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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ2  作者: トール
第1章

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94.トモコ、怒る


やって来たのは、大通りに今日オープンのスイーツカフェのお店。


高級感のある木で出来た扉には、匠の技である彫刻が施され、ドアマンが恭しく開いたそこには豪華すぎる内装の……カフェっていうか貴族のお屋敷じゃないこれ? が広がっていた。


「ぐ、グレさん? ここ本当にスイーツのお店?」

「フフッ ミヤビさんったら。ここは貴族街にあるお店よ? この仕様は当たり前じゃない」


貴族街!? そういえば馬車から降りた時、心なしか周りの建物が大きくて綺麗だったような……。




遡ること30分前。


“ミヤビとトモコの服屋”の前に一台の馬車がやって来た。カルロさんの家の馬車より豪華ではないが、それでも貴族を主張するような馬車の迎えにあんぐりと口を開けていた私とトモコ。


家紋が入った扉が開き、降りてきたのは予想通りグレさんだった。


前日の突然のお誘いに、食べ物には目の無い私が了承したが為に来た迎えだったが、まさか豪華馬車でやってくるとは思わなかった。


大通りのお店って言うから徒歩で行くものだと思い込んでいたのだ。


そこから馬車に揺られて30分も走りやって来たのがまさかの貴族街。


全然止まらないからおかしいとは思ってたんだけど、すぐそばに勝手知ったる王宮が見えてるじゃないか。

窓にはカーテンがかかっていたから全く気付かなかった。乗り物酔いして少し気持ち悪い。


「うっぷ……トモコ、高級スイーツ店ってこんななんだっけ?」

「みーちゃん、私の知ってる高級スイーツ店は百貨店の中にあるよ~」

「ヒャ、カテン??」


グレさんが可愛く首をかしげるが、その可愛さはつがいに取っておいてもらいたい。


「うーん。ショーケースもないし、高級レストランだと思えばいいのかな~?」

「え、それこんな格好で来ても大丈夫なの?」


トモコの言葉に自分の格好を見る。王都でも目立たないファンタジー仕様のワンピースだ。

足を出すとロードがうるさいので丈は長めにしている。


トモコは私とは反対で、ブラウスに短い丈のキュロットを合わせ柄タイツを履いている。ブラウスの上に羽織ったポンチョ型のアウターが可愛さを引き立てている。頭に被った帽子も良く似合っていて、まるでイギリス貴族の子供のような格好だ。


グレさんは勿論貴族仕様なわけで……。


つまり私だけド庶民な服装。顔の平凡さも相まってさっきから店のスタッフに「何コイツ」というような目で見られている。


「どんなスイーツが食べられるのか楽しみね!」

「そうだね~」


などと話ながらスタッフに案内されている2人の後ろをついていく。すると個室に入って行ったので私も入ろうと一歩踏み出せば、


「お付きの方はこちらでお待ち下さい」


スタッフに扉を閉められた。


トモコ達に向かって伸ばした手が虚しく宙を泳ぐ。


こ、これは……私だけスイーツを食べられないパターン?


「みーちゃん? 何で入って来ないの!?」


呆然としていたらトモコが慌てて顔を出した為、正直ホッとする。


「お付きの人に間違えられて……ハハハ……」

「はぁ!? なにそれっ 失礼すぎでしょ!」

「まぁまぁ。私もこの格好で来たからいけないんだよ」

「それはドレスコードがあるなんて聞いてなかったからでしょ! みーちゃんは悪くないよ!!」


トモコが不機嫌になっていく。これはマズイ。このままでは帰ろうと言い出すに違いない。


「トモコ、早く席に座ろう。グレさんも待ってるよ!」


どんなスイーツがあるのか楽しみだね! と話を遮り個室へと入る。トモコも渋々ついてきたが、やはり唇を尖らせてムスッとしている。


「ミヤビさん、何かあったの??」

「ううん。お店の中見てたら2人から遅れちゃって。ごめんね」

「そう? 部屋に入って来ないからどうしたのかと思ったわ」


12畳程の広さの真ん中に机と椅子が置いてあり、椅子から立ち上がったグレさんは心配そうにこっちを見ていた。適当に誤魔化しつつ空いてる椅子へ腰掛ける。


やはりスイーツ店というよりは高級レストランのようだ。


「メニューは何があるの?」

「色々ありすぎて迷っているところよ」


グレさんが渡してくれた立派なメニュー表を開くと、確かにズラズラと商品名が書かれていた。


「なになに……プティ・サレ、プティ・フール・ガトー、ビスキュイ、シュー・ア・ラ・クレーム……」


え、何でフランス語?


シューアラクレームしか分からないんですけど。しかもここ異世界だし、シューアラクレームも果たして私の想像するシュークリームかどうかも自信が無い。せめて写真があれば何とかなるけど、それも無いし。次のページにいたってはお酒! ど、どうしよう!?


チラッとトモコを見れば、まだご機嫌ななめのようでメニューに目を通しもしない。グレさんは未だ悩み中である。


そうこうしている内にスタッフがやって来たではないか。


ん? スタッフが私をガン見している。表情が心なしか険しいような??

あ、グレさんの方を向いた。


「……マガレー様、お付きの方も御一緒されるのでしょうか?」


ガン見していたスタッフが心配そうにグレさんに訪ねてしまった。

おバカ!! そんな事言ったらトモコがキレるでしょうが!!


「まぁ! ミヤビさんをお付きだなどとっ 失礼な!! この方は私のお友達ですのよ!! なんという無礼!!」

「も、申し訳ございません!!」


グレさんが先に怒っちゃったよ。

ハラハラしつつトモコを見れば、綺麗な顔に青筋をたてている。

美人な分迫力があって怖い。


「みーちゃん、やっぱりもう帰ろう」


私に向かって微笑みながらそんな事を言うトモコから、今にも神力で店を消し飛ばしそうな威圧を感じビビる。


「と、トモコ。お店の人も悪気があって言ったわけじゃないし、聞き流してあげてよ」

「聞き流す? やだなぁみーちゃん。コイツの目を見てよ~。みーちゃんを見下してるんだよぉ。悪気があるわけじゃない? 悪気しかないの間違いだって~。大体普通はお付きの人でも部屋には入れるでしょ。締め出すとかないでしょ。そもそも、みーちゃんをお付きに間違えるとか……たかがクズの分際で許されると思うなよ」


怖い、怖い!! 薄ら笑い浮かべながら恐ろしい事言わないで!?


「ひッ」


神の威圧に腰が抜けたのか、スタッフが尻餅をつき真っ青になってガタガタと震えだす。グレさんも顔色が悪い。



ど、どうしたら良いんですか!? 誰かっ 助けてくださーーーい!!!!





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