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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ2  作者: トール
第1章

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27.実況と解説


「さぁ、盛り上がって参りました御前試合! 第一戦はどのような試合を見せてくれるのでしょうか」

「最初の試合は前座試合となりますので、騎士団ではなく一般人の予選を勝ち抜いた猛者達の戦いになります」

「成る程、まずは一般の腕自慢達が陛下や騎士団、観客達に強さをアピールするわけですね!」

「ここで勝ち抜いた方は本人が望めば騎士団に入団できるそうですよ。しかし、一般人とはいえ注目すべき選手は沢山いますよ~」

「それは楽しみですね!! 実況はわたくし雅が担当致します。解説にはトモコさんをお迎えしてお送りしておりまーす」


ロード達の背中に映るモニターを見ながら遊んでいると、頭上からは小さな拍手、そして前からは吹き出す声が聞こえてきた。


「何遊んでやがる」


振り向き様に胡乱な目をして見てくる旦那に、こういう試合には実況と解説がいないと楽しくないだろうと訴える。

頭上からは、「わたくしこういった戦いのことはよくわからないのですが、今の説明があったおかげでたのしめそうですわ」とはしゃいだ声がかかる。


どうやら王様の隣で王妃様がこちらの様子をうかがっているようだ。王妃様はまだ幼いので武道会をどう楽しむかなどわからないだろう。

よし。ここは小さな子でも楽しめるように私が協力してあげなければ!


実況を楽しむにはカメラワークも重要! 5カメ以上はいるよね!!

と360度死角のないよう(心の)カメラを設置し、観客席の上部4ヵ所に巨大モニターを映し出す。さらに外にも同様の巨大モニターを映し出し、実況を開始したのだ。


「さぁいよいよ始まります第一試合! 対戦するのはディアゴとジェント!!!」

「ディアゴさん(30)は主に王都を中心に活動しているBランク冒険者で、ヴェアやマカロー、ニュル。そしてハニービービーと多数の凶暴生物との戦闘経験があるベテランです。対してジェントさん(25)はバイリン国の元騎士であり、その強い正義感の為に王族へ楯突きクビにされるという異例の経歴を持つ若い冒険者です!!」

「成る程、ベテラン冒険者VS異例の経歴を持つ若手ルーキーという構図ですね!!」


突然の解説と実況、そして巨大モニターに戸惑う観客達だったが、先程の声がはっきり聞こえる事件が功を奏し、直ぐに順応して爆発したかのような歓声を上げる。

当然ロードはお怒りだが、カルロさんが宥め、実況も解説も声だけという事でなんとかお許しいただけたのである。

なにより会場中の子供達(自分の子供も含め)がキャッキャと声を上げて喜んでいたので、その笑顔を奪うわけにはいかないと思ったのだろう。


「実況はわたくし名無しの権兵衛と、解説は謎の美女、そしてルマンド国の四天王をお迎えしてお送りいたします」


と言えば、またもや会場は熱狂の渦に包まれる。

ルマンド国四天王の人気が半端ない。


「おい!! 勝手に俺らを巻き込むんじゃねぇ!!」という声が聞こえるが無視する事にした。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ルマンド王都 都民A視点



ルマンド王国は神々との縁がとても深い国だ。

大勢の神々を畏れ多くも目にした事があるのは良い意味でも悪い意味でもルマンド王国の民だけだろう。

その中でも一部の者は、神王様のあの神々しくも美しい姿を目に焼き付け、各々が毎日祈りを捧げている。


絵や木彫りの人形にあのお姿を模そうした者も居たが、神々し過ぎるお姿を形には出来ずに諦めたとも聞く。

それはそうだろう。あの御方のお姿を形に出来る人間など存在するわけがない。形にしようと考えるその思考が烏滸がましいのだ。



世界から教会を消されてからは皆沈みがちではあったが、神々はその後盛大な祝福をくださった。

そして今、我々は更なる奇跡を目にしている。


『睨みあってなかなか動こうとしない二人ですが、一体何をやっているのでしょうか?』

『これは相手の出方をお互いにうかがっているのだと思います』


20年ぶりに行われるルマンドの代表的なお祭りの1つ、“御前試合”。

世界に魔素が満たされてから初めて行われるこの祭りは今、国をあげて盛大に行われている。

ひと月前から商人達が大移動してき、それに合わせて他の村や街、他国からも人が集まって王都はずっとお祭り騒ぎなのだ。


そして3日間かけての御前試合。

これを見る為に抽選に並んだあの6時間!!

私は心から思う。


このような奇跡を目に出来るとは、生きていて良かった!!


『しかし全く動きませんね~。これはもしかしたら気をぶつけあっている可能性はありませんか?』

『それであれば気を高めあっている可能性の方が高いですね~。ぶつけあっている場合は周りが破壊されたりしますからね』


愛らしい天の御声に“き”とは何かわからないが、出場者が何やら常人ではできない事をやっているのかと感心する。

皆息を飲み次の一手を見守っているのだ。


『ゴホンッ 彼等は天の声に驚き固まっているだけのようですよ。さあ、お二人共固まっていないで試合を始めて下さい。陛下も神々も楽しみになさっておりますよ』

『さすが四天王の一人、レンメイさんです!! ただ固まっていただけだという事実が判明しましたね~』


あの伝説のレンメイ様の御声に女性陣が黄色い声を上げ、続いて固唾を飲んで見守っていた者達からは笑い声が上がる。


緊張感が弛み、観客からは舞台の二人を応援する声と盛り上がりを見せた。

舞台上を切り取って映し出したような動く絵には、慌てたように構えをとる出場者の姿と、奇跡のような光景に、盛り上がりはすでに最高潮に達していた。


神王様、我々にこのようなサプライズを与えて頂き感謝いたします!!


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