけて愉悦を味わう。

 その一方で不利な立場に立たされれば、今のように平気で嘘を並び立てる。


 話をするだけ時間の無駄だ。


「さてと……そろそろ第二ラウンドといこうか?」


 俺はさっきの要領で右の手のひらに光球を作る。 

 キーンという甲高い音が鳴り響き、光球は不安定に揺れた。


「や、やめろ……儂の負――」


「――<爆発/エクスプロージョン>」


 瞬く間に光球は膨張し――世界を白一面に染め上げた。


 それから何度爆発しただろうか。


 あたりに草葉の影すらなくなり、地面が一面真っ黒になったあたりでグラノスは動かなくなった。


「……ふむ、さすがに死んだか」


 ――強敵だった。


 俺がこれまで討伐したモンスターの中でも上位に食い込む厄介さだった。

 このマナの無い――魔法の使えない世界において、グラノスはほとんど無敵の力を振るう。

 だが、俺は魔法の才能にこそ恵まれていないが、あり余った身体エネルギーを使って魔法を暴発させることができる。


「まぁ、つまりは――相性が悪かったな(・・・・・・・・)、グラノスよ《・・・・・》」


 こうして、この世界を支配する憤怒の大罪――グラノスを討伐することに成功したのだった。

【※とても大事なお知らせ】


ついに本日12月15日! 書籍版の公式発売日となりました!

紙の書籍版は約三割が新エピソード! ジン一行が【通常の世界】でクエストを受けたり、スラリン・リュー・アイリのエッチな長編エピソードを収録! もちろん! 松竜様が描いた可愛いヒロインと渋格好いいジンの挿絵付き!


明日は発売直後の【日曜日】――最も販売が期待される日……っ。

まさにこの作品にとっては、大事な大事な決戦の日……っ。

ライトノベルは発売後一週間の売り上げが命……どうか紙の書籍版をお買い上げいただきますよう、よろしくお願い致します……っ!


とらのあな・ゲーマーズ・メロンブックス様だと特典付き+大展開中なので、見つけやすいです!

また、アニメイト様でも大展開していただいているようです!


作者直筆サイン本が売っている店舗もあります!(初めてのサインだったので、かなり緊張しました……っ)


次回更新は明日! 今後ともよろしくお願いいたします!


↓ここから下は前回と同じ【特典】の紹介になります!


【とらのあな様】

書き下ろしSSリーフレット:リューの料理! リューが一生懸命ジンのために料理をするが……?

松竜様の描いた美麗でちょっとエッチなクリアファイル!

さらに有償特典としてB2タペストリー! こちらかなり肌色成分を多めの非常にエッチな一品となっております!

【ゲーマーズ様】

松竜様の美麗イラストを使用したブロマイド(下着姿のアイリ・スラリン・リューです!)

【メロンブックス様】

書き下ろしSSリーフレット:スラリンのプレゼント スラリンがジンのためにプレゼントを用意するが……?


どうか紙の書籍版をお買い上げいただきますようお願いいたします……っ!

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