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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ2  作者: トール
第1章

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51.焔の鳥と第3師団長の邂逅


「アフィラートっ お前やり過ぎだろ!? 一生飼い殺しコース爆走中じゃねぇか!!」


もうもうと土埃が上がる中叫ぶのは、冒険者パーティー“焔の鳥”の若手であるベンジャミン・ベックだ。


「やり過ぎ? 有象無象の虫共のほんの一端を潰しただけだろう」

「いやこれだけいるから確かにそうだけどさ!? え? オレがおかしいの? 違うよね。おかしいのこのおっさんだよね?」

「諦めろベンジャミン。久々に手応えのありそうな獲物だ。今まで魔法の訓練をしてきた成果を試せるチャンスなのだろう。放っておいてやれ」

「オーズのおっさん!! でもよ、こんなん誰かに見られでもしたらよぉ」

「まぁ大丈夫だろう。ここから西門まで距離があるんだ。いくら派手にやっても俺達の顔は判別できないだろうよ」


心配するベンジャミンにヒューズがすかさずフォローしたのだが、


「M字……」

「誰がM字ハゲだコラァ!!」

「ハゲまではまだ言ってねぇだろ」


最近益々磨きのかかった、どこからどこまでがおでこなのか分からない頭に過敏になっているヒューズだが、ベンジャミンは関係ないとばかりにその傷口を抉るのだ。

こうなれば急ぎ毛根を復活させる魔法を開発するしかないと改めて闘志を燃やすヒューズであった。


さて、虫型魔物がカサカサと蠢いているこの場所に、冒険者パーティー“焔の鳥”がやって来たのは勿論、ギルドからの緊急召集を受けたからに他ならない。


現在王都はとんでもない数の巨大な虫に四方を囲まれている。この状況は、神々が上空に現れた時以来のルマンド滅亡危機である。


この時の為……というわけではないが、雅のせいで魔法に目覚めてしまったこのパーティーは、訓練を重ね、その成果を試せるとばかりに嬉々としてギルドの召集に赴いたわけだ。


勿論こんな気持ち悪い虫の群れに突っ込んでいくバカはいないわけで、案の定“焔の鳥”の独占状態なのだが。





「ほぅ……冒険者の中にもなかなか骨のありそうな奴等がいるじゃねぇか」




それは瞬きの間だった━━━……



ゴォォォォッ

鼓膜を揺らす轟音と、目を開けていられない程の突風が吹いた刹那である。


先程まで目の前にあった、アフィラートが作ったはずの巨大クレーターが綺麗にかき消えていたのだ。


いや。正確に言えば、より巨大なクレーターに上書きされたとのだと。焔の鳥が気付く前に男は現れた。



「!? な、何が起こった……ッ」


いつも落ち着いているオーズがカッと目を見開く。同時に他のメンバーも突如現れた男を警戒し武器を構えたのだが、男は口の端を上げてゆったりと歩みを進めるのだ。


その手には、双剣が握られていた。


「んな警戒しなくてもいいぜ。俺ぁルマンド王国の騎士だ。敵じゃねぇ」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ベンジャミン視点



「騎士だと……」


オーズのおっさんの白い耳がピクリと揺れる。


突然現れ騎士だと名乗った男が、飄々とした様子でオレ達に声をかけてきた。けどオレがイメージする騎士とは随分と違うような気がする。

何がって……まず騎士って出陣する時は鎧とか着んだろ? このヒト鎧着てねぇし、そうでなくても制服とかあるんじゃないの? そんな感じでもなさそうだし。

それになにより、粗野というか粗暴というか、でかくて男くせぇ感じが騎士っつーより冒険者なんだよな。案の定おっさん達も怪しんでるみてぇだ。


しっかしデケェなこのヒト。オーズのおっさんと張るんじゃないか。


「師団長ォォォ!! 何で先陣きって一人で突っ込んでるんスかァァァ!!」

「うぉ!!!?」


遠くから誰かが叫んでいる声が聞こえてくる。突然だったからびびったぜ。


ん? 今師団長って言った?


「ぅるせぇなぁ。……アンタらは御前試合にゃ出てなかったよなぁ」

「あ、ああ…俺らはあまりそういうのにゃ興味ねぇしな」


こんな非常事態に世間話を始める騎士(?)に人の良いヒューズが受け答えしている。


御前試合って、王様の前で試合して強い奴は騎士になれるかもしれないアレだろ。

試合には興味ねぇけど、師団長達は見たかったんだよなぁ。抽選に外れたから会場には入れなかったけどさ。

ルマンド王国に住んでるからには、ルマンド王国最強の四天王は見とかねぇと非国民だろ。

てか、メンバー全員外れるとかくじ運無さすぎだろオレら。


「じゃねぇよ!! あんた今師団長って言われてなかった!?」

「あ゛?」


怖ッ このヒト顔凶悪すぎない!?


「……恵まれたガタイに誰もがビビる強面の顔。そして何よりその双剣。アンタ、あの有名な第3師団長か」


は?


アフィラートのおっさんの言葉に固まる。


今なんてった?



「ああ。俺ぁ第3師団長のロードってんだ」



は…………はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!??




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




オーズ・ブランク(48)

人族と獣人(白熊)の混血。生まれも育ちもルマンド王国で、“焔の鳥”のリーダー。甘味が好物。最近は生活魔法が少しだけ使えるようになった。




ヒューズ・パーソン(48)

人族。オーズとは幼馴染。後衛でM字ハゲ。

“焔の鳥”のオカンのような存在。毛根を復活させる魔法を開発中。




アフィラート・ノーズ(138)

魔族。黒髪無精髭の鋭い目付きが特徴。

パーティーの中で一番年上。後衛。解体と料理も担当。

雅のおかげで強力な魔法使いとなった。




ベンジャミン・ベック(29)

竜人と人族の混血で竜人の血の方が強い。

前衛で盾役20代のわりに老けており、おっさんパーティーの中にいても違和感がない。脳筋で魔法はからっきし。




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