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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ2  作者: トール
第1章

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52.ドロップ品


ロード視点



「嘘だろ!? 第3師団長っていやぁ魔素を満たす方法を探して世界中を巡りつつ、苦しんでいる人々を救う為奔走した最強の双剣使いで、精霊様をつがいにしたあの大英雄様だろ!? 本当にその第3師団長がこの凶悪面したおっさんなのかよ!!!? 騎士っつーより盗賊のお頭って言われた方がしっくりくるこのおっさんが!?」

「このバカ!! いくらおっそろしい顔してても、そんな失礼な事を本人を前にして大声で叫ぶな!!」


パーティーの中で最も若輩の男をいさめている……つもりなんだろうM字ハゲだが、お前が何よりも失礼だ。


「うちのメンバーがすまない。英雄である第3師団長にお目にかかる事ができるとは光栄だ」


まともそうな熊の獣人が手を差し出して来たのでこちらも差し出す。

なかなか好印象の男だと思いながら握手をすれば、他の奴等もさっきとはうって変わって警戒を解き、嬉しそうに自己紹介をしだした。失礼な事は言うがどうやら気の良い冒険者達らしい。


にしても、人間にしては魔法の威力も高ぇし力もある。パーティーとしてのバランスも良いようだ。

こりゃ鍛えりゃ冒険者パーティー初のSSランクも夢じゃねぇな。


「しかし第3師団長自ら先陣を切るなんざ、腑に落ちねぇな」


魔族の男が訝しげな顔を向けやがるのでつい舌打ちが出そうになった。


魔族ってなぁ敏い奴が多いのかいけ好かねぇな。

確かに上の立場のもんが先陣切るなんぞ滅多にねぇ事だが、今回俺が率先して出てきたのには理由がある。



「なぁ、さっきから気になってたんだがよ……あの虫、倒したのに残骸すらねぇんだが」

「はぁ? ヒューズのおっさん何言ってんだ? んなもんアフィラートのおっさんが魔法で粉砕したからに決まってんだろ」

「にしてもだ。普通足の一本や二本残ってるもんだろ」

「……第3師団長の攻撃も加わったから何も残ってねぇんだろ」

「そうそう。アフィラートのおっさんが言うように、大英雄のせいで欠片も残らなかったんだって」

「うーん? 確かにこの攻撃力はすげぇが、何か違和感があるんだよなぁ……」

「ん? おい、よく見ると土の中に何かがあるぞ」

「あん?」


熊獣人の言葉に魔族の男が反応し、足を使って土を掘り返すと目を見開いた。


「何だこりゃあ……ッ」

「アフィラートのおっさん。何が出てきたんだ?」


一番年下らしき男が魔族の男に近付き足元を覗き込むと、「マジかよ!!」と大声を上げやがった。

何が出てきたんだと皆が駆け寄れば、「こ、これは!!!!」と驚きに満ちた表情をしていやがる。


「なんでこんな所に“宝石”が落ちてんだ……?!」


そう。俺が誰よりも先に確かめたかったのは、魔物を倒した後に出る“ドロップ品”だ。


俺のミヤビが話していた、魔物を倒すと現れる“ドロップ品”とかいうものの存在がどうにも悪い予感しかしなかったのだ。

あいつの事だから、何かとんでもねぇアイテムが出てくるんじゃねぇかってな。



まぁ宝石ならまだまともか……。


「それは魔物を倒すと出てくる“ドロップ品”って奴だな。オメェらの手柄だ。好きに持っていくといい」


確かに人間なら金目のもんをチラつかせてりゃあ魔物も積極的に倒すかもな。

“ドロップ品”てなぁ良い考えだ。


騎士団で倒せば上下水道計画で何とか絞り出した国の予算も補填できるだろうし、宰相がほくそ笑む姿が目に浮かぶぜ……。


喜んで土から宝石や金の延べ棒を掘り起こしている冒険者達を眺めながら、やべぇもんじゃなくて良かったとほっとしていたこの時の俺がバカだった。

俺のつがいがそんな常識神じゃない事は今までの経験で理解していたはずなに━━━……




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




雅視点



『ミヤビ様、先程仰られていた魔物を倒した際現れる“ドロップ品”なるものですが、確か宝石や金銀などの鉱物類でしたよね』


天空神殿に転移し、珍獣達が用意してくれたお茶を堪能していると、思い出したように質問してくるヴェリウスに頭を縦に振る。


「人間は鉱物が一番喜ぶからね。あ、でも他の創造主達のアイデアも反映させて、伝説級の武器や防具とか、欠損部位を再生させるポーションとか、そんな物もレアアイテムとしてドロップできるようにしてるよ。中でも“地球の”がイチオシなのは高位の聖獣やドラゴンをランダムに一度だけ召喚できるアイテムでね、願いを一つ叶えてくれるとかなんとか?」


ただしその聖獣が叶えられる願いに限るとか、制約は色々あるらしいけどね。と笑っていたのだが、ヴェリウスの表情はどんどん強張っていく。


「ランダムって事は突然召喚された聖獣がびっくりして人間に攻撃したり、街を壊滅させたりとかあるんじゃないの~??」

「一応召喚されたいかどうか問われて、それに納得した聖獣じゃないと召喚できないらしいよ」


トモコがバリバリせんべいを齧りながら最もな事を言うので説明する。


つまり召喚される聖獣は、人間に興味があるフレンドリーな性格かつ好奇心旺盛な者なのだ。


『聖獣は私の管轄ですが、人間に召喚されたなどという珍事は今まで聞いたこともありません』

「レアだからね~。今まで出たことないんだろうね」

「課金しないと出てこないアイテムみたいだね~」


アハハとトモコと笑いあっていると、ヴェリウスは首を横に振り、ふ~と深い溜め息を吐いたのだった。

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