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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ2  作者: トール
第1章

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41.四天王伝説2


「踏み込みが甘ぇんだよ。重心をブラさずにしっかり踏ん張れや。そっちも、下半身の筋力が足りてねぇ。スクワットなりなんなりしてもっと鍛えろ」


その頃部隊長だったロードは、部下達を直接指導する立場にいたわけなんだけど、当時は騎士もまだ貴族が多くてね。どうしてもロードの出自に難癖をつけたり、上司として受け入れられない者もいたんだ。


「ッ何故貴族の俺達が貴様のような生まれの貧しい者に従わなければならない!」

「そうだっ 貴族でもない者が騎士を騙るな!!」

「あ゛ぁ゛?」


だから頻繁にいざこざが起きていたのが現状だった。

まぁロードも態度はデカいし生意気だし、なのに強いもんだから出世して反感をかってたっていうのも大きいんだけどね。


「おいおい。騎士は貴賤を問わず就く事のできる職業だって認めたのは国王陛下なんだけど? 貴族である事を誇りに思ってんなら、国王陛下の御言葉は大事にしないとダメだろ」

「と、トーイ・ヒューバート・レブーク副部隊長!!」


それでもロードが騎士団に居られたのは、トーイが居たからだろうね。彼がいなければ、暴力事件を起こして騎士団を辞めてたんじゃないかな。


「お前ら、騎士を辞める気でいるの??」

「「えぇ!?」」

「えぇ!? って、部隊長の指導すら聞けない者がどうやって騎士の仕事をする気だよ。騎士団は必ず集団で行動するんだから、上司の指示を聞けない者や訓練すらままならない者は仲間の命を危機にさらすかもしれない。それ位はわかるだろ?」

「「も、申し訳ありませんでした!!」」


あの頃は些細なもめ事がたえなくてね、その度にトーイが仲裁に入っていたよ。


「……毎度毎度、よく飽きもせず口八丁でおさめるよな。ぶん殴れば終わる話なのによぉ」

「お前ねぇ、ぶん殴ったら問題が大きくなるだろ。ただでさえお前の揚げ足を取ろうとする奴が多いんだから、もう少し考えて行動してくれよ」

「暇な奴等が多いんだな」

「そんな事より聞いてくれよ! 俺のつがいがさぁ━━……」

「またかよ! 毎日毎日お前の惚気なんか聞いてられっか!!」

「あっ待てよロード!! だって俺のつがいが滅茶苦茶可愛いんだから仕方ないだろ!!」

「あ゛ーーーうるせぇ!!」


私もロードとトーイがいつから仲良くなったかは知らないけどね、意外な友人関係だとは何度も思ったよ。トーイはなんていうか……ロードとは正反対のいつもニコニコしている男だったし、トーイ自身も貴族だったからね。

ほら、ロードってあまり貴族に良い思い出がないからさ。





そんな二人が名を馳せたのは、大きな盗賊団の検挙だったんだ。




「金目のもんも食糧も全て奪え!! 奪って奪って奪い尽くせ!!」

「奪い尽くせじゃねぇ」

「がはぁ!!!!」

「夜中にコソコソしている奴がいると思ってつけてきたら堂々と強奪し始めやがって。騎士団なめてんのか」

「こらこらロード。そいつもう伸びてるからな。てかこっち手伝って」


その頃は食料もあまりなくてね、盗みを働く者は多くいたんだけど、その盗賊団はルマンド国でも1、2位を争うほどの大きな組織でね。それをロードとトーイはたった2人で壊滅させたんだよ。

しかも「偶然居合わせたから壊滅させといた」とか言って当時の騎士団のお偉いさん方を震撼させていたよ。


「久々に飲みに来たらコレかよ~。やってらんねぇ」

「そりゃこっちのセリフだ。俺ぁテメェのつがいとの惚気を散々聞かされたあげくのコレだ」

「やだぁ。ロード君顔が(ヤカラ)になってるよぉ。ただでさえ強面なんだからもう少し笑顔でいないと、つがいと会った時ビビられるぞ」

「俺のつがいはそんな事でビビる奴じゃねぇ。多分……」


ロードがそんな事を口にしてたって聞かされた時は笑ったよ。実は気にしてたんだって。


「……なぁロード。コイツら最近王都周辺に出没している盗賊団じゃないか?」

「ならまだ仲間が居るな」

「マジかよ!! やだっ俺は愛するつがいの待つ家に帰りたい!!」

「うるせぇ! さっさとアジト吐かせてぶっ潰しに行くぞ!!」

「いやだぁ!! お前だけで行けよーーー!!」

「お前マジでぶっ殺すぞ」


そうそう、盗賊団のアジトが驚く事に王都内にあってね。2人が派手に暴れたものだから、周りの住人も集まってきてそれはもう大騒ぎになったんだ。

そのせいで何故か第2師団まで夜明け前に叩き起こされて大変だったよ……。


そこからだね。特に2人が民に支持されるようになったのは。


顔が知れ渡った後は、飲みに出る度に都民からの人気が上がっていったんだ。後から知ったんだけど、2人して飲み屋をはしごして民達とバカ騒ぎしてたみたいだよ。




◆◆◆




「━━━……飲み屋のはしごとか、初対面の人とバカ騒ぎとかロードらしいっちゃらしいよね」


カルロさんの話を聞き終わってからクスクス笑っていると、ロードが眉尻を下げたまま頭をかきつつボソリと呟いた。


「あ~……あんときゃオッサン共が面白がって飲ませてくるもんだから、飲めるだけ飲んで奢らせて帰ったりしてたな」


若かったからよぉ。と苦笑いするロードは、昔の話を暴露されたからか目を合わせようとしないのだ。

飲み屋といえば綺麗なお姉さん達もセットなイメージだが、何かバレたらマズイ事でもあるのだろうか。


じっと見ていたら、「ミヤビは俺の顔にビビったりしてねぇよな? な?」と泣きそうな顔で言われたので、そっちかよとつい口に出してしまった。


「みーちゃんめっちゃビビってたよね~。今でもたまにビビってるし」


たまにっていうか、朝起きた時に目の前にロードの顔があったらビビるよね。

つまりほぼ毎日ビビってます。


「トモコの冗談は置いといて、ミヤビ、俺の顔怖くないよな? 愛してるよな?」

「聞かなくても分かるでしょう。貴方の顔はどう考えても怖いですよ」

「お前にゃ聞いてねぇよ!!」


レンメイさんに睨みをきかせるロードの顔は間違いなく怖いです。


そんな私達を見てカルロさんはクスと上品に笑い、トーイにも見せてやりたい光景だな。と呟いたのだ。


私も、ロードの親友のトーイさんと会ってみたかったなぁと思いながら、落ち込んでいるロードを慰めたのだった。


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