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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ2  作者: トール
第1章

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35/101

35.人の癖見て我が癖直せ


ドスンッと音をたてて座ったビッグフットは胡座をかき、「クククッ」と笑いだした。

いきなりだったのでちょっと驚いたが、確かに攻撃も満足に当てられなかったのだから笑われてもおかしくはないだろう。恥ずかしくて顔をあげられなくなるが、まぁ笑ってくれるだけマシかもしれない。


「やはり俺ではお嬢様の相手として力不足だったようだ」


いや、それを言うなら役不足では? 日本語(※日本語ではありません)間違ってますよ。力不足なのはこちらです。

やっぱり本職(冒険者や騎士)ではないとはいえ、さすが武器を扱う(作る)人だけあって強かった。

時代劇を見ていただけの素人わたしでは肩慣らしにもならないのだろう。


「ありゃりゃ。みーちゃん、補修の手伝いで逆に補修箇所増やしてるけどだいじょーぶ~?」


トモコの声に周りを見れば、舞台どころか観客席も境の壁もボロボロで、双子のドワーフはあまりのショックに目を回して倒れていた。



だいじょばないねーーー!!!!



◇◇◇



「まさか俺みてぇな道端の石っころを肩慣らしの相手に選んでくだすっただけでなく、貴重なお力も見せていただけるたぁ幸甚の至り。一生の運を使っちまった気分だぜ」


へりくだりすぎでは!?


「みーちゃんが戦ってる姿なんてレア中のレアだからね~。親方は運が良かったね~。それに、みーちゃん程あっという間に補修箇所を元通りにできるひと(?)はいないよ~」


トモコさん!? 何恩着せがましい風に言ってんの!? 手伝いを申し出て邪魔しちゃったの私だよ!?


ボロボロにした舞台や観客席を元通りにした後、土下座で謝罪しようとビッグフットに向き合えばそんな事を言い出す二人に呆気にとられる。

ドワーフの双子は未だ目を覚ます気配はなく、親方は鷹揚に立ち上がると気絶している双子を蹴り飛ばし「てめぇらいつまで寝てやがる!! 帰るぞ!!」と声を張り上げた。

それに驚いたドワーフ達は慌てて立ち上がり、何事かと周りをキョロキョロ見て首を傾げている。


「あれ? さっきまでボロボロだった観客席は??」

「一体どうなってやがる??」


と困惑している双子に、「何寝惚けてやがる!! 昼飯食って寝こけやがってッ ろくでもねぇ夢でも見たんじゃねぇのか」と帰り支度を始めたビッグフットに益々首を傾げながらも自分たちの荷物を担ぎついていく双子は素直なのだろう。


「お嬢様、貴重な体験をさせてもらってありがとうよ。こりゃあ俺にゃあ扱いきれねぇんでな。お返ししますぜ」


帰り際にビッグフットがやって来て、さっきあげますと言ったヒッキーの棒を返されたのだ。「え? 持っていっていいのに」といえば、


「俺の身にゃあすぎた物だからな。勿体ねぇが、お返ししますぜ。変わりといっちゃなんだが、俺ぁこの武器のようにすげぇもん必ず作りあげてみせるんで、そんときゃ俺の武器、受けとっちゃあくれませんかぃ」


と言われたので頷いておいた。

何かヒッキーの棒並みの武器を奉納してくれるらしい。

ヒッキーの棒並みの武器……棍棒だろうか?




とにかく、こうして補修工事は終わったのだ。



「終わったのだ。じゃないよみーちゃん! 何で使えもしない剣で勝負しようとしてるの」

「午前中の一般の部の試合見てたら、なんかやってみたくなっちゃって。ほら、補修の点検での模擬試合なら特に危険もなさそうだしさ」

「も~!! それなら明日の騎士の部でこっそり参加とかの方が面白かったのに!」


さすがにそれはロードに即バレして退場させられるから。


「あっ私が出ようかな? 女騎士のコスプレして!」

「コスプレいうな。女性騎士に失礼だろ」


しかも時代劇すら見た事ないトモコに、剣の扱いは無理だろう。


「だいじょぶだいじょぶ。私アニメで勉強してるから」


人の癖見て我が癖直せ!!

時代劇見てるから大丈夫とか言ってた私、こんなに愚かだったのか!!!!





「━━━…様っ さすがにまずくないですか?」

「ドワーフ共はさっき出て行ったんだ。もう修理は終わったという事だろう」

「ですが……」

「うるさいぞ。何の為に門番を私の息のかかった者に交代させたと思っている」


トモコと明日の事について話をしていると、数人の男性の話し声がコロッセオ内の出入口付近から聞こえてきた。


「みーちゃん、姿隠そう」


トモコに耳打ちされてすぐに姿を消すと、出入口から3人の騎士達が入って来たのだ。




あれ? あの真ん中の人、前にヤコウ鳥の件で私を逮捕した人だ。



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