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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ2  作者: トール
第1章

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83.神王様、決意する2


珍獣村の長老にパーティーの招待客リストを見せてもらい、私の方で色々追加した後にヴェリウスから招待状を送ったと報告を貰った翌日、


「あ゛ーーー!!!! ロードのパーティー衣装が思い付かないっ」


私は旦那の衣装に頭を抱えていた。


「ロード=鎧のイメージが強いせいか、パーティー衣装を着たロードの姿を想像すると……っ 滑稽なイメージしか出てこない!!」


バンッと机を叩いて天井を睨み付ける。


パーティーまで時間もないので、まずはロードの衣装からと思い、紙とペンを手に取ったまでは良い。しかし旦那の姿を思い浮かべるとパーティー衣装など全く案が出て来ないのだ!!

色々考えたよ! 前回のパーティーのように和風にするか? とか。しかしロードに着物(正装)は全く似合わない!! まさかパーティーで着崩すわけにもいかないだろう!? そうなると中華か!? いや、あれは細マッチョにしか似合わない気がする!! となると洋服…………誰かぁぁ!? ロードに似合うパーティー服教えて!? ルイ14世しかイメージ出来なくなったァァ!!


頭を抱えのたうち回るが何も浮かんでこない。


「どうすればいいんだ!? ロードが決まらないと双子も私も決まらないじゃないか!」

「みーちゃん床に転がって何してるの~?」


その時、救世主が寝癖をつけたまま現れた。


「トモコ!! そうだよっ トモコが居たよ!!」

「え~? なになにぃ~?」


こんな今起きましたみたいな顔をして、寝癖のついた髪なのに美しいとか詐欺だろうと思うが、この女神、プロのデザイナーなのだ。しかも天才という部類の。


「トモコ。ロードの……いや、私達のパーティー衣装を一緒に考えてほしい」




勿論二つ返事で了承をもらったのは言うまでもないだろう。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ルーベンス視点



「旦那様、ワタクシのドレスおかしくはないでしょうか? 神様方のパーティーだなんて初めてですので、失礼がないか心配で……」

「大丈夫だ。とても美しいよ」


天空神殿に向かう直前、妻の一人が不安そうな瞳を私に向け眉尻を下げる。

他の妻達も同じように不安そうであったので、安心するよう声を掛けた。しかし無理もないだろう。何しろ今日のパーティーはいつもの王城で行うようなパーティーとはわけが違うのだ。


「まさか神王様の御子様方の御披露目パーティーにご招待されるとは、夢にも思いませんでしたわ」


全くだ。人間である我々をそのような重要なパーティーに招待するなど、ミヤビ殿は一体何を考えているのか……。いや、彼女の事だ。何も考えてないに決まっている。私も不安ではあるが、招待状が手元にあるのだ。断るわけにもいくまい……。


不安がる妻達に微笑みを向け安心させると、自身も覚悟を決め天空神殿へと繋がる扉を潜った。



「あぁ!! なんて美しい景色なのでしょう!!」

「本当に!! 浮島から天空神殿は何度も拝見しましたが、こちらから浮島の景色を拝見する事などあの時(ツアーと音楽祭)の2度きりですものね。夢のようだわ!!」


先程の不安な様子が嘘のようにはしゃぎだす妻達。女性とは逞しい生き物である。


「さぁ私の愛しい姫君達。神殿内へ……「これは、宰相閣下ではないか!」」


突然の大声で妻達との会話が遮られた。この声には聞き覚えがある。

愛しい妻達との会話を遮った無粋は、相変わらず人好きのする笑みを浮かべ、こちらに近付いて来た。


「……ロヴィンゴッドウェル卿」


ロード第3師団長の元養父、スレイダ・オドス・ロヴィンゴッドウェル。


「相変わらずの好色ぶりだなぁ!!」

「貴様、失礼過ぎるぞ」


私の天敵だ。


「貴殿も招待されておったのか!!」

「私には貴様が招待されている事の方が不思議だがな」


確かにこの男は第3師団長の養父であったが、現在は解消されている。縁が切れてからは接触があったというような噂さえ無いのだ。


「今日は私の孫の御披露目パーティーだ! 私が招待されるのは当然だろう」

「不敬だぞ貴様」

「ふんっ 血は繋がっておらんが、孫に変わりはないからな。不敬も何もない。お前もそうだろう」

「私は分を弁えているのでな。貴殿とは違うのだよ」

「かーーっ 相っ変わらず融通の利かん奴だ!」


昔からやたらと絡んできては文句を言ってくる男だ。本当に第3師団長とこの男は良く似ている。血が繋がっていないのが信じられん程だ。


「貴殿こそ相変わらず喧しい男だな」

「なんだとぉっ」

「そんな事より、我々以外にも人間の招待客が居るようだ」

「何!? どこぞの貴族か王族か?」


周りを見れば、見覚えのある顔がチラホラと見える。

とはいえ神々や精霊もそこらを歩いているので、このバカのように大声で話し掛けるなど出来ないが。


「私の知る限りミヤビ殿の友人達が招待されているようだがね。少なくとも貴族や王族などと身分で縛られている者は我々位のものだろう」

「そうか。少し安心したわぃ! ミヤビ殿は騙されやすそうな御方だからな!! 私達で注意してやらねば」

「だから不敬だぞ」

「ふふんっ ミヤビ殿は私の義娘だぞ。それになんたって仲良しだしな!」

「ミヤビ殿は貴殿より私に懐いていると思うがね。それに私の義娘だ」

「なんだとぉ!?」


騒ぎだすロヴィンゴッドウェルにうんざりしていれば、妻達がクスクスと、幼子でも見るような微笑ましい眼差しをこちらに向けているではないか。


「旦那様ってばヤキモチかしら」

「無理もないわぁ。誰だって一人娘は可愛いものよぉ」

「ウフフ。あんなに可愛らしい旦那様は初めてみたわ」


やめたまえ。妻達は可愛いがいたたまれん。


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