番外編② 「新婚です!甘いです!」
朝日がカーテン越しに差し込み、柔らかな光が二人の寝顔を包んでいた。
レイナはそっと目を開ける。隣には、まだ眠るエリオット様の穏やかな寝息が聞こえる。
「……おはようございます、エリオット様」
小さな声で呟くレイナに、彼の指先がそっと自分の手を包んでいた。
「君は本当に可愛いね。朝の顔も、寝起きの顔も、全部僕のものだ」
照れたように頬を染めるレイナを見て、エリオット様はくすりと笑う。
レイナも小さく笑い返す。
「……甘すぎますわ、エリオット様」
「甘いのは、君が隣にいるからだよ」
その言葉に、レイナの胸がじんわり温かくなる。
朝食の席では、二人で並んで庭を眺めながらゆったりとした時間を過ごす。
「今日も良い天気ですわね、エリオット様」
「そうだね、レイナ。君と過ごす日々は、天気まで味方してくれる気がする」
レイナは微笑み、スプーンをゆっくり運ぶ。
エリオット様も彼女の横顔を見つめ、そっと手を重ねた。
昼下がり、書斎で書類に目を通すエリオット様のもとに、レイナが訪れる。
「エリオット様、少しお手伝いしてもよろしいですか」
「もちろんだ、レイナ。君と一緒なら、何をしても楽しい」
笑いながら書類を渡すレイナに、エリオット様は優しく声をかける。
「君の手、温かいね。こうして一緒にいるだけで、心が落ち着く」
言葉のひとつひとつが、レイナの胸に染み込む。
午後には、庭で紅茶を楽しむ。
「今日は、ミラ嬢とアーロン様がいらっしゃるそうですわね」
「そうだ。二人の様子も見られるし、僕たちも甘々な時間を楽しもう」
レイナは微笑み、そっとエリオット様の腕に手を絡める。
彼の温もりを感じながら、心の中で小さく誓った――この幸せをずっと守ろう、と。
夕暮れ、窓の外に落ちる橙色の光が二人を柔らかく包む。
「エリオット様……わたくし、このまま一日中、ずっとそばにいてもよろしいですか」
「もちろんだよ、レイナ。昼も夜も、ずっと一緒だ」
その言葉に、レイナの胸は高鳴った。
互いに見つめ合い、穏やかな時間が流れる。
夜、寝室の灯りが柔らかく灯る。
ベッドに腰かけた二人は、手を取り合いながら静かに話す。
「今日も一日、幸せでしたわ……」
「僕もだ、レイナ。君と一緒なら、毎日がこんなに甘くなるなんて思わなかった」
レイナはそっと顔を伏せ、耳元で囁く。
「……エリオット様、わたくし、幸せです」
「僕もだ、レイナ」
そのまま手を握りしめ、夜空を眺める二人。
窓の外には月明かりが優しく降り注ぎ、庭の花々が静かに揺れていた。
――新婚の二人。
未来はまだ長いけれど、この甘くて幸せな日々は、ずっと続く。
愛する人と共に過ごす時間は、すべてが甘く、すべてが特別。
レイナとエリオット様の微笑みは、朝から夜まで絶え間なく輝き続けていた。




