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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ2  作者: トール
第1章

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92.そういえば……


ヌードル(コリー父)視点




「その、そんなに大量の薬を一体どうなさるおつもりでしょうか?」


あまりにも不安だったので聞けば、どうやらマロンドールの周辺の町や村からも売ってほしいと要望が来たらしく、量を確保したいようだった。


「ヌードルさんの薬は他と比べ物にならない程効果が高いんです!! どうにかお願い出来ませんかっ」


頭を下げられ困惑してしまう。どうしよう。薬草があれば何とかなるだろうけど、こんな事今までになかったし……ちょっと怖い。


「あら、良いじゃないヌードル。貴方の薬が皆さんのお役に立てるのは素晴らしい事だわ」


僕の愛しいつがいの声が聞こえ振り返ると、昔から変わらない愛らしい瞳をこちらに向けた美しいつがいの姿があった。


「フルート。買い物は終わったのかい?」


つがいを抱き寄せてその温もりに安心する。

僕のフルートは本当に美人だなぁ。


「ヌードル、お客様の前でしょう」


しまった。つがいの事で頭がいっぱいになって商談中だった事を忘れてた。


「あ、すみませんガッツさん」


商人のガッツさんを見れば、下を向き「いえ、大丈夫です。つがいがそばにいれば仕方のない事ですから」と言ってくれた。

ガッツさんが人族で良かった。人族の事情が分からない人だと、怒ったり、つがいを直視したりするらしいから。


「フルート、1週間後までに今までの3倍の傷薬と肌荒れ薬を作れるかな?」

「 2人でやれば可能だわ。そのかわり、それ以外の薬はお売りする事は難しいけれど」

「そうだね。ガッツさん、傷薬と肌荒れ薬は薬草さえあればご用意できそうです」


いつもとは違う事への不安も、フルートが居れば平気になる。

僕はさっきの怖さも忘れて、ガッツさんにそう返事をしたんだ。


「ありがとうございますっ 是非お願いします!! 薬草をお持ちしますので少しお待ち下さい!!」


ガッツさんは頭を下げて勢い良く出ていった。

フルートを見れば僕を見つめていて、その瞳に見惚れてしまう。


何度見てもうっとりしちゃうなぁ。


「ねぇヌードル。もし今回3倍の薬を納品したとしても、今後定期的に納品するのは難しいと思うの」

「そうだよね。定期的となると他の薬を減らさなきゃならなくなる。分かったよ。もし定期的にと言われたら断る事にするよ」

「ええ。それが良いわ」


僕のフルートはいつもこうやって僕を助けてくれるとても賢い女性だ。コリーも性格や頭の回転はフルートに似てる。彼女は将来とても素敵な女性になるだろう。


「コリーももう少し大きくなれば調剤のお手伝いが出来るようになるわ。それまでは今までどおりの量を販売していきましょう。余裕がある時だけ、今日のように多めに納品すれば良いのだし」

「うん。そうだね」


フルートの話に頷いていれば、ガッツさんが大量の薬草を持って戻ってきた。


「ヌードルさん! こちらが薬草の一部です。足りない薬草は追って届けさせますので宜しくお願いします。他にも必要な物があれば使いの者に言伝ていただければすぐにご用意しますので!!」

「分かりました」


初めての大きな仕事に戸惑いはあるけど、フルートが居れば大丈夫だよね!!


でも、僕の作る薬は薬屋であればどこにでも置いているようなものなのに、ガッツさんはなんで贔屓にしてくれるのかな??


去っていったガッツさんの後ろ姿を見ながら首を傾げ、まぁいいかとさっそくいただいた薬草を手にすると、調合室へと移動したんだ。





「ヌードルさんが引き受けてくれて良かった。もう彼の作る傷薬じゃないと町の者も納得しないだろうし。さすが王都の薬師は優秀だなぁ。地方の薬師と比べてこうも腕に差があるなんて……。地方の薬師の傷薬では1日で傷が塞がるなんてありえないものな」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




雅視点



「───……だから、浮島の学校に通ったとしても、“人間”が通う学校にゃあならねぇんだとよ」

「え、そうなの?」


夜、仕事から帰って来たロードが疲れた顔で教えてくれたのは浮島の学校の事だった。

なんでも浮島に住む人間達はすでに人間ではなく精霊に近い存在になっているらしく、もし双子を人間として浮島の学校に通わせたとしても、周りは人間ではない存在になるらしい。


「しかも、ウチのガキ共が浮島の学校に通う事になった場合、神族のガキも学校に通う事になるだろうって宰相は言ってたぜ」

「え!? 何で!?」

「そりゃ双子にお近づきになりてぇって事なんだろ」


え~? そんな事になったら教師の数が足りなくなる。今はイアンさんやエルフ達が頑張ってくれてるけど、学校というよりは塾のような小規模な感じなのに……。


やっぱり早々に教師を増やす必要があるかもしれない。ただでさえ人手不足なのに。


「……やっぱり新しく創るか」

「おい。何でいきなりそんな不穏な事呟いてやがる!?」

「だって、もし神族が通う事になったら教師の数も足りないだろうし、実は学校に関してはもう少しきちんとしたものにしたいと思ってたところなんだよね」

「止めろ!! ただでさえ魔物の討伐だの上下水道だの問題が山積してんだぞ!? これ以上問題を増やすんじゃねぇ!!!!」


浮島の人員不足も大問題でしょ!


ルーベンスさんからは、「地上も人手不足なのだよ。これ以上人間を拐わないでもらいたい」って言われたから浮島に連れてこれないし!! なら創るしかないよね!? 私一応創造主だし。創造するのが仕事だよね!?


「上下水道は資金も水源もクリアしたんでしょ?」

「そうだが、人手不足は解消してねぇからな」


やっぱり人手不足が根本にいるんだよ!!


「って、あれ? 人といえば……ロードの管理する“鬼人族”ってけっこう前に産まれてたよね?」

「ん? そういやぁそうだな。最初の鬼人族だけは誕生してすぐ大人に成長したはずだ」

「なら上下水道の事業は鬼人族に手伝ってもらえば人手不足も解決じゃない? さらにいえば、鬼人族って人間種の中では最強なんだから、魔物討伐も出来ると思うけど」

「!?」


翌日ロードは、またもやルーベンスさんに説教される事になる。私を巻き込んで。



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