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幕間:少女(ラティス)

予定狂いましたが、今回が少女視点のお話になります

 私はラティス。

 お父様が誰かは知らない。

 お母様は亡くなった。

 いいえ、傍にいた人達は皆亡くなった。

 森では「これで自分も死ぬんだ」と思った。その時同時に思ったのは「皆と同じ所に行けるといいなあ」って事。


 そう思ったけど、助かった。

 ウサギさんが割り込んで、あっという間に黒ずくめの人達を叩きのめしてくれた。

 触るとふわふわ、凄く気持ちいい。

 ウサギさんは私と一緒に暮らしてる。

 

 「助けたからには責任持たんといかんだろう」


 ウサギさんからは、そう言われた。

 最初は言われた事が分からなかったけど、現実を突きつけられて理解した。

 ウサギさんが言った通り、今ここでウサギさんに頼らなかったら、私はそう遠くない内に死ぬ事になると思う。死ななくても真っ当な生活なんてとても出来そうにない。それなら「何の為に助けた、って事になる」っていうウサギさんの言葉が身に染みて理解出来た。

 お金がないからご飯が買えない。

 お金がないから泊まる所もない。

 そのためのお金を稼ごうにもどうしたらいいのか分からない。

 冒険者になったとしたって、私はこの街の事を知らない。道も知らないし、この体じゃ体力がいる仕事も出来ない。

 私は何も出来ない。


 そう思ってたけど、何かしたかった。

 何かして、皆に助けてもらって、今も助けてもらってる私にも何か出来るんだと思いたかった。

 最初はアイカさんとお話して、しばらくしてセレンさんってお婆さんが来てくれた。難しい顔をしてたから、何か悪い事しちゃったのかと思ってたら、ウサギさんがセレンさんから話を聞いたと色々教えてくれた。びっくりしたのは私が教えてもらってた事で戦う事が出来てたって事。

 ……それを知ってたら、私も皆を助けてあげれたのかも。

 そう思ったけど、それは間違いだってすぐ理解させられた。

 ウサギさんから「こんな時どうする?」って色々な例を出されたけど、私はどうすればいいのかすぐに思い浮かばなかった。

 ウサギさんは「咄嗟にどう対応すればいいのか分からないのは仕方ない。そういう人もいる」って言われたけど、同時に「けど、冒険者は仕事柄、それが出来ないと駄目だ」とも言われた。

 翌日、セレンさんに改めて聞いてみたら、笑いながら、「その通り。だから、本当なら討伐とか護衛って仕事をしたい冒険者はギルドの紹介で、どこかの熟練のパーティに下積みを兼ねて入れてもらって、経験を積むんだよ」、って言われた。

 討伐なら実際に現地に行く事で、どんな荷物を持っていく必要があるのか。

 野営にはどんな品が必要で、どんな事をすればいいのか。

 討伐した場合、どんな風に証拠や解体を行って、どういう風に報告を行えばいいのか、といった基礎から教わって、慣れてきたら実際に簡単な獲物とかの討伐を誰かとこなして、実戦にも参加して一人前になっていくんだという。

 護衛は護衛で、同じように普段はどんな仕事があるのかといった基礎から教わる。

 更に、護衛という仕事ではどんな事に気を付ければいいのか、何をすればいいのか、注意すべき事は何かを先輩冒険者から教わる。

 そうやって経験を積む事で、咄嗟の場合でも、何をすればいいのか理解していくんだ。

 そうやって一人前になっていくんだとセレンさんから言われた。

 

 「じゃあ、やってみようか」


 そして、私はウサギさん、セレンさんと一緒に冒険者ギルドの訓練場にやって来た。

 街の外にあるここでは、実際に剣を使い、魔法を使える。魔法の中には派手なものもあるから、街の外にある。

 

 「分かった!」


 気合を入れて、呪文を詠唱していく。


 【水よ 大気と大地に満ちる水よ 今ここに我が一手となりたまえ 貫く力となり顕れいでよ】


 単純に魔法語と呼ばれてるらしい言葉を唱えていく。

 ウサギさんは使わずに魔法を使えるけど、それは速度重視の近接戦闘だから、って言ってた。

 本当はちゃんと使った方が威力も精度も全てが上だから余裕があれば使った方がいいって。


 【水貫槍ウォータースピア


 水で出来た槍が一本出現して、的へと飛んでいく。

 うん!うまく出来た!

 なんだか、周囲の人達が驚いてるみたいだけど、どうしたんだろう?

 そういえば、皆、もっと簡単な魔法を使ってるみたいだった。本当は初級の魔法の練習場だったのかな?

 そう思ったけど、ウサギさんもセレンさんも褒めてくれた。えへへ。 

『魔法語』

正式名称は古代精霊干渉言語

古の時代に構築された精霊へと干渉し、力を借りるとされる言語

一般に精霊はよほどの大精霊でない限りはどこにでもいる力の仲介役とでも呼ぶべき存在であり、装置とも呼べる存在。彼らを介して、物質に干渉して魔法としている

一説には精霊とは古代文明が物質に対して、大仰な装置なしで干渉する為に構築してばらまいた何等かの人工物であると主張する学者も存在しているが、大精霊や精霊王と呼ばれる意思持つ存在が実在しているために、一般的には別次元に存在する高位存在(大精霊以上)とその従属存在(一般的な精霊)であると看做されている

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