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タキオンの矢  作者: 友枝 哲
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第78話 : あと、少しだけ待ってくれ!!

<前回のあらすじ>

地球に向けて進撃する深紅の機体。オル・アティード(光の未来)

それを撃退するため、地球軍は500機超を仕向けた。

一時、劣勢となるも、ルナが、ソルの心と応援する人の気持ちを受け、覚醒した。

次々と撃墜され、地球軍は撤退を余儀なくされる。

しかし、ルナが機体の推進剤不足を気にした時、JAM-Unitを介して敵にもそれが伝わってしまう。

そして、推進剤の尽きたオル・アティードに敵機がイオンビームを放とうとした。

その時、オル・アティードの後方から貨物機が援護に入り、地球軍の残り戦闘機を殲滅した。

貨物機のパイロットはりょーたろとその仲間であった。

それを遠くで見ていた地球軍は、オル・アティードの位置に対してイオンビームを放ち始めたのだった。


 

「おい!りょーたろ!!相手さん、どんどん撃ってくるぞ!!」


「ああ!分かってる。でも、もう少し、もう少しこらえてくれ。」


 ひっきりなしに貨物運搬機からミサイルが放たれ、前方で炸裂し、イオン中和フィールドが展開されていた。


 そのおかげで飛んできたイオンビームは霧散していく。


 その時、ルナとソルが地球側の何も見えない暗闇の中から何かを感じ取った。


 ソルとルナ、二人が同時に叫んだ。


「ヤバい!戦艦の主砲イオンビーム、来る!!」


 りょーたろが叫ぶ。


「ハンさん、磁場展開!!」


「あいよー!!」


 細長い貨物運搬船がグンと前方に進んだかと思うと貨物からビリビリという音がした。


 オル・アティードのコンソールにかなりひどいノイズが入った。


 ソルとルナ、りょーたろの耳に甲高い金属音が木霊した。


 ソルとルナが耳を塞いだ。





「イオンビーム充填完了!!」


 地球軍の戦艦指揮官AIが指示を出した。


「撃てぇーーー!!」





 戦艦の放ったイオンビームが、一瞬にして、真っ黒だったルナとソルの視界を真っ白に染めた。


 戦艦から放たれた主砲イオンビームがオル・アティード前方に移動した細長い貨物運搬機に襲いかかった。


 その瞬間、イオンビームが円錐状に広がった。





 リチャード・マーセナスが目を見開いたままで問いかける。


「やったか!?」





 貨物機から発生した強力な磁場がイオンビームを円錐状に広げたおかげで、イオンビームが貨物機とオル・アティードに直撃することなく過ぎ去った。


 貨物機数機と推進剤などを充填中のオル・アティードは無傷だった。





 その間に地球軍のレーダー最長捕捉距離を持つ哨戒機がオル・アティードを捉えられる位置まで移動していた。





 地球軍の戦艦管制AIが音声を発した。


「イオンビーム通過。だが、敵機、いまだ健在!!」


 戦艦指揮官AIが間髪入れず指示を出した。


「イオンビームにて攻撃継続!敵機位置を固定させろ!!」


 指示を受け、間髪入れず戦艦の周囲にいるメタリックステラが次々とイオンビームを放つ。





 貨物機の宙域にメタリックステラが放ったイオンビームが到達する。


 しかし、貨物機はすでにミサイルを放ち、戦艦の主砲イオンビームによって打ち消されたイオン中和フィールドを再び作り出していた。


 イオンビームはオル・アティードや貨物機の前で霧散した。


 しばらくの間、地球軍メタリックステラのイオンビームが続いた。


 イオンビームは貨物機の周囲にも次々と飛んできていた。


 貨物機前方にのみイオン中和フィールドが展開されているため、貨物機はその位置から外れた位置に移動できずにいた。


 ルナとソルがまた何かを感じ取った。


「ヤバい!また戦艦のが来るぞ!!」


「任せときな!!」


 貨物運搬機から強力な磁場が発生する。


 再び酷いノイズとけたたましい金属音が木霊した。


 磁場が発生する中、貨物部の一部から火花が散った。


「おっ、おい。。」


 ソルの心配にりょーたろが答える。


「心配ない。まだ大丈夫だ!!」


 戦艦からのイオンビームがオル・アティードに襲いかかる。


 激しい音がソルとルナを包む。


「うぐっっ!!」


 思わず二人とも歯を食い縛った。


 今回も貨物運搬機の作った磁場が何とかイオンビームを円錐状に割いた。


 だが、割かれたイオンビームは1回目の時よりも浅い角度で割かれていた。


 戦艦AIはそれを見逃さなかった。


「主砲充填急げ!

 次こそ落とす!!それまでやつらを逃がすな!

 メタリックステラ部隊、イオンビーム射撃を続けるのだ!!」


 おびただしい数のイオンビームがオル・アティードに向けて撃ち込まれた。


 イオンビームが次々と霧散する。


 貨物機からのイオン中和フィールド用ミサイルも底を尽きかけていた。


「やばいぞ。そろそろ中和ミサイル残弾50だ。

 あと20秒も持たない。なくなるぞ!!」


 りょーたろがオル・アティードの武器残弾、推進剤残量を見た。87%。


「あと、少しだけ待ってくれ!!」


 その時、ソルとルナがまた戦艦の意思を感じ取った。


「ヤバい!もう来るぞ!!」


「あともうちょっと!!」


 磁場発生の貨物機が磁場を作ろうとした。


 オル・アティードのコックピットにノイズが走り、甲高い音がしはじめた。


 だが、地場を発生させる貨物部から火花が飛び、ついには貨物部の一部が爆発した。


 貨物機を操るハンが声をあげた。


「ダメだ!!すまん。ここまでだ。。。」





「充填完了!」


 戦艦の指揮官AIが指示を出した。


「撃てぇぇーーーーー!!」





 ソルとルナが叫ぶ。


「来るっ!!」


 りょーたろが歯をくいしばって声を漏らす。


「もうちょっとだけ。。。」


 戦艦主砲からイオンビームが飛んできた。


 それと同時にオル・アティードを挟んだハンバーガー型貨物運搬機からブザーが鳴った。


「終わった!!」


 その声が終わるかどうかの時、前方で磁場発生をさせていた貨物運搬機、イオン中和フィールドのミサイルを放っていた貨物運搬機、オル・アティードを挟んだハンバーガー型貨物運搬機をイオンビームが飲み込んだ。


 そして、貨物運搬機は爆発した。





 地球でリチャード・マーセナスが哨戒機のレーダー信号を見ていた。


 レーダーから貨物機の大きな信号が消え去った。


「やった!やったぞ!!ついにRedDevilもいなくなった。はっはっはっは!!」


 リチャード・マーセナスが高笑いをした。





 コロニー5の軍事マニアが放った偵察機からもその画像が全世界に放送されていた。


「えっ?ウソ?壊されちゃったの?」


 応援していた人々の肩が落ちた。





 戦艦とその周囲のメタリックステラが哨戒機から送られてくる重力子レーダーの結果を確認した。


 貨物運搬船があった場所から大小の移動物体が球状に広がっていた。


 地球軍以外の信号を発する物体は確認できなかった。


<次回予告>

地球軍の戦艦が放った主砲イオンビーム。

りょーたろが操る貨物機の爆発。

飛び散る部品の数々。

重力子レーダーから飛び散る大小の光。

戦闘は地球軍の勝利となるのか?

次回、第79話 ”お前たち、許さない!!”

さーて、次回もサービス、サービスぅ!!


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