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解決放棄のお話

 結論、諦めた。


 いや、だってさあ……考えてみても、いい対策なんて思いつかねえんだよな。

 俺の【殺戮衝動】。

 ラティスの感情障害。

 ……どうしろと?

 前者はそもそも種族特性なんで、どうしようもない。

 そもそも、あの時の俺の状況からして、むしろ加虐じゃねえのか?と思ってギルドの資料借りて調べてみたら……すっげえ幅が広いのな。

 いや、それ【殺戮衝動】なのか?って思うようなのも含まれてて、どっちかってーと、こっちの【殺戮衝動】って「ぶっ殺してやらあ!」って感情に繋がる全てを統括してるっぽいのな。で、発動する内容は個々次第で変わる、と……。

 こんなもん、どう対応しろと?

 まあ、俺の場合は大体想像つくし、声かけられた時もツァルトをぶっ壊してやるとか思わんかったし、敵味方の認識はちゃんと出来てるみたいだったからな……まだ、バーサークみたいなんじゃないみたいだから、大丈夫だろ……他の首狩り兎(ヴォーパルバニー)に会った時が怖いけど。

 だって、他の奴は俺とは異なる衝動持ってる、って事だもんなあ……予測つかねえから、余計怖い。


 で、ラティスの場合は同じくどうしようもない。

 俺は精神科医じゃねえんだ。

 もしかしたら、より巨大な恐怖を与えるとかそういうのをやれば思い出せるのかもしれないけど、んな事やりたくないし。というか、素人考えで治療モドキやるなんてろくな事にならない可能性の方が圧倒的に高いと思うんだよな……。

 となると、放置するしかない。

 まあ、きちんとラティスに俺の考えを伝えて、話し合いはしたよ?

 思い当たる節はあったみたいで、撤退とかの判断は俺に従ってくれると約束してくれた。

 ツァルトも、これに関しては俺の味方についてくれたしな。


 さて、話もついた所でお仕事……。


 「ちょい待った」

 「なんだよ、おっさん」

 「……せめてギルドマスターと呼んでくれ」


 仕事を適当に決めて、どっか気分転換兼ねて出かけるか、と思ったら止められた。


 「まあ、真面目な話でな。お前ら、昇級試験受けてみる気はないか?」

 「は?」

 

 なんのこっちゃ?と思ったが、周囲がざわ、っと揺れた。

 うん?何かあるのか?


 「昇級試験となれば、お前の場合、Aランク昇級だからな。そりゃあ注目も浴びるさ」

 「ああ、なるほど……」


 そういや、俺の討伐ランクBだった。

 結構高い方だったな……。

 あ、そうなるとAランクって相当上?


 「その通りだ」


 各支部で上げられるランクとしては最高ランクだという。

 もちろん、ここ魔精の森みたいな危険度高い場所を抱える一部ギルド支部とその長限定らしいけど……。これより上のSランクとかは複数の支部の連名だったり、本部から試験官が送られてきたりしての話になるらしい。

 しかし、そうか。Aランカーが出るとなると注目されるんだな。ってなんで分かったんだ?


 「そりゃあ私がわざわざ直接伝えるなんてするのはAランク昇級試験の時ぐらいだからさ。普段は受付嬢から提案されるもんだ」

 「なるほど、そりゃ一発で分かるわ」


 もっとも直後にギルドマスターが「まあ、お前は注目されてるから俺じゃなくてもざわついたと思うが」とぼそっと言われた。

 ……それも事実かもしれん。

 

 「あの、私は」

 「ああ、お前さんも昇級試験はやるさ。そうでないと同じ仕事に行けない可能性あるからな」


 おお、それはありがたい。

 しかし……。


 「登録からこんな早くAランク昇格ってあんましなかったりすんじゃね?」

 「そうだな、少なくともここのギルドじゃ最速記録になるな」

 

 へー……。

 てっきり他の仕事で活躍してる奴とかが冒険者になったりして、すぐ上に上がったりするのかと思ってた。


 「実際にはそう上手くはいかんよ……」


 そう言って、そういう場合の問題も話してくれたのだった。

国で凄い活躍してる人とかが冒険者になったら!?

というお話を次回冒頭にて

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― 新着の感想 ―
[一言] >>殺戮衝動 諦めたwww まあ、フレンドリィファイヤが無ければなんとかなるか? 仲間以外には恐れられるだろうけど。 ラティスの方はどんな時も冷静に対処できると思えばそう悪くないかな。 訓練…
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