3. いつも床を見て歩くお姫様
※デイジー姫の奇行はどんどんエスカレートしていきます。
※2026/2/2 追加修正済み
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『デイジー姫は夜ごと花園で呪文をする魔女』と悪噂が広まってから、デイジー姫は自分の外見にも無頓着になっていきました。
同時に食も細くなり、さらに痩せていきます。
それまで愛らしかったデイジー姫のぷにぷにした二の腕は、ごぼうのように細くなり、髪の毛もバサバサで伸び放題です。
その有様をみた城の者たちは、“デイジー姫はまるで案山子のようだ”とヒソヒソ噂されていきます。
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城内の廊下でも、デイジー姫はいつも俯いてフラフラと歩いていました。
そのせいで向こうから来る人や、廊下の脇にある柱や置き物によくぶつかってしまいます。
ある日のこと──。
珍しく散歩をしていたデイジー姫が部屋に戻った時、彼女は体中びっしょりでスリ傷だらけでした。
「きゃあ!──デイジー様、どうなさったのです!!」
その姿を見た乳母が悲鳴をあげました。
デイジー姫は全身、びしょぬれでした。
おまけにお顔もべったりと泥がついているし、ドレスも泥まみれです。
擦りむいた手足は、あちこちキズだらけで血もにじんでいました。
「乳母様、申し訳ありません。姫様は雨上りの中庭に出たのですが、下ばかり向いて歩くので、人にぶつかって転んで泥に汚れた池に落ちてしまいました。姫さまの後ろで歩いている私共は、間に合わずお助けできませんでした」
デイジー姫のお付のメイドたちがひらに謝ります。
「おおげさね。ちょっと擦りむいただけよ。乳母が調合したいつもの蜂蜜を塗れば治るわ」
デイジー姫のあっけらかんとした発言に、呆気にとられるメイドや従者たちでしが、当のデイジー姫はいたって元気です。
「ああ姫様……なんとおいたわしい……」
赤子の頃からデイジー姫を可愛がっていた乳母は、あまりの変り果てた様子に、涙がこぼれて仕方がありません。
──これはもう、私の手にはおえない。
乳母はとうとう匙を投げて、王妃様にこれまでの事を総て報告しました。
すると王妃様も何度もデイジー姫を諌めましたが、彼女はいう事を聞きません。
困り果てた王妃様も、王様に相談しようと決めました。
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そんなデイジー姫の悲惨な姿を、遠くから見つめる城の従者や官僚たち。
みなヒソヒソと噂し始めます。
「デイジー姫は、頭がおかしくなったのでは?」
「わたしら下々の者にも、にこやかに微笑んでくれた“可愛いおちびちゃん!”だったのに」
「なんだ、あのボウボウした髪は! なぜ姫様は髪を切らない、あれではまるで畑の案山子だろう」
「あの姿が我が国の王女だなんて。恥ずべきことだ!」
たまにデイジー姫が出歩けば、城内のあちらこちらでデイジー姫を憐れみ、時には侮蔑をする者すらも出始めました。
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デイジー姫の奇行に一番怒ったのは、父親の王様でした。
「なんたる事だ、ワシは許さん、絶対に許さんぞ!」
城内のデイジー姫の奇行の噂にカンカンに怒っています。
「三女とはいえ、王国の王女ともあろうものが、行事には一切顔をださないで、部屋に引きこもって、なおかつおかしな奇行をしているとは情けない!」
すると王様の癇癪に慌てた王妃様と上の二人の姉君様が、王様の怒りを宥めようとしました。
「王様、どうかどうか、どうかお気をお静めくださいませ」
「そうですわ王様、デイジーは一時だけ心が病んでるだけです。すぐ元の素直なデイジーに戻りますわ」とローズ様。
「そうですわ王様、わたしたちもデイジーを支えますから、どうかお怒りをお納めください」
とリリアン様も加勢します。
しかし、王様はけして首をたてに振りませんでした。それどころか王様の怒りはますますエスカレートしました。
「ならん! 既に家臣の報告ではデイジーは何か月も部屋に引き籠ってると聞いた!」
王様の怒号は王族の部屋中に響きました。
「ローズとリリアン、お前たちが何度もデイジーを気遣ったのに、デイジーはお前たちにも、会いたくないと、門前払いをくわせたというではないか!」
「「まあ、そこまで知っておいででしたの」」
王妃様も、姉君様たちも驚きました。
「王妃たちよ、知ってるもなにも全て筒抜けじゃ、ワシの目を節穴だとでも思っておるのか!」
「「ああ王様、どうかお許しを……」」
王妃様も姉君様たちも、王様がデイジーの素行の酷さについて、全てお見通しだと知り恐れをなしました。
普段はめったに怒らない王様でしたが、王族の躾には誰よりも厳しい方でしたので、デイジー姫の奇行や我がままを許せなかったのです。
「お前たちも、末っ子だからとデイジーを甘やかしてばかりいたからいけないのだ! それではあの子のためにならん──王女なら王女としての役目を果たさねば従者にも民にも示しがつかない。それができないようでは、王女でもないしワシの娘でもない!」
とうとう王様は家臣に命じます。
「よいか、明日にでも即刻、デイジーを城から追い出せ!」
「「ええ、王様!それは流石に酷い仕打ちですわ!」」
王妃様も、姉君さまたちも必死に止めましたが、王様は命令を覆しませんでした。
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こうして翌朝、デイジー姫は使用人の服と替えの下着を二枚。少しの食物と水。
そして少々の貨幣が入っている巾着袋を渡されて、お供もつけず城から追い出されてしまいました。
※ デイジー姫はとうとうお城から追い出されてしましました。
※ ここまでお読みいただきありがとうございます。次回は2/3の予定です。
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