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69話 視線

「あ、いた。おーーーーい!」




ハーフエルフ目的のチンピラを蹴散らし、偶然にもハルミちゃんの身柄に関する有力な情報を得た俺は。

唯火達と合流すべくあらかじめ宿泊する目途をつけていた格安ビジネスホテルの前で二人を見つける。




「あ。お兄ちゃん来たよー。ナナシさーん!」


「おにいちゃーん!ちぇっくいんしたよー」




どうやら一足先にホテルへのチェックインを済ませておいてくれたらしい。


ここのホテルは個人経営で、身元確認はかなり緩いからな。

未成年の唯火や、個人情報上実名が消えている俺などでも特にトラブルなく泊めてもらえると思ったが、睨んだとおりだったな。




「・・・む?」




一瞬妙な視線を感じ振り返ると、まばらに行きかう雑踏が広がるだけで、特別俺を凝視するような人間は見当たらなかった。




(さっきのした連中か?でもあれだけ脅して仕返しに来る程、豪胆って感じではなかったよな)




『索敵』に引っ掛かったわけではない。

スキルではなくただの勘みたいなものが誰かからの視線を感じ取った。




「ナナシさん?どうしたんですか?もしかして怪我でも・・・?」


「ああ・・・いや、大丈夫。どこもケガしてないよ」

(まぁ、荷物から剣みたいな長物が飛び出してるから、それが注目を集めているのかもな)




布を巻いて隠してはいるけど、はたから見れば確かに妙な荷物に見えるだろうし。


『索敵』引っ掛からないという事は敵意があるわけではないという事。

あまり全部の気配にアンテナ張りっぱなしにしててもしょうがない。




「悪い、何でもないんだ。さ、中に入ろう」


「そう・・・ですか?」


「お兄ちゃんとおとまりー!」


「ハルミちゃんは唯火の部屋な?」


「あ」


「ん?どうした?」


「部屋・・・一部屋しかとってないんです」


「・・・それは、よくないだろ。多分」




年頃の女が、恋仲でもない男と同部屋で一晩過ごすなんて。

別に下心はないが・・・




「今からもう一部屋とって―――」

「おにいちゃんもいっしょがいいー」


「ハルミちゃんがどうしてもナナシさんも一緒の部屋が良いと、言うもので・・・」


「・・・まぁ、俺としては構わないが」




随分と懐かれたもんだ。

悪い気はしない。

でもここは、唯火の意思を尊重した方が―――




「じ、実は、私も・・・少し不安、といいますか。ナナシさんと同じ部屋なら、安心できるかなって」


「ふむ・・・そう言う事なら、まぁいいか」




確かに、格安だけあってセキュリティはそこまでしっかりしていない。

ステータスに目覚めた今の人間なら力づくで突破できてしまう。


そんな中に女の子二人というのも心配っちゃ心配だ。




(俺なら『五感強化』と『索敵』で警戒していれば、咄嗟の襲撃にも対応できる)




「すみません。ワガママ言って」


「いや、そんなことはない・・・じゃあ、一度部屋に荷物を置いて、その後少し買い出しに出よう。ここ、風呂もトイレもついてるけど、アメニティは充実してないんだ」




女の子にはいろいろあるだろう。

我ながらナイス気回し。




「そうなんですね。じゃあ、ハルミちゃんが眠くなってしまう前に早くいきましょう」


「いこー」






::::::::






チンピラ五人をのしていた『あの男』。


後をつけると、ビジネスホテルの前で女と待ち合わせをしていたらしい。




「・・・恋人、か?」




随分と可愛らしい子だ。

けど―――




「―――強い」




立ち姿だけでわかる。

あの少女も、恐らくあの男と同レベルに近い戦闘能力を有している。




「と・・・子供?」




金髪の少女と手をつないでいる小さな女の子。

あの二人の子だろうか?




「・・・ん?あの子、どこかで―――」




記憶の琴線に触れ、隠れていた物陰から身を乗り出し、三人を凝視すると。




「っ!?」




男が突然こちらを振り向き何かを探すように辺りを見渡す。




(うそでしょ!?『隠密(おんみつ)』を解いたつもりはないのに、なんて感覚してんの・・・!)




『索敵』のスキルを有しているのかもしれないが、それは『隠密』で相殺できる。

だから今あの男がこちらの気配に気づいたのだとしたらそれは、あの男自身の感覚(センス)




「修羅場は相当潜り抜けてるってわけか」




さっきのチンピラ相手では全く相手になってなかったから、ほんの力の片鱗も出していないようだったが、なるほど。

あの強さも頷ける。


もっとその強さを見てみたい。

あんな雑魚相手では話にならない、恐らく連中は男の動きを視認することもできていなかっただろう。


もっと強者とぶつかるのを見て、実力を計りたい。




「・・・面白い」




あの男なら、耐えられるかもしれない。

壊れず、折れず。




「―――それにしても。あの子・・・」




まさか、こんなところにいるなんて。

あの男女、悪人には見えないが目撃情報では何者かに誘拐された、と聞いている。




「いずれにせよ、あの子は()()()()()()しないと」




どんな事情があるにせよ、あの子を待っている人がいるんだから。

あの子の居場所は、あそこではない。


そして、引き渡したその後。




「あの男には、誘拐犯として捕まってもらう」




その弱みで、利用してやる。


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― 新着の感想 ―
[一言] この世界敵性組織ばかりですね…暗躍しすぎて… たまのほっこりには癒されます
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