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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ2  作者: トール
第1章

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56.願いを叶えなきゃいけないんだって~


ロード視点



何でか知らねぇが突如門外に飛び出してきた部下達に「あ゛?」と戸惑いの声が漏れた。

冒険者達も部下達を気にしてチラチラと様子を伺っている。そりゃそうだ。たった二人で巨大虫の群れに飛び出してくるなんぞ相当のバカか自分の力に自信のある奴しかいねぇ。

見たところ前者だろう。とはいえ内一人はバカを連れ戻しに来たようだが。


連れ戻しに来た方は中々足が速いらしく直ぐバカに追い付くが、後方にはすでに虫共の群れに埋もれ逃げ場がない。仕方なくこっちに逃げてくる事にしたらしいが良い判断だ。

バカを引きずりながら駆けてきた部下と目が合うと、迫りくる虫と戦うことにしたのかバカをこちら放り投げ、腰の剣を抜いた。

どうやら見所のありそうな男らしい。


実力はまだまだだが、フォローしてやれば1匹は倒せたようだ。しかし虫共はどんどん集まってくる。

そろそろ部下に集う虫を一掃するかと剣を構えたところ、足元で白目をむいて転がっていたバカが目を覚まし、俺の足を掴んでわめき始めやがった。今すぐ蹴り上げてぇがそんな事をすりゃ普通の人間は死んじまうからな。

怪我をさせないよう引き剥がすのに苦労していれば、いつの間にか部下が危機を迎えていたらしい。


「上だ!!」という冒険者達の叫び声に舌打ちが出たその時、突然部下の手元が光輝き次いで影が射す。

太陽が雲に覆われたのかと上を見れば、そこに在ったのは………………



「げっ!! バカロンじゃねぇか!!」


中身の成長は全く見えない図体ばかりデカくなったドラゴン。

一応俺の契約竜のマカロンだった。


《…………あれぇ? さっきまで浮島にいたのに、移動してる~??》


相変わらず阿保そうな喋り方で呟き首を傾げているマカロンは、キョロキョロした後に俺を見つけて《あ~ロードさんだ~》と嬉しそうにしっぽを振った。

その尻尾に巨大虫がぶち当たり、潰されて消えていく。


ちなみに部下の上に降ってきていた巨大ムーも、マカロンが現れた時に蹴散らされて消えていった。

なんのミラクルか、部下の危機を救ったのはこのアホ面晒したドラゴンだった。


「ぇ、え? ドラゴンが師団長の名前を呼んだ!?」


さっきまで命の危機に瀕していた部下が戸惑いの声を上げ、俺とマカロンを見比べる。


ちょっと待て。

なんでコイツがドラゴンの言葉を理解してやがる。


《あのね~、僕さっきまで浮島でドラゴンのお友達とお喋りしてたんだけど、突然パァってなって~、それでお願い叶えて~って言われてね、バァッてなってポンッてここに居たの~》


バカロンは黙れ。


「いや、何このドラゴン。何で喋ってんの!? なんでこんな阿保そうな話し方してんの!?」


やっぱり言葉がわかってんのか? 俺ですらミヤビの力でドラゴンの言葉がわかるようになったんだぞ。なのに何で普通の人間がマカロンの言葉を理解してんだ。


《そうだ~。僕“しょーかんしゃ”っていう人間のお願いを聞いてあげないといけないんだった~》

「ぁ゛あ゛?」

《ロードさん“しょーかんしゃ”っていう人知ってる~?》


“召喚者”だと? マカロンを誰かが召喚したって事か。


「やっぱり師団長このドラゴンと知り合い!!!?」


…………ドラゴンの言葉を理解し、さらにマカロンが出てくる直前に部下の手元が光ったという事は、十中八九コイツが召喚者だろう。しかし、只の人間がドラゴンを召喚なんぞ出来るわけもねぇ。


てこたぁつまり……………………虫を倒した時に出てくる“ドロップ品”ってやつか。



ミヤビのやつ、またやらかしやがった!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ミヤビ視点



「へっくち!!」


はぁ、クシャミが出た。誰かが噂でもしてんのかな?


『ミヤビ様、そろそろ御子様方のお食事のお時間ですよ』

「あ、そうだね」


ヴェリウスの一言に異空間からロードの作ってくれた離乳食を取り出す。

離乳食になってからというもの、双子達はロードが作ったものしか食べないのだ。


いそいそと寄ってきた3人娘に離乳食を渡せば嬉々として双子を抱き上げ与え始める。

正直、珍獣達が双子のお世話をしてくれるので助かっている。子育て初心者の上に二人もいるのだから皆には感謝しかない。


『御子様方は父親に似ず愛らしいですね。良い事です』

「ディー君はみーちゃんにそっくりだから、ロードさんもお嫁に出す時は大変だろうねぇ」


トモコよ。ディークは息子なんだけど。お嫁に出すのはロビンの方だろ。

後ヴェリウスさん。しれっとロードをディスってる。


「そういえば、ロードは大丈夫かな? せっかくの御前試合も中止になっちゃったし……」

『あの者は殺しても死なぬしぶとい男ですからミヤビ様のお気になさる必要はありません。それよりも問題は、現在魔物がどの程度この世界に存在するのか、です』


ヴェリウスの言うとおり、今までに無い事が起きたのだ。

創造主の不在に出産、10神2名の交代が怒涛のごとく続き、増え続けた負のエネルギーは魔物の力を増幅させた。

もし仮に今までにない程魔物が増殖……いや、強力な魔物が生まれてきたとしたら、



「ものすごく面倒な事になるな……」


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