表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高嶺の花と無自覚なライバル  作者: はるさんた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/23

「完璧すぎる悪役令嬢、その葛藤」



放課後の学園庭園は、夕陽に染まり、金色の光が芝生を照らしていた。


黒髪が腰まで届くレイナ・フォン・シュヴァルツは、手元の書類を整理しながらも、周囲の動きに目を光らせる。

その端正な青い瞳、真っ直ぐな姿勢、整った立ち居振る舞い――周囲の生徒たちは自然と一目置く。


しかし、彼女が「悪役令嬢」と呼ばれる所以は、美貌だけではない。


授業や放課後の所作は常に完璧


冷静で判断力に優れ、少し近寄りがたい威厳


言葉遣いや動作に無駄がなく、少し厳しさを感じさせる



完璧すぎるその姿勢は、周囲に尊敬と恐怖を抱かせる一方、自分自身に問いかける理由にもなる。


(…本当にこれでいいのかしら。私は、ただ完璧でいるだけで…心から楽しめているのか…?)



---


庭園の奥を歩くミラ・フォン・リーヴァは、制服に自分で選んだ華やかなリボンを飾り、胸を張って歩く。

「今日はこれで完璧…殿下、気に入ってくださるかしら…!」

心の中でそう思うだけで、口には出さない。


レイナはその姿を見て、少し複雑な気持ちになる。

(自由に振る舞えるって、こういうことかしら…私も、少しは気楽に振る舞えたら…)



---


そこへ、殿下エリオット・フォン・アルトハイムが庭園に現れる。


ミラは一歩踏み出して元気よく声をかける。

「殿下、今日のリボン、似合ってますでしょうか?」


殿下は微笑んで答える。

「うん、とても似合ってるよ」


ミラはにっこり笑い、少し跳ねるように喜ぶ。

「ありがとうございます!負けませんから!」


その元気な様子を見て、レイナは微笑むと同時に心の奥で小さくため息をつく。

(完璧でありながらも、自由で無邪気なミラ…私も、少しは心から楽しむことを学ばなきゃ…)


殿下も、二人の姿を微笑みながら見守る。

「レイナ、君の美しさは誰にも敵わないし、心も本当に素敵だ」


レイナは少し顔を赤らめながらも、胸の奥で安心する。

(完璧であることと、自由であること…両方を持てたらいいのに…でも、この完璧さが私の“悪役令嬢”としての存在理由でもあるのね)


こうして、完璧すぎる悪役令嬢と、自由奔放で元気な男爵令嬢、そして両思いの殿下による、甘くて笑える三角関係は今日も学園で続くのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ