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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ2  作者: トール
第1章

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閑話 ~音楽革命4~


コリー視点



「ミヤビお姉ちゃんの言ってた”新しい音楽”ってどんなのかな? コリーすっっっごい楽しみ!!」

「ママもとっても楽しみよ。ねぇヌード、ル……フフッ なぁに? そんなにカチコチになっちゃって」

「そ、そりゃあ緊張もするさ!! 神々のいらっしゃる神殿に入るんだからね!!」

「前にも入った事あるよ??」

「コリーの言うとおりよ。失礼のないようにドレスアップもしているし、招待状も忘れてないのだから大丈夫よ」

「そ、そうは言っても、神々の御前に只人が……っ」


天空神殿の入り口には大勢の人々が今か今かと音楽祭を楽しみに集まってる。

コリー達もミヤビお姉ちゃんから招待されて、“扉”を潜ってやって来たんだよ。

コンサートだからママがドレスアップしようって張り切って、初めてこんな素敵なお洋服着たの!!

このドレスもね、ミヤビお姉ちゃんとトモコお姉ちゃんが作ってくれたんだぁ! ママとパパのお洋服もそうなんだよ。


「おや、フルートじゃないか!!」

「あら、トリミーじゃない!! やっぱりトリミーもご招待されていたのね!!」


あ、トリミーさんだ。トリミーさんはミヤビお姉ちゃん達のお店のお隣さんで、ママのお友達なの。

私にもとっても親切で、よくお茶に誘ってくれるんだぁ!!


「やぁバード! 久々だね」


トリミーさんの旦那さんのバードさんは、パパのお友達なの! 世界に一人しかいないSSランクの冒険者でスッゴい人なんだって!! 無口で無表情なんだけど、なんでかパパとは気が合うみたい。バードさんが冒険から帰って来たら必ず二人で飲みに行ってるんだ。

さっきまで緊張してたパパが、バードさんに会ったら緊張もほぐれちゃったみたい。


「おや、皆様お揃いで」

「あっ イアン先生こんばんは!!」

「ふふっ コリーちゃんこんばんは。いつも可愛らしいですが、今日はとっても美しいレディですね」


この人は聖人様のイアン先生!! コリーが通う浮島の学校の先生なの!! とっても優しくて“はくしき”なのよ!!


「まぁイアン先生! いつもコリーがお世話になっております」

「コリーちゃんのお母さん。コリーちゃんはいつも勉強熱心で、とっても良い子ですよ」

「先生のおかげで最近は計算も出来るようになって、お休みの日はお店のお手伝いをしてくれるんですよ」


散々ママのお話を聞いてくれた先生は、今度はエルフのお母さんに捕まっちゃった。イアン先生大人気ね。


「おや、皆神殿の中に移動し始めたみたいだよ。フルート、僕達も行かないと」

「本当だわ! コリー移動するわよ」


ママとパパと手を繋いで、待ちに待った神殿の中に入ったの!! やっぱり光の回廊は夜でも綺麗!!


入った事のない神殿の奥まで通されて、大きな扉がいくつもある場所に来たの。皆その扉を潜って中に入っていくみたい。わたしたちも後について中に入ったら━━━……


「うわぁーーー!!!!」


広くて椅子が沢山あって…ッ 上手く言葉が出てこないけど、とにかくすっごい所だったの!!


「皆様はこちらへお願い致します」


なんだかお姫様のお付きの人みたいな女の人が話し掛けてきて、わたし達家族とトリミーさん達を1階席の後ろの真ん中の方に案内してくれたんだよ。ドキドキしちゃった。そしたらそこにね、なんとミヤビお姉ちゃん達が待ってたの!!

嬉しくなって「ミヤビお姉ちゃん!!」って駆け寄ったら、お姉ちゃんの周りには神獣様や知らないお顔の神様っぽい人が沢山いて近付けなかったの……やっぱりお姉ちゃんはとっても偉い神様なんだって実感しちゃって、急に遠くに感じちゃった……。

けど、「コリーちゃんこんばんは。やっぱりドレスが良く似合ってる! お姫様みたいだね」って声をかけてくれたんだ! いつものミヤビお姉ちゃんがそこにいて、安心して泣きそうになっちゃった。


「ヒィィッ こ、こんな畏れ多い席に私達が居てもよろしいのでしょうか!?」


パパってば神様達の前でまた緊張がぶり返してきちゃったみたい。案内してくれた人を困らせていたからママに叱られちゃったの。


その後は席に座って舞台のカーテンが開くのをドキドキしながら待ってたんだよ!!

そしたらこれから始まるよってどこからともなく声が響いて、ブーって音が鳴って会場の明かりが消えたの!!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




開始のブザーが鳴り、電気が消えて真っ暗になる。

まるで映画館のような演出に皆が驚いているようだった。


舞台のサイドにスポットライトが当たり、そこからコツコツと足音を鳴らして音楽の神が現れた。音楽の神はスポットライトに照らされたまま真ん中まで来ると、一言も喋ることなく観客席へと一礼し、指揮者の壇上へと上がり指揮棒を取り出した。

譜面台を指揮棒でコンコンと軽く叩くとカーテンの奥に明かりが灯る。


皆が静かに見守る中、指揮棒を振り上げると一気にカーテンが開いた。


開いたカーテンの奥にあったのは、オーケストラの人だけがいないバージョン。

そう楽器が並べてあるだけだ。さすがに人間達は「え…?」という反応で、神々だけが余裕のある表情で舞台に目を向けている。


音楽の神は再度観客席へと体を向けにっこり微笑むと、楽器達を紹介するよう手を広げた。

そしてくるりとターンし、まずはフルートに音を出してみなさいというジェスチャーをしたのだ。するとフルートは美しい音色を少しだけ奏でる。

「誰も吹いていないのに!?」と驚きの声が上がる。

そんな声を聞いてか聞かないでか、楽器に次々と音を鳴らせる音楽の神。しかしドラムの番になると、突然ドラムが大きな音をたてたのだ。見たこともないドラムの音に驚いて子供たちが耳を塞ぎ、大人も驚いて目を見開く。

すると音楽の神はおどけたようにドラムに向かって静かにしなさいとジェスチャーし、観客には掌を上に向け両肩を上げる。するとクスクスと笑い声が聞こえだす。


もう一度ドラムにチャンスをと指揮棒を向ければ、今度こそドラムは格好良く音を鳴らす。それに皆が驚き、そして拍手が挙がる。その後もギターやベースでも同じように盛り上がり、掴みはバッチリだった。


常にしかめっ面のルーベンスさんやロードですら楽しんでいる雰囲気を感じる。



そして遂に壮大なコンサートが始まったのだ。



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