表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ2  作者: トール
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/101

50.阿鼻叫喚


「死んでも王都に入れるな!!!!」

「火矢だ!! 矢先に火を付けろ!!!!」

「弓を引けぇ!!!! っっ(はな)てーーーーーッ!!!!」


ビュンビュンと音をたて、火の灯った無数の矢が飛んでいき、地面にこれでもかと突き刺さる矢は炎を上げて草花を灰にしていく。



「イヤァァァァ!!!!」



地面に矢が刺さる度に虫の大群がザザっと避ける様はあまりにも気持ち悪く、門の中で勤務していた事務官が我慢できずに叫び声を上げた。

虫型魔物達はガサガサガサと素早い動きで矢を避け、なおも前進してくる。


門までの距離は1キロを切っていた。


「応援はまだか!!!?」

「武器を構えろ!!!!」

「一般人と事務官の避難を優先しろ!!!!」

「騎士団だけでなく冒険者にも協力を仰ぐべきでは!?」


怒号と悲鳴が飛び交う中、門周辺はパニックに陥っており、そんな状況がコロッセオに届くまでにそう時間はかからなかった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




雅視点



「全然試合始まらないね~」


開始の鐘が鳴ってしばらく経っているはずなのに、出場者どころか審判員すら出て来ないのだ。勿論王様もロード達師団長も戻ってこない。

と、ようやく審判員が舞台上に出てきたと思ったたら、「皆様申し訳ありません!!!! 暫く会場内で待機をお願いします!! 外には絶対出ないようお願いします!!」と叫び始めたではないか。

観客席側にいるスタッフもその場での待機をお願いしている。


「何かあったのかな~??」

「嫌な予感しかしない……」


さらに少しして、会場内舞台側にぞろぞろと大勢の人が入ってきた。皆何が起きているか分からないという顔をしてキョロキョロしている。


「ヴェリウス」

『お呼びですか。ミヤビ様』


私の影からにょきっとヴェリウスが生えた。


「何かあったの?」

『………………人型の魔物が王都近くに現れたようです。すでにロードはそちらに向かっております』


ヴェリウスの変な間に違和感を覚えながらも、ふむと頷く。


「じゃあ試合は中止ってこと~?」

「そうなるね。リンも出て来ないし、きっと応援に向かったんだよ」


つまらなそうに唇を尖らすトモコに、機嫌を取る為ストックしていたクレープを渡す。

ロードの美味しいスイーツ特集の中でも上位に食い込むとっておきだ。


「うまぁ~!!」


そうだろう。そうだろう。

機嫌の戻ったトモコに頷きつつヴェリウスを見る。

最近ますます艶の増した体毛はサラふわで、顔を埋めたい欲求が増すがぐっと堪えた。


「ヴェリウス、人型の魔物の数は? ヘドロ玉にはロードの結界を張ってるからそれが狙いってわけではないんでしょう?」

『恐らく一体なのでしょうが………………いえ、ヘドロ玉は例の人間の中にある人型魔物の一部を誘き出す為に使用した為、本体にその存在を知られたのでしょう』


やはりヴェリウスの物言いがいつもよりモゴモゴしている気がする。

恐らく一体だなどと曖昧な表現をする事もいつものヴェリウスらしくないし、なんだかまるで人型以外に複数何かが居るような表現ではないか。


「ヴェリウス、 「皆様!! 現在王都周辺で魔物を確認しました!! 王都内への侵入は許しておりませんが、都民の安全を考慮し、各避難所へ誘導しております!! こちらの建物も緊急避難所として使用致しますので、これから大勢の人がやってきます!! その為できるだけ詰めて座っていただきますようご協力お願いします!!!!」 」


ヴェリウスに詳しく聞こうと口を開いたが、スタッフの声にかき消されてしまった。


『ミヤビ様、我々は天空神殿に移動しましょう。貴女様と御子様方を人間の目に触れさせるわけにはまいりません』

「え、でもロードを待った方が 「みーちゃん。私達が居ない分スペースが空くなら移動した方が良いよ~」 」


トモコの言葉に確かに。と納得し、ヴェリウスに『お早く』と急かされながら双子達と移動したのだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




とある門番視点



門付近はまさに阿鼻叫喚といった具合で、逃げ惑う人々の悲鳴と、それらを誘導する騎士のかけ声に、上司の怒号、そして迫り来る魔物への恐怖と地獄絵図のようだ。


隣にいる同僚なんて、「マジかよ…」と呟いた後は無言で魔物の群れを見ているが、その手は恐怖で震えている。

なんなら俺の足もさっきから震えが止まらない。


何故なら、放たれる火矢は草原を燃やすだけで巨大な魔物に効いているようには思えない。それどころか、嘲笑うようにその数を増している気すらしてくるのだ。


「俺、人生の中で何度も死ぬ思いしたけどさ、今回のはある意味一番最悪かも……」

「ああ。今まででピカいちの気持ち悪さだよな……」

「今度こそ滅んだな。ルマンド王国」


諦めの言葉が俺達の口から漏れたその刹那だった。



ドゴォォォォォォン!!!!!!!!



轟音と揺れ。その後に土埃が舞い、何かが焼けたような、独特の鼻を突き刺さす不快な匂いが漂ってきたのだ。


直ぐに視界が開けたが、そこで俺達が見たものは━━━……


「地面に穴が、」


呆けたような同僚の声に目を凝らす。

そこにあったのは、地面にぽっかり空いた巨大クレーターと、そこに転がる魔物の死体だった。


「な!? 一体何が……っ」

「あそこだ!! あそこを見ろ!!!」


人が立ってるぞ!! との同僚の声に目を見開く。

確かに魔物の群れの側に、人が数人佇んでいたのだから。







**************************





★ルマンド王国王都門番募集中★



月給:25万ジット


未経験者歓迎


各種保険完備/昇給あり/賞与あり/育休制度あり/交通費支給



条件:


①目がとても良い事


②体力がある事


③丈夫である事


④暑さ寒さに強い事



年齢制限なし。性別問わず。種族問わず。


騎士団の一員として都民を守る遣り甲斐のあるお仕事です。



先輩達の声:


●開放的で楽しい職場です。


●いつも遠くを見るおかげか、益々目が良くなりました!!


●風を体いっぱいに感じられるよ!!



ご応募お待ちしております。



ルマンド王国第3騎士団 人事課




ロードの部下: 「師団長、本当にこんな“チラシ”っつー紙一枚で人が集まるんスか? なんかめちゃくちゃ怪しいんスけど。大体各種保険ってなんなんスか」


ロード: 「俺のつがいの言う事に間違いはねぇ」


ロードの部下: 「………………え?」







★ズボラ世界のお金



1ジット=1円玉と同サイズの銅貨

10ジット=10円玉と同サイズの銅貨

50ジット=50円玉と同サイズの銀貨

100ジット=100円玉と同サイズの銀貨

500ジット=500円玉と同サイズの銀貨

1000ジット=1円玉と同サイズの金貨

5000ジット=50円玉と同サイズの金貨

10000ジット=1円玉と同サイズの白金貨



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



明けましておめでとうございます。


ズボラを読んでくださる皆様 、いつもありがとうございます!!

新年早々とんでもない描写から始まってしまいましたが、お楽しみいただければ幸いです。


今年も皆様に沢山の幸せが訪れますように!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ