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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ2  作者: トール
第1章

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64.ダリ公爵とは誰かね


「アナスタシア・ベル……れ……?」

「アナシスタ・ベルノ・レブークだ。ミヤビ殿は面識があると聞いたがね」


どこかで聞いたことがある名前だと首を傾げていたら、即座に訂正された。相変わらず私のおつむにカタカナの名前は入ってこないらしい。


「覚えてねぇか? 俺の元部下で、オメェを最初に深淵の森から連れ出した男だ」

「ああ!! ダリ公爵に協力して王都を追放されたあの不憫系王子!!」

「ダリ公爵とは一体誰かね」


不憫系王子? と皆がいぶかしむ(一人ダリ公爵にツッコんだ)が、本当に金髪碧眼の端正な顔をした正統派王子だったのだ。この野獣系ゴリラの部下とは思えない別人種だった。


「んだコラ。なんかおかしな事考えてんだろ」

「考えてないヨ。そんな事よりそのアナス……シスタさん? がどうしたの?」

「あ~……」


ロードはチラリとルーベンスさんを見ると、困ったように眉尻を下げる。


「彼を王都に呼び戻そうと思っているのだがね。何分陛下に反旗を翻した大罪人。反感を買うことは目に見えているのだよ」


じっと私の目を見るルーベンスさんに対し、悪い事をしたわけでもないのに目をそらしたくなる。

いや、でもあれは私の創った神がしでかした事だし……とロードうかがい見た。


「あ? どうした」

「いや~……前々から言いたかったんだけど、そもそもダリ公爵が起こした事件って、元を正せばアーディンが原因だったでしょ。しかもアナ……シスタ? さんはロードを助ける為に私の所に来ただけで、犯罪らしい犯罪なんて犯してないし、ダリ公爵に協力したのもつがいを助けたかっただけ。なのに大罪人とか呼ばれて王都から追放されて……罰が重すぎない?」


今更だし、ロードにも前に反逆罪だから罪は償わないといけないって諭されたけどさ。


「待ちたまえ。ダリ公爵……はもういい。アーディン様、というのは確かトモコ様の前任の人族の神の名だったと記憶しているが?」


ヴェリウスの教育のおかげで神様通となった博識ルーベンスさんが待ったをかける。


「そうです。元人族の神であるアーディンは、異界に干渉した為魂が穢れ、その影響で神でありながら自身の管理下にある人族を操り、神王(ワタシ)の破滅を企んだのです。それが発覚したのはアナスタシアさんが王都を追放された後で、本人も罰に納得していたみたいだから何も言えなくて……」

「オメェ、呼び名がアナスタシアに戻ってんぞ」


ロードよ、少し黙っていてくれ。


「私はそのような報告は受けていないが」


ルーベンスさんはジロリとロードを睨むと「説明したまえ」と無言の圧をかける。


「あ゛? んな説明しても当時のオメェらは聞く耳持たなかっただろうが」


ミヤビは下っ端精霊(誰からも下っ端って言われた事ないんだけど!?)で、俺はただの人間だと思ってたんだからよ、と言うロード。それを聞いて眉間を揉みながら溜め息を吐くルーベンスさんは胃薬を常備した方が良いと思う。


「貴殿は良いのかね。大切な部下だったのだろう」

「……アイツは生真面目だからな。例え罪に問われなかったとしても、騎士を辞めてそれこそ自害してたんじゃねぇか」

「成る程。にしても本来ならば謹慎で済むような案件ではあるわけだがね……」


やっぱり罰が重すぎだよね……。


ロードを盗み見れば、眉間にシワを寄せていつになく真剣な面持ちなのだ。

あのロードが親友と言って憚らない人の子供だ。私の知らない絆とか、そういうもので結ばれていた大切な人なのだろう。

カルロさんでもレンメイさんでも、他の誰でもないアナスタシアさんに私の神域居場所を教える位なのだから。一番信頼していたに違いない。

私だって心友トモコの子供が部下になったら、自分の子供のように可愛がるだろう。


「ふむ……やはりミヤビ殿にはご協力いただかねばならないようだ」

「へ?」


ルーベンスさんは考えが纏まったような顔をして私にこう言った。


「アナシスタ・ベルノ・レブークに対する、本人と周囲の記憶の改ざんをお願いしたいのだがね」


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